~広い広い世界を、自分の思い通りに切り取れるなんて最高じゃないか。

第11回「110で切り取る」

今、あなたは、退屈を感じていないか?

毎日同じルーティンワーク、コロナ禍での外出自粛。何か面白ことないかなぁ。そんなことを思ってないだろうか?

 



 

今日の相棒は、アサヒペンタックス auto110+24mm f2.8だ。1979年、世界初の110フィルム対応レンズ交換式一眼レフカメラとして誕生。翌年1980年には、米国NASAの星座観測用ロケットに搭載される。ペンタックス (旭光学工業)ならではの画期的なカメラである。

 

このカメラなら、きっと退屈を吹き飛ばしてくれる。

 



 

とにかく小さい。幅10センチ弱、言葉通り片手に収まる。構える時も普通の一眼カメラと違い、左手で支えるというよりは、右手で掴む感じだ。ファイダーを覗くと、MFカメラ使いには見慣れたスプリットイメージが見える。巻き上げレバーを2回巻き、ピントが合ったら、シャッターを切る。カシャと小気味いい音がする。この音を聞けば、コイツが小さいながらガラスプリズムとミラーを持った立派な一眼レフカメラであることを感じる。

 



 

 



 

そう言えば、今年発売されたばかりのPENTAX K-3 Mark IIIも一眼レフカメラだ。他のメーカーがミラーレス一眼にシフトしていく中、ペンタックスは、どうしてこんなにも一眼レフにこだわるのか?

 

それはこのページに集約されている。>>PENTAX STATEMENT

 

日本で初めて一眼レフを造り上げたPENTAXだから、その功績を捨て切れないのか?いや、そうではない。それが次の文章に集約されている。

 

“レンズ、ミラー、プリズムファインダーなどの機構がもたらす直感的なフィーリングは、「気持ちいい」。”

 

ただその一言。

 

国産初の一眼レフカメラ「アサヒフレックス I」、その大きさゆえに「バケペン」(バケ=化物)と呼ばれることになるペンタックス6x7、今回の小さな相棒auto110、そして最新デジタルカメラK-3 Mark III。小さくても、大きくても、フィルムでも、デジタルでも、こだわるのは、とにかく「気持ちいい」なのだ。

 

 



 

私にとって写真を撮ることは、「覗く快楽」である。その快楽のためのカメラは実際に写真となるレンズを通した世界を、そのままファインダーで覗けなくてはならない。それが一眼レフカメラなのだ。

 

ミラーレス一眼の場合、電子ビューファインダーを覗いた時、ファインダー内のモニターを見せられている感じがしてしまう。モニターに写っているのは、自分が見ている広い世界ではない。そんな気がしてしまうのは、私だけだろうか?

 

 

 

 

auto110でしょ?知ってるよ、110フィルムを使う小さいカメラだけど一眼レフでレンズ交換式だから当時は注目を浴びたカメラだよね。と知識だけで使ったことがない人は、残念だ。知識は大切だし、たくさんあっても邪魔にはならないが、経験にはかなわない。やってみてわかることがたくさんある。そこに面白さがあるのだ。知識は、やってみることで、自分のものに出来る。もし、今、あなたが退屈を感じているなら、ひとつでも知識を経験に変えるといい。auto110のファインダーを覗き、小さなレンズのピントリングを人差し指と親指で回してピントを合わせる行為に、理屈ではなく写真の面白さを見つけるかもしれない。

 

 

(おまけ)

現在、auto110は中古カメラ屋さんやオークションで、比較的簡単に手に入るが、フィルムは、>>ロモグラフィーさんのものしか手に入らない。

 

また現像・プリントも対応してくる写真屋さんは少ないのでご注意を。今回お願いしたのは、西東京市の>>株式会社西村カメラさん。郵送サービスあり。