“気づき、発見、再確認。あらためて振り返るそんな時間も写真日和だ。”
普段散歩や写真撮影していて「皆はどんな光が好きなのだろう。」と思うことがある。
・ 逆光
カメラを向けた被写体の背後から当たる光。輪郭がふんわりとして柔らかい雰囲気に仕上がる反面、シルエットを強調した撮影にも活かされる。
・ サイド光
被写体の横から当たる光。被写体に明暗差が表れて立体感が感じられる。
・ 順光
カメラの後ろに光源があり、被写体を具体的に見せ、色の再現性が高くハッキリと鮮やかに写し出す。
でも、それはちょっと写真撮影的な光の捉え方。
カメラで撮影しているのだから当たり前だろう。と思う人もいるかもしれない。
もちろん知識として必要なことだけど。
私はそれよりも大切にしている光の見方、感じ方があり、好きな光がある。
それは晩秋から冬にかけての光だ。
朝~午後にかけての青白く澄んだ空気を感じさせる青い光。
ひんやりとした緊張感さえ感じる透明感が美しい光。
昼間~午後の暖かさを感じる優しい光。
ぽかぽかとしてきて、身体もほぐれていくように包まれる光。
夕暮れの斜光。
普段、当たり前すぎて見えないものにスポットを当てるような光。
薄暮から夜の光。
空の青さが増すと夜の街に光が灯り街が動き出す。イルミネーションやネオンの光。
この季節は時間によって色温度の変化が多様で、様々な角度から被写体の表情を引き出すことができる季節だと思っている。
―ある日、生徒さんが走る列車に光が射す様子を見て「いいですよねぇ、キラッとした輝き。冬ならではですよね。」と。また別の人は、歩きながら「あぁ、こういう低い日差し、日が暮れていく感じ。人影がシルエットになっていいですよぇ。」と、口にしていたのを聞いて少し安堵した。
その感性を大切にしていろんなものを見つめて欲しいからだ。
以前新聞で読んだ芸術家の対談記事を思い出す。
「子どもの頃に夕陽を見て「きれいだねぇ」と傍らにいた母に語り掛けたその子は、すでに美しいものを美しいと感じられる感性を持っていて、知らぬ間に感覚を養われているんです。」と。
私たち日本人は生まれながらにして意識することなく季節によって変化する光を感じられる贅沢な環境の中にいる。その恩恵を受けている。だから改めて感じようとしないと自分自身がどんな捉え方をしているのかなかなかわからないのかもしれない。
冷たい空気を吸い込んで深呼吸し、感覚を研ぎ澄ませ、ゆったりとした歩幅で歩けば幼少期の自分に出会えそうな気がした。
暮行くグラデーションの美しい空を見上げてちょっとセンチメンタルになった。
―そんな日は写真日和だ。