こちらの記事は、ペンタックスリコーファミリークラブ会報誌から転載しております。

掲載作品は全てHD-PENTAX-DFA85mmF1.4ED SDM AW 試作レンズにて撮影

 

写らない世界があるとされているのならば、なんとしてもその世界を写してみたい。そう毎日のように思っている。それは、気配だったり、空気だったり、音だったりするわけだがどうしたらそれが写るのか。まだ答えなんて出ていないしそれだけそこに賭けてきた写真家が多かったのではないか? という思いに至っている。しかしもがきつづけることは、写真家という生き方を選択したのだから当然のことだろう。これからもたくさんもがくつもりではあるが、どう写真という形に残すかは鮮明にしていきたい。

K-1 Mark II・f4.5-Auto.(+1.3EV補正)・日陰・ISO400・ほのか・彩度+1・コントラスト−3・シャープネス−4

僕は今や「女性ポートレイト」を撮る写真家という位置づけであろう。これを否定するわけではないが、どこか「ポートレイト」というジャンル分けにも違和感を感じてきている。それは「自身で作った世界には興味がわかない」ということにつきる。こういったイメージで、そのイメージに向かう作業をする、というところが1番無意味だと思っている。すなわちイメージできるモノ全て、過去の記憶や体験の「焼き直し」に過ぎない。イメージ通り行って喜べたのはもう30年も前のことなのだ。そして今はそのイメージを軽く飛び越えるリアルな世界にすごく興味がわいている。それはいわゆるスナップなのかもしれない。いや、そこにある風景に女の子に入ってもらい「良い景色」だととらえたり……

K-1 Mark II・f1.4-Auto.(+2EV補正)・オートWB・ISO100・ほのか・彩度+1・コントラスト−3・シャープネス−4

お気づきかと思うが、僕の「写真」はもうジャンルを超えているのではないかと思う。そもそもジャンル分けなんてあまり意味がないこと、要するに写真家が見るモノ全てが「その写真家というジャンル」であるべきだと思う。となると、どうしてもその見え方、見せ方に注力せざるを得ないということにもつきまとわれる。そう、カメラや機材の話となってしまうのだ。でもスペックが最重要事項となっては全然面白くないもの。僕が好きなのはカメラではなく、それが作り出す写真が好きなのだから。ただ、見る人のココロにすーっと染みこむような色だったり、目に優しい柔らかさだったり、あとは少しの空気が写れば最高の写真となるだろう。それには、カメラとも向き合い、何が得意で何が苦手でみたいな「我が子」の素質を見ながら導いてやるのも重要なことだ。

K-1 Mark II・f2.8-Auto.(+0.3EV補正)・オートWB・ISO100・ほのか・彩度+1・コントラスト−3・シャープネス−4

 

K-1 Mark II・f2.8-Auto.(+1.3EV補正)・日陰・ISO400・ほのか・彩度+1・コントラスト−3・シャープネス−4

もしカメラの操作にまごついていたとしたら、その時間が全て「流れてなくなってしまう」という事態も起こる。そうならないためにもしっかり使い込まないとダメだったり、まして万能なカメラなんて存在しないわけだから、個性を伸ばしつつダメを切り離してやることも必要なのだ。便利な機能を使ってみたいと思うのは誰しもがそうかと思う。ただそこに固執してばかりになると本質が見えなくなる。そう、シャッターが切れなくなってしまうのだ。デジタル化に伴いピントや解像度、そんなモノが最重要ポイントとなってしまった。もちろん表現においてどこにピントを合わせるかは重要だが、果たして合わせたい所にしっかり合うのか、という機械的な問題にもぶち当たる。そうなると機械にできないから無理とどこか諦めてしまうことがなかっただろうか。それは本当にもったいないこと。だからこそアナログ感に戻ったり、オートではなくマニュアル指向になったりしている動きもある。それでこそ現代のカメラと共存をしながら「写真」を愉しむというスタイルなのではないか、と思う。

K-1 Mark II・f1.6-Auto.(−0.7EV補正)・日陰・ISO100・ほのか・彩度+1・コントラスト−3・シャープネス−4

 

K-1 Mark II・f2.8-Auto.(+0.3EV補正)・太陽光・ISO400・人物・シャープネス+1

機械と上手に付き合いながら、データではない「写真」と向き合うため、今日もファインダーを覗き続けようじゃないか。そして「写らない世界を写してみせる」と決めて写真という長い道のりを歩き続けようと思う。

 

 

モデル:naoko
199287日生まれ
2017年、ポートレートモデルとして活動を始める。現在は広島を拠点にフリーランスで活動中。
写真家藤里一郎のワークショップ「藤里流」でのモデルも務める。
Twitter@naoko_shooting
Instagram@portrait_705 

撮影協力:LOG

(ペンタックスリコーファミリークラブ208号より)