DCU5_里び再現像画像(*istDL)

ども、”こっしぃ”です。

先日、PENTAX K-3 Mark III (以下単にK-3 Mark IIIといいます)のファームウェアアップデートで、カスタムイメージの新画像仕上「里び(SATOBI)」が追加になりましたが、それと呼応する形で、Digital Camera Utility 5 (以下DCU5といいます)も「里び(SATOBI)」対応版(Ver.5.9.3)にバージョンアップしました。今回は、DCU5 Ver.5.9.3で追加した機能について紹介致します。
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第8回 里び(SATOBI)仕上を過去機種に (Ver.5.9.3の新機能)

新画像仕上「里び(SATOBI)」に対応

なんといっても今回のバージョンアップの目玉は、K-3 Mark IIIのファームウェアアップデートで追加された、カスタムイメージの新画像仕上「里び(SATOBI)」に対応したことです。DCU5での対応内容は、以下の通りです。

・情報表示対応
DCU5をVer.5.9.3にアップデートすると、画像ファイルリストで里び画像を選択した際に、撮影情報表示の「画像仕上」欄で「里び(SATOBI)」が表示されるようになります。また、撮影情報一覧保存で書き出すCSVファイルや、インデックス印刷する際のキャプションの画像仕上項目にも反映されます。

撮影情報表示欄での里び表示

図1 撮影情報表示ページでの里び表示(赤字表示は前表示コマとの差異, また一部の項目は非表示設定状態)

・Laboratoryモードのカスタムイメージパネルでの画像仕上設定対応
Laboratoryモードのカスタムイメージパネルの画像仕上コンボボックスのドロップダウンリストに「里び(SATOBI)」が追加され、画像仕上に里びを選択したパラメーター調整が行えるようになっています。これにより、ファームウェアアップデート後のK-3 Mark IIIやK-1 / K-1 Mark II で里びに設定して撮影した画像を読み込んだ際に、撮影時の設定がカスタムイメージパネルの初期値に反映されるほか、DCU5で対応している全機種(ファームウェアアップデート前のK-3 Mark III / K-1 / K-1 Mark IIを含む)により撮影された画像ファイルを読み込んで、画像仕上に「里び(SATOBI)」を指定することができます。

参考として、2006年に*istDLで撮影したJPEG画像をDCU5 Ver.5.9.3で再現像した例を示します(図2)。図の左側は元の画像(オートピクチャー:風景)、右側はDCU5 Ver.5.9.3で里び(SATOBI)を指定して再現像したものです。撮影の際手持ちのカードの容量に余裕がなかったため、あまりRAWで撮影していないのですが、JPEG画像の再現像でも十分お楽しみいただけることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

図2 *istDLで撮影したJPEG画像の再現像による里び(SATOBI)適用例[左:元画像(オートピクチャー:風景)、右:再現像(里び(SATOBI))]

・画像処理対応
Laboratoryモードでのプレビューや、カスタムイメージパネルで里びを指定して「展開して保存」を行う場合はもちろん、里びが指定された未処理の画像ファイルについて、設定されたパラメーターを反映して印刷する場合(フォト印刷で「パラメーターを反映して印刷」にチェックを入れて印刷する場合または試し刷り印刷する場合)や、Browserモードでパラメーターを反映して画像表示する際にも有効です。

撮影情報表示にアストロトレーサー種別を追加

図3 撮影情報表示でのアストロトレーサー種別表示

Shake Reduction ユニットを用いて天体追尾撮影を行うアストロトレーサー機能に、K-3 Mark III から追加されたのが、追尾速度を落として星景撮影(星空と地上の風景を同時に写し込む撮影)に適した天体追尾撮影を行う、”Type2″モードです。またさらに、先日のオンラインイベントの際に発表されたように、GPSユニットの情報を使用しないでアストロトレーサー撮影を行う”Type3″モードも導入されます(2022/02/04現在、K-3 Mark III用ベータ版ファームウェア限定公開中)。そこで、どのモードでアストロトレーサー撮影をしたかがわかるように、撮影情報表示パネルの表示項目に「アストロトレーサー」を追加しました。なお、K-1系などアストロトレーサーのモード種別がない機種の場合は、アストロトレーサー画像を表示した際、単に”オン”と表示されます。図3にアストロトレーサーType3で撮影した画像における撮影情報表示の一部を抜粋したものを示します。Type3はGPSユニットの情報を必要としないので、撮影情報表示でもGPS情報が表示されていないことが解ります。

ホワイトバランス微調整のステップ細分化およびカメラ設定の反映

K-3 Mark IIIから、ホワイトバランス(以下WB)微調整の調整ステップが従来機種の半分になり、全体の調整ステップ数が±14段になりました(全体としての調整範囲は同じです)。そこで、遅ればせながらDCU5でもWB微調整のステップを半分にし、スライダーの調整段数を±14にしました。これにより、LaboratoryモードでのWB微調整が K-3 Mark III 同様細かく調整できるようになっています。

ちなみに、WB微調整が最大±7段と最大±14段のどちらで設定されているのかが解るよう、撮影情報表示のWB微調整値表示の桁数を変えています。例えば、新旧両仕様においてWB微調整でアンバー側に5段振った場合、”微調整A-B”項目での表示は旧仕様(5.9.2以前で処理したもの)では”Amber 5″となりますが、新仕様では”Amber 05″となります。同じ5段でも前者は後者の2倍の調整量となりますので、前者を新仕様で読み替えると”Amber 10″となります。

図2 撮影情報表示における新旧仕様のWB微調整値の表示例[左:旧仕様画像、右:新仕様画像]

また同時に、画像ファイルをLaboratoryモードで読み込んだときの調整パラメーター初期値に、カメラでのWB微調整値を反映するようにしました。従来はカメラでWB微調整を行っていても、Laboratoryモードで読み込む際にはカメラでのWB微調整値を考慮していなかったので、カメラでの撮影時の状態にするには、WB微調整を手動で設定する必要がありましたが、今後はそのような手間なく撮影時の設定からパラメーター調整を開始することができるようになります。

今回は、DCU5 Ver.5.9.3のアップデート内容を紹介しました。K-3 Mark IIIおよびK-1系以外の機種をお使いの方で、カスタムイメージの新画像仕上「里び(SATOBI)」が気になっていた方は、是非DCU5でのRAW展開またはJPEG再現像で里びを試してみていただきたいと思います。

 

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