1月のお題は…『人間』

林 和美 師範

自分は「人」のどこを見て美しいとおもうのか?その人らしさを引き出すのか、形の美しさを表現するのか。「人」をモチーフにして自分の切り取りを見つけてください。





林 和美 師範からの1月のお題は『人間でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

1月の挑戦者その4:にきーのさん

コンセントのプラグに手をかける。
何気ない日常の繰り返し。プラグのどの部分を持ちますか?
人の個性があらわれると感じます。

にきーの
東京都在住、男性。FA やFA Limitedレンズで街を散策しながら都市風景をスナップ撮影するのが楽しみです。 PENTAX K-1 Mark IIとsmc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

林 和美 師範からの添削コメント

 

「人間」を切り取ることを考えて、プラグをコンセントにさすところを写真にするなんて、面白い。
普段あまり気にしたこともなかったので、新鮮だった。大胆な切り取りも良い。人差し指に力が入ってる感じが、なるほど人の個性があらわれているのかもしれない。

しかし、ピント位置が良くない。

レンズは、smc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8とのこと。
マクロレンズは、他のレンズよりもピントの位置に注意しなくてはいけない。ピントのある位置というのは、その写真で作者が何を撮りたかったかである。
そうすると、この写真は、手の皮膚を撮りたかったと誤解されてしまう。
プラグの持ち方に、人の個性があらわれると感じ撮影したのなら、このピント位置は残念である。
指先にピントと、もう少しだけ被写界深度が欲しかった。

1月の挑戦者その5:ichiさん

孫の写真です。この角度が一番良く表現できました。

ichi
東京都在住、男性。PENTAX道場の挑戦やフォトスクール参加などの機会で写真を楽しんでいます。PENTAX K-70とsmc PENTAX-DA 50mmF1.8で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

林 和美 師範からの添削コメント

 

目の前を少し通り過ぎた瞬間。表情がほんの少しだけわかる顔の見え具合。かわいいピンクの洋服、赤い靴。その背景にある緑の植え込みとの重なり具合。
髪や頬の輪郭を縁取る光。その差し込む位置と方向の具合。なかなかに良い。

偶然かもと思い、作者のコメントをみると「孫の写真です。この角度が一番良く表現できました。」とある。
撮った時は偶然だったとしても、この写真を見逃さずにセレクトしたことは、力がある証拠である。

しかし、ここは切り取り道場。赤い靴が中途半端に切れてしまっているのが、残念だ。
そして、やはり、もう少しドラマが欲しい。
なにも特別なことでなくてもよい、被写体をセンターではなく、少し右が左に配すれば、それだけでもドラマが始まる。

1月の挑戦者その6:にたばるさん

「school girl」
一瞬のキラキラさが、今でも憧れで。

にたばる
滋賀県在住、男性。押忍!よろしくお願いいたします!!PENTAX K-1とCarl Zeiss Distagon T* 25mm F2.8 ZSで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

お見事!

林 和美 師範からの添削コメント

 

シチュエーションの面白さ、モデルさんのポーズ、切り取り方、どれも良い。

ゴンドラの外のクロスするワイヤーと、クロスしたモデルさんの手と足のラインがシンクロしていて美しい。そのまっすぐな線の中で、スカートの乱れたプリーツさえも美しく感じる。直線を基調とした画面で、柔らかな髪の曲線がアクセントとなっている。

空の青、スカートの紺色。モデルさんとの空中散歩撮影。大胆に顔をカットしたことで、特定の誰かではなく、見る人によって相手を想像出来るところが良い。

画面中央には、唯一肌が露出している手がある。ゴンドラ内部の白によるレフ効果で美しい光に照らされいる。「人間」というお題において、実にいい脇役である。

文句なしの免許皆伝。
ただ一点、残念なのは、窓枠の注意書きである。足かスカートで隠すことは出来なかっただろうか。。

 

師範より1月の総評

まずは、「人間」という難しいテーマに挑戦してくれた挑戦者達を称えたい。

ポートレートではなく、人間。きっと、どう撮れと言うんだ?と悩んだと思う。悩んで考えることに意味がある。普段通りの思考ではなく、負荷をかけることで写真筋力をつけて欲しかったのだ。

さらに「人間」という被写体には、感情がある。そして、被写体は、撮影者の鏡である。二人の感情が一致した時、素晴らしい切り取りになるのだ。

さて、挑戦作品はというと、とにかく写真とカメラを楽しんでおられるのが、伝わってきた。さすがは、ペンタックスユーザーさん達だ。

ただ、撮った瞬間の「おっしゃ!」「くー、たまらん」と言う興奮の声が聞こえてくるものが、少なかったように思う。被写体をしっかりと見つめて、ファインダーの隅から隅を把握し、自分の意思でシビアに切り取る。思うように切り取れた時の興奮が伝わってくる作品がもっと見たかった。

もっと、世界を自分が切り取っているという感覚を持って欲しい。

師範よりご挨拶
2ヶ月間、道場の師範としてお世話になりました。
皆さんの作品を拝見出来て、一緒に道場を作っている感じが、とても楽しかったです。
ありがとうございました。

 

記念品のお届けについて

にたばるさん免許皆伝おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!

にきーのさん、ichiさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は2月下旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。