3月のお題は…『春の気配』

小林義明 師範

まだ冬とも春とも言えないような微妙な季節の3月。地域によっても季節感は大きく違っているだろう。でも、それぞれの地域で確実に春の気配を感じられるようになっているはずだ。
そんな春の気配を感じられた作品を見せて欲しいと思う。

視点を広くしたり狭くしたりして見てみることで、いろいろな春の気配に気づくことができるはずだ。

小林義明 師範からの3月のお題は春の気配でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

3月の挑戦者その4:ミムチさん

前ボケに花びらを使うことで春を感じる写真にしました。

ミムチ
茨城県在住、男性。風景写真を中心に撮影しています。久しぶりの挑戦です!PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

小林義明 師範からの添削コメント

手前に前ボケとして入っているのはウメだろうか。淡いピンクのボケと枝振りだけで画面構成していて、狙い方としてとても面白いと思う。まだ葉も出ていない森に春がやって来ている気配が感じられるね。

いい見せ方をしているので、より伝わりやすい画面構成を考えてみるともっと面白くなったように思う。

この構図では画面中央の黒い空間が目立っていて、枝の方向性や明暗の配分がうまくできているのだと思う。ただ、森の木々にピントを合わせているために、木の幹などが見えているところに視点が向いてしまってうのだが、見せたいと思われる部分の前に前ボケがあって、意図がはっきり伝わらない。

森を見せるのであれば中央の空間に目立つ幹などを入れてもいいと思うし、逆に森も雰囲気だけでよければ、あえてどこにもピントを合わせないで幹や枝の雰囲気を見せるという方法も考えられる。ぼけていても枝の雰囲気などが伝わるのはこの画面からも分かるよね。この写真だとピントを合わせない撮り方があっているように思う。

ピントが合っているということは、そこを見せたいと見られてしまうので、何となくピントを合わせるということはせずに、明確に見せたいところにピントを合わせ、はっきり見せることが伝わりやすい画面構成のポイントだよ。

また前ボケは基本的に雰囲気作りの脇役なので、主役を見せることを妨げないようどこに入れるか考えてみよう。

3月の挑戦者その5:tokutoku1002さん

東京の桜が満開を迎えそうな頃、なごり雪が降りました。
降りしきる雪と桜の対比が表せたらと思って撮影しました。

tokutoku1002
東京都在住、男性。風景写真を中心に、旅写真やスナップを楽しんでいます。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

咲き始めたサクラに雪が乗っていて、春の三寒四温でちょっとずつ季節が移り変わっていく様子が伝わってくる。開きかけている花は雪に覆われてあまり目立たないなかで、つぼみのピンクを印象的に見せることができていて、狙い方がいいと思う。

まわりに大きく残した空間も、サクラの枝振りを見せるためのもので効果的だね。

この中で惜しいと思ったのは、画面左側に入っている枯れ葉の色。
せっかく背景をピンク系の淡い色で統一できているのに、枯れ葉の色はちょっと強くて目立つ感じがする。

背景の枝振りも大事だけれど、この色を見せないためにちょっと背景の入れ方を変えるとより統一感のある画面になったと思う。
また、色の使い方として、若干彩度をあげた設定だと思うのだけれど、グリーンの色もややきつい感じがして、もう少し抑えたかったところかな。

主役の色が淡い色なので、そこを活かすために統一感を持たせるように画面構成や色の組み合わせを考えてみよう。

3月の挑戦者その6:Yujimさん

近所の桜の木から、直接伸びてきた新葉の写真になります。新葉が逆光に映え、とても新鮮でした。

Yujim
鹿児島県在住、男性。ネイチャー系の写真を主に撮っております。本コーナーは、先生のアドバイス、テーマ選定等に大変参考になることが多いので、毎月、確認させて頂いております。家族写真以外は定年後にはじめましたので、写真歴はまだ数年しかたっておりませんので、作品はまだまだです。PENTAX K-70とSIGMA 50-200mm F4-5.6 DC で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

小林義明 師範からの添削コメント

サクラの幹から出てきた赤い若葉。背景の色も鮮やかで、春らしい暖かみのある光に輝いていてきれいだ。暗い背景を選んで葉の色を強調できているし、とてもシャープに撮影できているのもいいね。

狙い方はとてもいいのだけれど、やや日の丸構図になってしまったために余分なところが見えてきてしまった感じがする。

それは、若葉の左側にある幹の部分で、光が当たっている上にピントも合ってしまっている。右側のようにぼけていればもう少し印象を弱くできたけれど、ちょうど若葉と同じ距離にあるのでぼかせないんだよね。

なので、ここではここをカットするようなフレーミングをすることが必要だ。縦位置にするか左側をカットするかのどちらかだろう。

このようなボケを活かした画面では、ピントの合っているところがどうしても見えて来る。主役以外の部分にピントが合ってしまうところがないか、最終的に確認してからシャッターを押すようにしよう。

師範より3月後半の総評

今年の春は一気にやって来てしまったようで、今回も全体的に春のピークのような作品が多くなってしまったようだね。
きれいな被写体があると、どうしてもそちらに目が向いてしまうけれど、たいていピークの姿であることの方が多い。
「春の気配」のテーマは季節の移り変わりを感じられることが大切だから、そのきれいな被写体があってもそれとは違う姿を探してみるといいと思う。
自然はいつでもピークではなく、そうではないことの方が多い。だからピークではないときにも自然のいいところを発見し、感じたことを絵に仕上げられるように日々練習することが大切だよ。

記念品のお届けについて

tokutoku1002さん、Yujimさんには「免許中伝ミニ木札」、ミムチさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は4月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、3月後半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

〔クリックで写真が大きくなります〕

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

>>募集受付中のお題はこちら