1月のお題は…『モノトーンの景色』

小林義明 師範

色彩に乏しくなる冬なので、今月はあえてモノトーンというテーマにしようと思う。モノトーン=モノクロではなく、淡い単一色で統一した画面ということで考えてみよう。

基本的な考え方は明暗で画面を構成することで、余分な色を入れないように気をつけよう。その点はモノクロで撮影するよりは難しくなると思う。
カスタムイメージを銀残しにするとそれっぽい雰囲気にできるけれど、安易な方向に走らずに、しっかり被写体をみつめてみよう。

小林義明 師範からの1月のお題はモノトーンの景色でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

1月の挑戦者その1:ぷりずなーさん

寒々しい空の下、冷たい風に吹かれる無数の葦を 私なりに切り取ってみました。

ぷりずなー
長崎県在住、男性。2011年から、PENTAX一筋で撮っています。撮影ジャンルは特に決めてはいません。PENTAX K-5とTAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACROで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

冬枯れとなった葦の作り出すパターンをうまくモノトーンの画面で捉えているね。画面内にある明暗の配置も適切で、周辺はやや暗く中央に明るい部分を配置して中央に視点を導いている。

惜しいのは、中央の視点が集まっている部分。

葦の穂が集まっているところなのだけれど、その後ろにはたくさんの茎が見えていて、ゴチャゴチャしてしまった感じがする。ここは視点も集まる重要な部分なので、穂の形をすっきりと見せたいのだ。

この写真、サムネイルで見たときは穂の形がすっきり見えるのだけれど、ちょっと大きくしてみると、とたんにゴチャゴチャしてくる。写真は見せるのに適切なサイズがあって、この写真は細部が見えない小さい方が適しているのだと思う。

光の当たり方から考えてみると、この写真は光がまわりやすい曇天の撮影だと推測するけれど、もう少しコントラストが高くなる晴天なら穂の影が後ろに落ちて茎を目立ちにくくできたかもしれないね。

モノトーンでモノクロ的に画面構成するときは、明暗と被写体の形をしっかり見せることが大切なので、次は被写体の形をしっかり見せることを考えてみよう。

1月の挑戦者その2:Outbackerさん

「雪原の梢」
谷間の霧が徐々に薄くなり、雪原に卵形の梢が現れました。
年末年始の2メートル近い豪雪で、幹が隠され梢だけが現れたことにより出会えた景色です。

Outbacker
埼玉県在住、男性。父から譲り受けたPENTAXを引継ぎ、システムを更新しながら、週末早朝の撮影を楽しんでいます。最近は自宅から比較的アクセスが容易な、中越地方に行くことが多いです。PENTAX K-5IIとTAMRON 28-300mm F3.5-6.3で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

 

谷間にポツンと立っている一本の木。豪雪で幹が埋もれて上の方しか見えていないということで、独特の形が面白いね。風に舞っている雪で霞んだように見える背景の中から木の形を浮かび上がらせることもできている。モノトーンの画面で被写体をしっかり見せることができているね。

いい雰囲気だと思うけれど、ふたつ気になることがあるんだ。

ひとつは日の丸構図になってしまったこと。
ポツンとある感じを表現するために手前に広く雪原を入れているのはいいと思う。だけど、バランス的には真後ろの山の稜線をギリギリ見せるくらいにして、雪原をもっと広くしていいと思う。
左側の山の斜面が画面の隅に向かって伸びているので、この斜面が目立ってしまうのを避けることもできる。雪煙がこの斜面をもう少し隠してくれてもいいね。

もうひとつは、ちょっとぶれてしまったところ。
シャープネスを下げているための甘さではなく、風が強いためにぶれてしまった感じがする。ISO感度をもう少し上げておけば、風に負けずシャープに撮れたのではないかと思う。

1/200秒だとふつうの撮影ならたいていシャープに撮れるはずだけど、このくらい雪が舞う条件だと体自体が風を受けて動いてしまうこともあるので、余裕を持ったシャッター速度を選択することも大切だね。

定番ではない風景は二度と会えないこともあるので、設定や構図を変えて撮っておくなど、しっかり撮ることを意識してみよう。

1月の挑戦者その3:Melyukiinaさん

めったに氷柱を見られないのですが、今年は寒波が年末から来た関係で正月の田舎では
つららがいっぱいでした。氷柱から落ちる水滴に中で光る太陽もあり、二つの太陽があって
なんだか素敵な感じがしましたので投稿しました。
逆光だとすべて色が失われますね。
が、しかし、大口径85mmは太陽に向けて撮らないようにと開発の方が記事で書いておられましたが、
ついうっかり入れてしまいました。

Melyukiina
愛知県在住、男性。中学で星が好きになりRICOH XR500を手にしてマニュアル撮影デビュー。PENTAX望遠鏡は天文雑誌などで憧れブランド。いまはデジタル一眼K20D,K-5,K-1と乗り継ぎ、THETAも手にした。RICOH-PENTAXに育ち、現在に至る。PENTAX K-1とHD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

お見事!

小林義明 師範からの添削コメント

 

つららから落ちる水滴にピントを合わせ、しかも背景にある太陽のハイライトの中に入れて見せるという、なかなか凝った難しい撮影だ。太陽の中にある水滴も、やや上にあることで下に落ちている動感を表現できていて、見事だと思う。何度も撮り直して粘ったことだろう。

コントラストが強い画面となっているので、ハイライトだけが残る露出にすると空の青さもなくなり、ほぼモノクロのような仕上がりになっているね。写真だから見せることができる世界になっていて、面白い。

はっきりとした狙いを具体的に見せることができていて、いい作品に仕上がっている。

免許皆伝だ!

ここからは私の更なる贅沢な望みだけれど、画面上の雪のところでつららの形がもう少し分かりやすいとどんなシーンなのかがより伝わりやすくなる。これで完成とせず、より高みをめざして頑張って欲しい。

師範より1月前半の総評

今回のテーマの「モノトーン」、けっこうテーマと違う内容の挑戦が多かったように思う。

あらためて「モノトーン」の定義を上げておくと、
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色の配色が、単一色の濃淡・明暗で構成されること。
特に、黒、白、グレーなどの無彩色だけで構成されているさま。
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となるので、あまり色を感じさせずモノクロに近い雰囲気で表現することを意識してみて欲しい。

画面の濃淡や被写体の形を使って絵を作ることをイメージするといいぞ。
次回の挑戦を楽しみにしている。

記念品のお届けについて

Melyukiinaさん、免許皆伝おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!
ぷりずなーさん、Outbackerさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は2月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、1月前半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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