7月のお題は…『水滴』

小林義明 師範

気温差が大きくなる夏、まだ涼しい朝の草原にはたくさんの宝石が散りばめられている。植物の葉につく朝露だ。また、雨上がりにはいろいろなところに雫がついているだろう。
ちいさな被写体なのである程度クローズアップすることが必要になるけれど、光の当たり方やカメラポジションによっても見え方が大きく変化して面白い。ファインダーを覗きながらきれいに見えるカメラポジションを見つけるのがポイントだ。ちょっとした振動で水滴は落ちてしまうので、落ち着いて静かに撮影を進めよう。

小林義明 師範からの7月のお題は水滴でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

7月の挑戦者その1:あしろさん

軒先で雨に打たれていたモミジです。雨戸が背景になっているため黒の中から浮き上がったように見えて格好いいと感じました。
いつかマクロレンズを入手してもっとにじりよって撮影してみたいです。

あしろ
奈良県在住、女性。2児の母兼会社員。育児家事仕事優先の生活なのでその隙間でいかに「発見!アンテナ」を伸ばすことが出来るかを修行中です。PENTAX K-S2とHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

水滴がたくさんついたモミジの葉、とてもみずみずしくてきれいだね。背景も黒く落としてシンプルな画面構成もいいと思う。背景は家の雨戸ということだけれど、不自然さはなくいい感じだ。

写真としてはうまく撮れているよ。
ただ、今回のテーマは「水滴」。

この写真だと主役はモミジの葉で水滴は脇役という感じかな。
コメントにあるように、もう少しアップで撮影して、モミジの葉の先端についている水滴を大きく見せることができれば、水滴を主役にできたね。

画面下の空間を見せないように横位置で撮影しても、葉の先端で輝いている水滴を強調できたんじゃないかな。

同じシーンでもフレーミングを変えると伝わり方も変わってくるので、良い被写体と出会えたら、いろいろ工夫しながらバリエーションをつけて撮ってみよう。

7月の挑戦者その2:tokutoku1002さん

雨上がりの公園で水滴が付いた葉っぱ撮影の1枚です。
いろいろな角度から撮影して1本の道に水滴が転がるような様子が綺麗でした。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。コロナの影響で近場の植物園や公園で撮影練習に励んでいます。PENTAX KPと
smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

水滴が並んだイネ科の葉。水滴の道みたいに見えてきれいだね。すべての水滴がきらめいて見える角度をうまく見つけていて、水滴の美しさを引き出していると思う。

ほぼ免許皆伝なんだけれど、一カ所だけ惜しいところがあって、今回は免許中伝だ。

それは、画面左上の隅に見えている茎にピントが合ってしまったこと。茎が入っているのは、右下隅に入っている斜めのラインとバランスをとる意味でいいと思うのだけれど、ピントが合ってしまったのは気になるところ。

このように大きなボケを活かした絵作りではちょっとでもピントが合っていると視点を引き寄せてしまうので、ここはしっかりファインダーを見て確認して欲しかったところ。

このシーンでは茎は入れないよう、画面上を少し減らす感じで撮影するのが正解だったと思う。

7月の挑戦者その3:髙橋ユタカさん

雨の季節、葉裏に隠れた小さなカマキリは何か宝物を見つけたようです。
彼らの命の様に美しい水滴をいつまで抱えていられるのでしょうか。

髙橋ユタカ
千葉県在住、男性。子供たちの成長記録から写真撮影をはじめて今やすっかりライフワークとなっていますが、主にカマキリを追いかけています。PENTAX K-3 IIとsmc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

 

生まれたばかりの小さなカマキリの胸のあたりについている水滴、とても大切なものを守っているように見える。日頃からカマキリをテーマに撮影しているだけあって、細かなところまでよく見ているね。

この場所は葉の影になっているため、水滴のきらめきが弱いので暗めの露出で水滴の存在を表現しようとしているところもいいと思う。

ただ、被写体が小さいこともあって、この写真はある程度大きく見せないと伝わらないのが惜しいところだね。道場では大伸ばしに対応できるシャープさやしっかりとしたピント合わせを求めていて、そこはクリアできていると思うのだけれど、もう少し水滴の存在が分かりやすく見せたかったところ。

おそらく、スマホの画面だと水滴の存在に気づかない人もいるかもしれない。

対策として、フラッシュを後ろから当ててみる方法なんかは有効じゃないかと思う。フラッシュの光は固いからデフューズして自然な光に見せる工夫は必要だけれど、試してみるといいと思うよ。

師範より7月前半の総評

「水滴」は小さい被写体なのでちょっと難しかっただろうか。それとも変な時期に梅雨明けしてしまったからだろうか。いつもよりちょっと挑戦者が少なかったのが残念だった。

でも、小さな被写体を大きく撮れるマクロレンズがなくても水滴を感じられる写真は撮れるはず。
たとえば、ハスの葉には大きな水滴が乗っていたりするし、水面にできる波紋は水滴をイメージさせるよね。

そんなふうにイメージを膨らませて、水滴の存在感を主役にしながら絵にする方法を考えてみて欲しい。

 

記念品のお届けについて

tokutoku1002さん、髙橋ユタカさんには「免許中伝ミニ木札」、あしろさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は8月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、7月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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