写真家 藤里一郎さんと、モデルのふなこしはじめさんによる連載企画。

記事とあわせて、こちらの「Youtubeラジオ(音声のみ)」もぜひお聴きください。
(※良い声なのでイヤホン、ヘッドフォン推奨です)

第2回「ギャップのおはなし。」文:藤里一郎

 

時として、モデルさんへ残酷な程伝わってしまう事がある。特に撮り手のキモチの部分がそうだ。そしてネガティブな想いほど素早く伝わってしまう。
カワイイコが目の前にいてくれるだけで奇跡なのに、それ以上なにを望むというのだろう。

しかし、その「感じ」はふと訪れる。使い慣れているK-3 Mark IIIの小気味よさ。ある意味常習性のあるあの「感じ」なのだが、今回は時を経てきた歴史あるレンズをチョイスしてみた。

 

 

smc PENTAX-M 40mmF2.8、パンケーキレンズと称されるこのコンパクトなボディ、それだけで魅惑な1本なのだが装着した時の佇まい、ああ、これこれ!その見た目だけでチョイスしたのは後に浅はかさだと気づく・・・。

 

 

もちろんモデルさんを撮らせてもらう前にテストはするのだが、これが甘かった。このレンズには電気接点が存在しない。という事はカメラ側でいまどの絞りに設定されてるのかという情報が取れないのだ。ゆえに、撮影時一度「絞り込む」みたいなかったるい機能が動作してしまい、あっと思った瞬間から約0.2秒くらい遅れてシャッターが切れるという具合だ。もちろんこういうものは便利機能として役に立つシーンもあるのだろう。しかし藤里の現場ではまったく意味をなさない。というのもほぼ「開放」で撮るというスタイルなのだからカメラ側に情報を送る必要が皆無なのだ。

 

前置きが長くなったが、そのやり場の無い感じ、ああ、思ったような写真にならない。リズムが作れない。むむむ・・・なキモチが完全にモデルさんへ伝わっていたのだ。

 

「あれ?藤里さんノッてない、私がダメなのかなぁ・・・いや、もしかしたらカメラの具合なのかな?」と。

この連載のパートナー「ふなこしはじめ」だから、カメラかな?という所まで思いをとたどり着かせることができたけど、そうでなければモデルさん自身が「自分を責めてしまう」という状態になるのだ。

 

 

これが残酷なまでに伝わってしまうという恐ろしさ。改めて信頼関係があって良かったと胸をなで下ろすところである。そしてこの「上手く動かない」という事をギャップと捉え、逆算してシャッターを切るようになる。これは写真においての「予測する」という作業を研ぎ澄ますことにつながった。

 

 

その後はご覧の通り。いつものチームワークを完全に取り戻し、しっかり手を握っているかの作品に仕上がった。

肝心のこのレンズの描写を見てみよう。柔らかさの中にもしっかりとした存在感を浮き彫りにする、なんと力強いレンズなんだろう。

 



開放値がF2.8なのもあり、ボケ過ぎないのがとても良い。40mmなのでAPSーCのカメラには少し長めではあるが、ポートレイトには丁度良いスタンスだと感じた。

 

 

 

シャドーのつぶれない加減やハイライトのにじみ、ハレーションもとても自然でなんとも藤里好みの1本だ。

 

 

かわいいコには旅をさせよう。そんな言葉の通り、いろいろなギャップを感じる所に歩いていってもらう。そこにいるだけで世界を支配できるのだから。さぁ、みなさんもギャップを楽しんで大好きなコと一緒に旅に出ようではないか。

 

〔こちらの記事でご紹介した製品の情報はこちら〕

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