早いもので、PENTAX道場のスタートから一年が経過しました。

「師範に作品で挑戦する」という大変にハードルの高い企画ではありましたが、多くの方に挑戦をいただき師範より『免許皆伝』を授けられる会心の一作にもいくつもお目にかかることができました。

これまで道場に挑戦いただいた皆さま、師範の小林 義明さん、藤里 一郎さん、ハービー・山口さん、また、今まで道場のページをご覧いただいたすべての方々に感謝申し上げたいと思います。

本当にありがとうございました。

これからもPENTAX道場は新しい風を取り込みながらも継続していくつもりですが、これまでの一年間師範を務めあげてくださったお三方から、振り返りのメッセージをいただきましたのでここでご紹介いたします。

師範より、一年を振り返って

 

小林義明 師範(風景・ネイチャー道場)

 「道場」なんて大仰な看板を背負ったうえに、皆さんの写真を見て偉そうなことを言ってください、って依頼を受けたときにすごく悩んだんだ。

ふだん教室などで写真を見るときは、撮った人が何を撮りたかったのか・伝えたかったのかを考えて、そこからよりそのイメージが伝わるようなアドバイスをしている。まずは撮り手ありきなんだよね。

でも、今回は教室ではなく道場ってことで、あえて完璧に近い作品を求めてみようと決めた。
それは、テーマの意図を理解してそれに沿った表現ができていること、写真として基本的な技術力があること、「風景・ネイチャー」部門なので自然に対しての愛が感じられること。そして、自分の目で被写体をみつけていること。インスタじゃないんだから、みんな同じじゃなくていいんだよね。

絶景じゃなくても自分がいいなと思ったその気持ちが伝わってくる写真が見たかったんだ。できれば、コメントを読まなくても作者の意図が伝わってくると嬉しい。

そういう部分では、結果的に「門前払い」が多くなってしまった。

まだ始まったばかりだから、みんなもなかなか苦戦しているように思う。でも、ここは教室でもコンテストでもないので、自分の気持ちをぶつけてきて欲しい。

私は10月からも引き続き風景・ネイチャー部門を担当しているので、みんなの挑戦、待っているよ!

もちろん、厳しく見ていくからね!!

引き続き挑戦を待つ!

 

藤里一郎 師範(女性ポートレイト道場)

沢山の作品に出会いました。沢山の想いと好きに出会えました。そしてポエムにも。笑

多方面より「手厳しい」とのお言葉も頂戴しましたが、道場かつ師範というスタンスでの添削で、そうなったのかもしれません。

途中、コロナ禍となってしまい新作の女性ポートレイトが難しくもなりました。
でもめげずに沢山の方が応募してくれたのもうれしく印象に残っています。

そしてこの1年の添削でなにか藤里の想いが届いたらいいな、と思っています。女性を好きに。
女性を可愛く綺麗に。全てをシャッターに捧げることが「女の子」と対峙することになるのですから。

一旦ここで藤里師範のポートレイト道場は閉館しますが、かならずや!またお会い出来る日が来ることでしょう。

その日まで腕とハートを鍛えて待っていてください。

それでは暫くの間、さらばじゃ!押忍。

 

ハービー・山口 師範(スナップ道場)

1年間ペンタックス道場の師範を務めさせて頂き、お題に沿った様々な作品に触れることが出来ました。
私自身も大変勉強になり、刺激も受けました。
お題によって皆さまの熱の入りようが違っているのも感じました。
どんな物事や被写体に興味示すのかは、それぞれの参加者の価値観によるものですが、今まで敢えてカメラを向けなかったお題に挑んでみるのも勉強だと思います。

自身の写真の実力がいかなる場合でも発揮出来たか、出来なかったらその原因は何なのかということを分析すると、得手不得手がわかって将来的には有効なデータになるのではないでしょうか。

しかし、基本は自分が撮りたいものを撮り続けて頂きたいので、お題を撮ることは勉強のプロセスと思って頂けたらと思います。

 免許皆伝になった方々の作品を改めて拝見すると、やはり作者の思いが作品から立ち上ってくる、そしておやっと思わせる何かがあり、写真を見る人の心に何らかの刺激を与えてくれています。

 文章の表現という観点で例えて見ましょう。
例えば「青い空」を表現するのがテーマだとします。

単純に「空が青いね!」でも良いですが、「なんて気持ちの良い空の色だろう!」「希望が湧く空の色だよね」「君と一緒に、この空を眺めていたい!」「いつかまたこんな綺麗な空が再び僕の頭上に広がったとしたら、その時、僕は誰と一緒なんだろう?」「綺麗な空を見ても昔は何も思わなかったんだ、でも今は違う、この青が心にしみるよ!」
写真も同じで、どんな撮り方をするかの工夫次第で、その作者なりの個性が出たり、より正直な表現になっていくのです。

どの表現が自分にとって正しいのか。
その辺りがおぼろげに見えてきたら、ご自分を信じて是非続けて頂きたいですね。

皆さまのこれからが楽しみです。

1年間のお付き合いを頂戴しまして、誠にありがとうございました。

免許皆伝」となった作品のご紹介

あらためて、これまでの一年間で免許皆伝を得た強者たちを、作品、師範のコメントとともにご紹介させていただきます。

Masamuraさん(2019年10月 小林義明 風景・ネイチャー道場 お題『いのちの景色』)
『紫陽花の子カマキリ』紫陽花に羽化して間もない子カマキリが一匹。沢山いたであろう仲間の姿は無い。自然の厳しさを思い知る。

広島県在住、男性。PENTAX K-70とsmc PENTAX-DA 18-55mmF3.5-5.6ALで撮影。

小林義明 師範から作品について
私はこの写真好きだなぁ。何が好きなのかって、アジサイの中にいるカマキリの存在が、自然のなかそのままの雰囲気を伝えているように感じられること。この写真をパッと見たときには、カマキリの存在に気づかない人もけっこういるんじゃないだろうか。日頃、私たちの多くは花の上にいる虫達の姿なんて、意識もしていないだろう。それに、彼らも気づかれないようにひっそりと暮らしている。だから、たいていの人はこんな小さな虫達がいても気がつい。この写真も、パッと見るとアジサイを撮影したように見えるけど、よく見ると、ああ〜、いるじゃないか、カマキリの子が!そんなカマキリの子を発見したときのリアルな感じが思い起こされて、いいと思うんだ。コメントには孵化したときにはたくさんの仲間がいたはずなのに、いまではこの一匹しか見られないということが書かれていたけれど、みつからないからこそひっそりと生き延びていられたんだよね。写真でいちばん大切なことは、気持ちが伝わること。技術や条件だけで撮れる写真は運が良ければ誰でも撮れる。でも、撮影者のはっきりした意図があってそれが伝わる写真というのは、簡単なようで難しいのだ。なので、免許皆伝を授けたい!

kじぃ~さん(2019年11月 小林義明 風景・ネイチャー道場 お題『紅葉の鮮やかさ』)
この年は落葉前に雪が降り、一気に落葉した散りモミジの鮮やかさを表現したものです。

北東北を主に、風景や祭り写真撮影を楽しんでいます。古希を迎えました。PENTAX K-5 IIsとsmc PENTAX-DA★50-135mmF2.8ED[IF] SDMで撮影。

小林義明 師範から作品について
一面に散った真っ赤なモミジの葉と溶けかかった雪。イメージしていても滅多に恵まれないこのチャンスに見事に出会うことができた。とてもいい雰囲気にまとめられていて、これは免許皆伝だ!!落葉したての色鮮やかなモミジが一面に敷き詰められていて、一気に落葉が進んだことが感じられる。余程の嵐だったのだろう。これが数日かけて落葉したのであればモミジも色褪せてしまったりちぢれてしまったりして、こんなに美しくはならない。またそこに積もった雪。適度に融けて赤とのコントラストが美しい。雪の方が多いようだと、雪の方が目立ってしまってだいぶイメージが変わってしまったところだ。雪が融けて葉が濡れているので、赤い色はシットリしていっそう魅力的に見せられている。そして根本に苔の生えた幹も緑が画面のアクセントとなり、赤とのコントラストも美しい。最近のインスタ映えスポットでは、安っぽくヤラセの自然風写真を見かけることも多くなったけれど、こういう正統派のすばらしい風景こそその価値を認められるべきもの。自然の前では謙虚にあるがままを受け入れながら、これからも良い景色との出会いを期待して撮影に出て欲しい。

にたばるさん(2019年11月 藤里一郎 女性ポートレイト道場 お題『日の丸構図』)
『ミドリノヒカリ』冬の海の光はどことなく緑がかっていて。彼女が笑うと、光の温度が。3℃くらい上がった気がする。

京都府在住、男性。2013年にK-30を買って、カメラにはまる。最近は写真の深みにはまっています。PENTAX K-1とTAMRON SP AF 28-75mmF/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACROで撮影。

藤里 一郎師範から作品について
お、これはこれは!見事な日の丸構図!そして逆光からのフレアがもたらす柔らかい描写。なにより彼女の表情から二人の会話が聞こえて来そうだし、カメラマンへの安心感すら覚えますよ。ボリュームのあるお洋服も少し寒くなってきた空気感が表現されています。また、綺麗にボケつつ背景の情報が残っているのも好きなポイント。誰もいない海より声が聞こえて来ますね。温かな雰囲気のとても良い写真です。初めての免許皆伝です!おめでとう!

taka-jinさん(2020年3月 藤里一郎 女性ポートレイト道場 お題『大胆に切る』)
夕暮れ時の公園での撮影です。背の低い街路灯を使い、夜の雰囲気にしました。

愛知県在住。休日カメラマン、シャッターを押している時が好き、でも現像は苦手です。PENTAX K-1 Mark IIと smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limitedで撮影。

藤里 一郎師範から作品について

いやぁ、これは大好きな感じですぞ!とてもドラマチック。瞳に写り込む印象的な光源や、少し赤くなったお鼻、唇が見えないような手のしぐさ。なにより強い視線の作品です。
光源の映り込みがもたらす効果か、印象として少し涙ぐんでいるようにもとれる。そして後ろの光のボケがとても綺麗です。少し赤いのが混ざっているのもアクセントとなっていて、まるで夜の街の雑踏を想像できる。また少しザワザワとした音までも聞こえて来そうなステキな作品です。カラコンが少し見えているのがマイナスポイントではありますが、それより大胆なフレームと影、全体構成の完璧さを評価しました!ひさしぶりの免許皆伝です!おめでとうございます。

hamuphiさん(2020年3月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『観光地の仕草』)
富士を撮りたくて大観山PAに着いた時、たまたま手をかざして見ている方がおりました。後ろ姿に引き込まれるような感覚を覚えシャッターを切った次第であります。

神奈川県在住、男性。単焦点メインでやっております。PENTAX K-1とsmc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limitedで撮影。

ハービー・山口 師範から作品について

素晴らしい構図と階調に感心しました。大観山には私もバイクや車で何度も行ったことがあります。ここから芦ノ湖と富士山が手の届くように近くに見えて、さてここから伊豆方面に行こうか、箱根の温泉に行こうかなど、短い旅の楽しさを満喫しました。作者はここで手をかざしている方の後ろ姿を見つけて撮影するわけですが、その被写体の魅力を瞬時に見極め、的確な構図を得たということで、写真の適性がとても高いのではないでしょうか。またモノクロにしたことで、光と陰、それと山々が作りだすグレーの階調の美しさがより強調されています。なぜモノクロで撮影するのですが?と聞かれることがあるのですが、まさにこの写真が物語っているように、光と構図、グラデーションの美しさを、シンプルな中に強調できることがモノクロの強みなのです。構図、シャターのタイミング、階調表現などが、いずれも素晴らしいレベルなので、免許皆伝とさせて頂きます。

製剤屋さん(2020年4月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『階段』)
新興住宅地だと、階段が無くなってきていて、スロープが増えてきているのを痛感しました。

茨城県在住、男性。気になるものを節操なく撮っています。PENTAX K-1  Mark II とsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedで撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
巧みな構図だけでも立派に成り立っている写真です。画面手前に写っている3段の階段や自転車止めのパイプ、遠方の階段や手すりを見事に一枚の絵の中にまとめています。モノクロであることで、余計に白黒の階調や構図が強調されているのでしょう。色がアクセントになって画面を引き締める例はあります。そうした色がモノクロ写真では存在しません。ですがその代わりに光、構図、表情が強調されるという特徴がモノクロ写真にはあるのです。人物を呼び込んだら、どう言った写真になるのかを見たい気もします。ですがこの写真を見る限り、人物が不在が故の清々しさがあります。免許皆伝です。

製剤屋さん(2020年4月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『階段』)
次に人が通るのは何時のことでしょう。

茨城県在住、男性。気になるものを節操なく撮っています。PENTAX K-1  Mark II とsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedで撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
画面右手の遠方に階段があり、画面のほとんどを雑草が生えた地表で構成されています。かつてはここに何かの施設があったものの、何かの理由で取り壊されたのか。それともただの広場で、たまたま人が利用することなく、雑草が生えることになってしまったのか。全国にはこうした栄枯盛衰を物語る光景が沢山あると思います。その歴史を想像するだけでワクワクしてきます。階段があることで画面がよりドラマティックになりますね。構図も上手いです。重くなりがちなテーマではありますが、雑草の中に所々白く輝く葉っぱや花が美しく、救いになっています。こちらも免許皆伝でしょう。

YTさん(2020年5月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『点景を撮る』)
雨の中、空港近くの好きなポイントにて。実際は耳に轟音が響いている。でも撮った瞬間、心には静寂と時が止まった感覚があった。

福岡県在住、男性。どう写すかではなく、何を撮るのか。ドラマはあるか。PENTAX MX-1で撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
物事は全て何が幸いするか分からないのが世の習いです。晴れの日には晴れの日の、雨の日には雨の日にしか撮れない写真があるものです。この写真の中で、うっすらと見える飛行機の存在が見事です。単純に考えると、晴れた日に旅客機の色彩豊かな勇姿を撮りたいと思ってしまいます。それは間違いではなく、低空飛行の迫力を捉えた写真は数多く撮影されています。ところがこの霧の中に見える条件での撮影が功を奏し、意外性のあるすばらしい作品が生まれました。普通に考えがちなアプローチと逆の条件を選ぶことは時に賭けのようなことになりますが、名作を生む土壌になるものです。免許皆伝でしょう。

いっぺいさん(2020年5月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『点景を撮る』)
海辺で遊ぶ楽しそうなご家族に惹かれ、シャッターを切りました。

静岡県在住、男性。写真を通じて豊かな情操を育んでいけたらと思っています。よろしくお願いいたします。PENTAX K10DとHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedで撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
これも子供たちは点景であっても存在感が抜群ですね。位置といい、動きある形といい、防波堤の先端に走って行く姿が楽しそうで美しいです。同時に画面には防波堤と海と空と遠くの山並みが写っていますが、モノクロのトーンがやはり美しいです。また中景にある防波堤の黒の締まった部分が画面を引き締めています。つまり、静の中の動と言えば良いのでしょうか、登場人物の動き、階調、構図の三つ巴の良さが一枚に凝縮されています。海辺には良くある光景ではありますが、よくここまでの完成形を捉えました。免許皆伝です。

チビ太さん(2020年7月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『浜辺の風景』)
今年の3月中旬の江ノ島。素直に今を楽しんでいる二人の子供が妖精のように見えました。彼らがいくつになっても変わることなく仲良くいて欲しいと思いました。

東京都在住、女性。いつか写真を第二言語にしたいと思い、毎日見えたものを撮っています。写真が大好きです。よろしくお願い致します。PENTAX K-1とsmc PENTAX-FA 50mm F1.4で撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
なんと言っても二人の子供の水際で遊んでいる姿が一目瞭然で目に飛び込んで来ます。彼らの声が聞こえて来るようですね。そして海水を含んだ浜辺に彼らの反射像がくっきりと捉えられています。波が引いた直後というタイミングだとこの反射が得られますが、1秒遅れると海水が砂に染み込んでしまいますので、反射像は消えてしまい、次の波を待たなければなりません。女の子の爪先立ちの形、男の子が波の方に駆け寄っているのか右足が上がっている動きが捉えられていますが、子供達の気持ちの高鳴りがを示す要素になっています。作者のコメントを読ませて頂きましたが、写真には作者が込めた被写体への愛が見え隠れするものだと思いました。空のトーンも白トビせずに雲の表情が残っているところも丁寧さが出ています。お見事、免許皆伝です。

Switch.さん(2020年8月 ハービー・山口 スナップ道場  お題『窓から見た構図』)
車中で一休みしたときに見えた風景です。窓が半分しか開かないのでそれがかえって面白いなぁとおもって撮影。フリーソフトで現像時にティールアンドオレンジに。

群馬県在住、男性。多趣味(ピンポン・将棋・写真・etc)ですが、その全てが下手な横好き、趣味を楽しむには最高レベルだとおもいます。(汗)Switchは両利きで左右切り替えができるからです。Qシリーズ大好き。PENTAX Q-7と02 STANDARD ZOOMで撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
車の窓から外に駐車している車を撮影しました。画面の中の車を数えると16〜17台写っています。ウインドーを半分開けた状態で撮りましたから画面上部は露出がオーバーになっています。この露出の違いや木漏れ日などの要素から、単なる車のウインドー越しの風景に留まらず、光のドラマが美しい構成になっています。アメリカの写真のムーブメントであるニューカラーという作風を感じます。何気無い光景ですが、見れば見るほど味に気付くのです。ウインドーを半分開けたことなどもそうですが、さりげない工夫が大きな差を生むものです。

YTさん(2020年9月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『消えゆくもの』)
故郷、子供の頃から何度も訪れている近所の公園にて。過去に自分も何度も乗ったブランコが撤去されようとする前の姿。いろんな思い出がよぎり、切なくなった。

福岡県在住、男性。どう写すかではなく、何を撮るのか。ドラマはあるか。PENTAX K-01とsmc PENTAX-DA 50mmF1.8で撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
作者自らがかつてこのブランコで遊んでいたそうで、撤去される前の姿を眺め切なくなったという。この気持ちは大いに写真を見る人々の共感を呼び起こします。この写真の優れているところは、撤去を待つブランコが黄色いフェンスで囲われいるのだと想像しますが、そのフェンス越しに、かつ浅い被写界深度を使って叙情的に表現したことです。その浅いピント面にかろうじて捉えたブランコの一部分と手前の乾いた雑草が、記憶や時の流れによって生じた作者の感情に共感し、あたかも合唱しているがごとく儚く写っています。

にたばるさん(2020年9月 ハービー・山口 スナップ道場 お題『消えゆくもの』)
「昭和98年」平成も終わるころに残っている建屋。ヘッドライトが照らしている名残。

滋賀県在住、男性。厳しく、やさしく、温かいコメントがいつも楽しみでした。PENTAX K-1とsmc PENTAX-DA 50mmF1.8で撮影。

ハービー・山口 師範から作品について
ある建物の中を覗くとその中には荒れた室内が見受けられ、木造の木枠や梁がむき出しになっています。壁に女性がモデルになっているポスターが4枚貼ってあり、全体が赤く発色した色調が尋常ではない雰囲気を醸し出しています。謎めいた中に時間と好奇心と生活が凝縮されていると思いました。普通の家なのかお店の跡なのか、一見しただけでは判断出来ません。コメントによるとタクシーのヘッドライトが当たった照明ということですが、ドラマティックな映像を作る偶然のアシストとなりました。かつて写真家の木村伊兵衛さんの撮影に同行した方から聞いた話ですが、木村さんは新しいものではなく、消えて去ってしまうものにカメラを向けていたそうです。

 

これまでたくさんの作品投稿をありがとうございます。何度も挑戦されたうえで『免許皆伝』を勝ち取った方にも出会うことができました。

今後もも引き続き、今まで以上に多くの方々のPENTAX道場への挑戦をお待ちしています!

>>2020年10月以降のPENTAX道場について