こんにちは、ジョニーです。

2022年6月24日にGPSユニット O-GPS2が発売しました。

GPSユニットに関しては過去にも”Why PENTAX?”や”PENTAX間違いあるある”でご紹介してきましたが、O-GPS2の発売に合わせてGPSユニットとアストロトレーサーについて再度ご紹介していきたいと思います。

冒頭の写真は写真家の北島清隆さんによる作例です。

GPSユニット「O-GPS1/O-GPS2」

GPSユニット O-GPS2

GPSユニット O-GPS1/O-GPS2はホットシューに取り付けて利用するアクセサリです。

カメラ装着時のイメージ、カメラはK-3 Mark III

対応する当社デジタル一眼レフカメラのホットシューに装着するだけで、撮影した静止画像に緯度・経度・高度・ UTC(協定世界時)・方位情報を記録することができます。

このGPSユニットは磁気センサーおよび加速度センサーを内蔵しています。

GPSの位置情報、電子コンパスおよび加速度センサーを利用したユニークな機能として、アストロトレーサー、直線ナビ、電子コンパスを実現しています。それぞれの機能の対応機種については公式サイトで確認してください。
対応機種についてはこちら

GPSユニットは単4電池1本で動作します。
GPSユニット自体のサイズと駆動時間のバランス、世界での入手しやすさを考えて、O-GPS1開発時に単4電池を採用しました。旅行の際や天体撮影時など、長い時間利用する場合には予備電池の携行を推奨しています。

ここで”PENTAX間違いあるある”です。
“GPSユニット O-GPS1/O-GPS2″のことを”アストロトレーサー”と覚えている方がいますが、”アストロトレーサー”は後述する機能の名称です。アクセサリとしては”GPSユニット”、もしくは”O-GPS1″、”O-GPS2″と覚えましょう。(過去の記事はこちら)

赤道儀不要で天体追尾撮影ができる「アストロトレーサー」

写真家 村田一郎さんによる作例

PENTAX K-5から搭載した星を追尾する機能です。と書いてしまうと「ふーん、そうなんだ。」で終わってしまうのですが、もっと多くの方に知って頂くために天体撮影の初歩の部分から説明したいと思います。星の撮影をこれから始めたいと思っている方やこの記事を読んで興味をもっていただける方がいると幸いです。

普段何気なく夜空を見上げてきれいだなと思い、写真を撮ってみたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

月くらい明るければカメラを手持ちの状態で撮影することが出来ます。上記の写真は「HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE」に「HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW」を装着して都内で撮影しました。APS-Cサイズでの焦点距離が420mm、35mm換算焦点距離が約650mmです。左はリサイズのみのノートトリミングで、右は同じ写真をトリミングで一番小さいサイズ(1980×1280)でトリミングしたものです。手持ち撮影でクレーターが見えるくらいに撮影が可能です。

しかし、星の撮影はカメラを手で持って撮影するとぶれた写真になる可能性が高くなります。そこで三脚を利用することになります。三脚を用意することで露光時間を延ばすことが出来るようになります。
露光時間を延ばすことで肉眼で見えなかった星が写るようになってきますが、地球が自転している関係で星が点ではなく流れて線になってしまいます。

星が流れて線になっている写真

地球が自転することで星が流れて線になってしまうのであれば、流れないように星を追いかけることできればよいので、カメラに内蔵している手振れ補正ユニットを使ってセンサーを星の動きに合わせて動かすことで星を点として写してしまおう、と言うのがアストロトレーサーです。
アストロトレーサーは2011年に初めてK-5に搭載されました。

アストロトレーサーが開発されるまで同様の撮影が出来なかったわけではありません。赤道儀という装置を使用することで、星を点に写すことが可能でした。

赤道儀(左)とアストロトレーサーの機材(右)のサイズ感

しかし、赤道儀には大きくて重く、持ち運びが大変であること、撮影を始める前に極軸合わせという作業が必要であることなどデメリットがあります。持ち運びに関してはポタ赤(ポータブル赤道儀)の登場によって多少軽減されましたが、三脚、カメラ以外に用意しなければならず、極軸合わせを必要とする大変さは残りますし、搭載できる機材の重量の制限などもあります。

それに対してアストロトレーサーはGPSユニットから得られるGPSの位置情報を使用して地球上のどこにいるのか測位し、内蔵している磁気センサーおよび加速度センサーを用いてどの方角を向いているのかを把握することで、極軸合わせを行うことなく、星を追尾する撮影を行うことが出来ます。

上記の写真と同じ天体を撮影したアストロトレーサーの写真

より精度よく追尾撮影をするために電子コンパスのキャリブレーションを行う必要があります。キャリブレーションは動画のように行います。

天体撮影から考える Why PENTAX?で笠原さんが紹介している「地面直置き」の使い方では三脚も不要です。
リンクはこちら(リンク先中央付近、赤道儀にはない、アストロトレーサーのメリットでご紹介)

 

「アストロトレーサー」の進化

2021年にPENTAX K-3 Mark IIIが発売されるまではK-5で採用したアストロトレーサーが搭載されてきました。
K-3 Mark IIIではアストロトレーサーが進化しています。

アストロトレーサーType1:GPSの位置情報と磁気センサー/加速度センサーの情報を用いて追尾する従来の撮影方法。天体と同じ速度で追尾撮影を行う
アストロトレーサーType2:星景撮影用のモード。動作概念はType1同様の撮影方法。Type1の半分の速度で追尾撮影を行うことで星は多少ぶれてしまいますが、風景のぶれを半減させることが可能です。
アストロトレーサーType3(※2022/3/3公開のバージョン1.41以降へのバージョンアップが必要です):GPSの位置情報と磁気センサー/加速度センサーの情報を用いず、予備撮影において算出した情報により追尾する撮影方法。

 

「アストロトレーサー Type3」とは
アストロトレーサーType3は、先に説明した通り、K-3 Mark IIIに新しく搭載されたアストロトレーサーです。
今までと何が違うかというと、O-GPS2などのアクセサリが必要なくボディとレンズがあればアストロトレーサーが使えるという点です。O-GPS2を忘れてしまった、電池が切れてしまったといった場合でもすぐに撮影可能です。

アストロトレーサーType3は、撮影の前に自動的に予備撮影を行って星の動きから天体追尾を可能とする機能ですので、O-GPS2を装着したり、測位待ちをしたり、精密キャリブレーションをしたりといった準備なく、即撮影可能なことも特徴です。ただし、星の動きから天体追尾を行うため、いわゆる星景写真のような星以外の地上や木などが入り込む撮影ができないので、従来のO-GPS2を使ったアストロトレーサーと上手に使い分けて利用してください。

ここでPENTAXあるあるです。
“アストロトレーサー”のことを間違って”アストロレーサー”と呼ぶ方がいます。
“アストロ”は星や天体を意味しますが、追跡するなどの意味を持つ”トレーサー”を合わせた造語です。操縦者を意味する”レーサー”ではありません。(過去の記事はこちら)

◆過去の記事のご紹介

・作例へのリンク
GPSユニット OGPS-2の作例ページ(リンクはこちら)
K-3 Mark III アストロトレーサーType3の作例、リンク後に「機能拡張内容 バージョン1.41」をクリックしてください(リンクはこちら)

・天体撮影から考える Why PENTAX?
笠原さん(☆男さんの方が良い?)によるアストロトレーサーの紹介記事です。
笠原さんはGPSユニット、アストロトレーサーを一番使いこなしているユーザーさんではないでしょうか。
リンクはこちら

・GPSユニット「O-GPS1」開発時のインタビュー記事
2011年にPENTAX K-5に搭載された当時のインタビュー記事です。
O-GPS1の開発秘話を知りたい方はデジカメWatchにてご覧ください。
リンクはこちら

・PENTAX Tips?PENTAX 間違いあるある第1回(ももしす)
リンクはこちら

・PENTAX Tips? ニックネーム篇(ももしす)
リンクはこちら