9月のお題は…『彼女と過ごした時間(組写真)

藤里 一郎師範(女性ポートレイト道場)

PENTAX道場、集大成ともいえるお題がコレ!“彼女と過ごした時間”をテーマとした3枚組写真だ。組写真は苦手意識がある人も多いかもしれないが是非トライして欲しい。まず、テーマ。ここで重要なのは「どう過ごすか」なのだ。「何を撮るか」に注力しがちだが、撮りたい画が先行するが故の独りよがりになることも多々ある。“彼女とどう過ごすか”、もう単純なことでいい。一緒に飲んだコーヒーが美味しかった。一緒に見た映画が悲しかった。一緒に見たあの景色が忘れられない…。ほんの一瞬のストーリーで良いのだ。そこを切り撮って欲しい。そして組む時の感情の起伏も考えて。平坦な思いだとどこか漫然と見えてしまうモノ。ラストへ向かって盛り上げるも良し、ドカン!とインパクトを与え余力で見せるも良し、表現は無限大だ!さぁ、これができれば写真展も怖くない!思い切って自分だけのストーリーを作ってみよう。押忍。

『amayadori』

例えばこんなタイトルがあると、あとは想像できたりするよね。

 

藤里一郎 師範からの9月のお題は『彼女と過ごした時間(組写真)』、なかなかの難題でした。

挑戦者の方々の作品をいくつかご紹介します。

 

9月の挑戦者その1:CHIRIさん

〔クリックで各写真を表示できます〕

 

渦の中、二人旅、海をみて何をおもふ

CHIRI
群馬県在住、女性。グンマに生息する海を愛する民
PENTAX K-S2で撮影。

 

9月の挑戦者その2:Lokiさん

〔クリックで各写真を表示できます〕

 

現役のピアニストにモデルをお願いしました。
喫茶店で楽しく撮影しながら過ごした雰囲気が伝わるといいですね。
女性を撮っているとドキッとする瞬間があります。

Loki
兵庫県在住、男性。PENTAX一筋ですがポートレートを始めて1年半ほどです。組み写真は初めての挑戦です。よろしくお願いします。
PENTAX KPとHD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limitedで撮影。

 

9月の挑戦者その3:Tarouさん

〔クリックで各写真を表示できます〕

 

プール敷地内での撮影でしたが、1枚目(座りポーズ)は若干恥じらいを見せるような表情とポーズとなり、
2枚目(顔と胸のアップ)も未だ思い切った笑顔にはなっていませんでしたが、
若干、寄って撮る形で親近感を表してくれたと感じています。
3枚目(立ちポーズ)はもうモデルさん自身が見晴らしの良い場所で
爽快な気分を感じて自分から楽しんでる表情を魅せていただけました。

Tarou
埼玉県在住、男性。カメラ経験は小学校6年からコンパクトフィルムカメラを4機種程度、コンパクトデジカメを6機種程度、フィルム一眼MZ-30を使用した後に、2013年に初めてK-30でデジタル一眼を触りました。その後K-5IIs、K-3、KPも利用しています。主に風景・人物・音楽ライブ・祭りイベントに子供などを撮影してきましたが、個人的には人物の躍動感を感じ取れる一瞬を捉えた写真が好きです。PENTAX K-70とHD PENTAX-DA 16-85mmF3.5-5.6ED DC WRで撮影しています。

9月の挑戦者その4:にたばるさん

〔クリックで各写真を表示できます〕

 

「外は雨」
家の中までは降らないはずだ。
多分。

にたばる
滋賀県在住、男性。何枚も講評いただき、ありがとうございます。PENTAX K-1とCarl Zeiss Makro Planar T*2/50 ZKで撮影しています。

 

今回の判定について

藤里 一郎師範からの添削コメント

 

道場ラストにして、最大の難問。組写真での「彼女と過ごした時間」というテーマにしました。

もちろん組写真は難しいのです。だからこそラストにトライしてもらいたかった。

なぜ組写真が難しいのか。それは全体としての流れや構成を考えること、撮影の時点でそういった奥行きをイメージしつつ作画していくこと、自信作ばかりで組まない、というようなことが不可欠になってくるのです。

1枚の写真であればなんとかストーリーの後付けもできタイトルも付けられたりしますが、組となるとそうは行きません。でも、大げさなテーマにはしなかったので、どうにか面白い作品が集まればいいなと思ったのですが・・・残念な結果となってしまいました。

まず、1枚1枚が作品として感じられなかった事が大きな原因です。とはいえ、作品とはなんでしょう?という疑問もお持ちのはず。

僕が考える作品とは“撮り手の想いがのっているもの”を指します。

楽しい、悲しい、切ない、そんな想いは乗りやすいものです。だがその想いを3枚組にしたとき感じることが出来ませんでした。いや、なかにはこの写真はインパクトあったなぁ、というのもありましたが、今回はテーマと違うので評価はできませんでした。

寄り、引き、を入れ、想いをのせつつ、可愛く綺麗に撮ってあげてください。でないと女性ポートレイトは成立しないのです。

よって、今回は挑戦者全員まとめて…

 

今回は史上最も厳しい判定、藤里師範としては採用作品なし、本当の意味での門前払いという結果となりました。難しいお題でしたね。
まだまだコロナ禍も続き、全力でポートレイト撮影にのぞむのも難しいと思います。そんな中、挑戦いただいた皆さまありがとうございました。

CHIRIさん、Lokiさん、Tarouさん、にたばるさんにはPENTAX official編集部より「門前払いミニ木札」をお贈りします!

 

ストーリーを感じさせてくれる写真とはどういうものだろう?

そんなことをわかりやすく実感していただくために、藤里一郎 師範の写真展「おんな」Vol.10を訪ねてみるのをおすすめします。

セクシーな写真もあるため「おんな」展では毎度圧倒されてしまいますが、その本質は場面の転換や表情の変化から感じられる緩急であったり、撮影者と被写体の関係性が描き込まれているところにあると思います。

なんとも言葉ではうまく言い表しがたい、漠然とした満足感を抱いて帰途に帰れる、そんな写真展です。ぜひ足を運んでみてください。座り込んで鑑賞するのがおすすめです。(PENTAX official編集長 Yuzu)


(師範も在廊されてますので、情報はTwitterの藤里一郎@shameramanをチェックしてみてください)