こちらの記事は、ペンタックスリコーファミリークラブ会報誌から転載しております。

 

あの1枚が忘れられない!

写真教室に集まった生徒さんに、よく写真をはじめたきっかけを尋ねます。
楽しそうだからという話もあるのですが、よくよく聞いていると「たまたま撮った写真が会心の1枚となった、みんなに褒められてうれしかった」、そんな体験が忘れられないという人がけっこういます。
たくさん写真を撮っていると、1枚くらいは、コレはという作品にみなさんも心当たりがあるのではないでしょうか。
そう、そんなまぐれアタリがあるのが、なんとも写真らしいと私は思うのです。知識も、経験も、作品なんて意気込みなんかサラサラなくても、不意に傑作が撮れてしまうことがあります。おそらく撮ってしまった本人ですらビックリなはずです。
でも、まぐれアタリの残念なことは、再現性がないことです。いざという時に、あの会心の写真がなかなか撮れないことを思い知ります。

決定率の向上が写真上達

そうこうして、写真が上達するという実感は、ずばり決定率の向上にあるとよく話します。はじめた頃は、1年1枚くらい納得のゆく作品が撮れれば上等。それが半年に1枚、季節に1枚、1月に1枚とだんだん決定率が上がってくるものです。最終的には、とりあえずカメラを持って出かければ、1枚くらいはなんとかモノになりそう、これぐらいまでくればたいしたものだと思います。
ずばり、写真が上手な人の特徴のひとつは、安定して作品を量産できることでしょう。
でもこれって言葉で言えば簡単ですが、実際にはなかなか大変なことです。

1枚目の決定率を上げる

作品となる決定率を上げるには、気持ちと技術、やっぱりコツコツと写真と向き合っていくしか道はないわけです。
なかでも、特に心がけているのが「最初の1枚目で勝負する」ことです。 デジタルカメラは、トライ&エラーの精神で、確認と修正が現場での作品を追い込み、作品の精度を高めてゆけるのが良いところです。
ただし、よく私も経験あるのが、1枚目が作品となる機会が多いこと。現場では、試行錯誤してたくさん撮影しますが、セレクトをしていくと、やっぱり1枚目を選んでしまうことが多いのです。人には慣れという感覚があります。感動にも鮮度があるがゆえに、自然と最初の写真には勢いが強く残ります。
ただ作品の決定率向上をねらうのではく、1枚目の勢いのある写真の決定率を上げるのが大切です。
1枚目の決定率を上げるために思いつく限りの準備、トレーニングをするべきでしょう。撮影地の情報や状況把握はもちろん。カメラのセッティングなどは自分の撮影スタイルに合うように準備する。いざというとき直感的に撮影操作もできるように日頃から慣れておく必要があります。

 

(ペンタックスリコーファミリークラブ会報誌200号より)