~広い広い世界を、自分の思い通りに切り取れるなんて最高じゃないか。

第16回「適正露出で切り取る」

写真を勉強する時、最初のうちに習うのが露出だろう。明る過ぎず、暗過ぎず、ちょうど良い明るさで写っていること。そのために、シャッタースピードと絞り、感度を調整する。

では、明る過ぎるたり、暗過ぎる写真は、ダメなのか?

「標準露出と適正露出は違う」という考え方がある。被写体を忠実に画像を再現する適切な光の量を「標準露出」、撮影者が意図するイメージを表現するための露出を「適正露出」とする。言葉の問題で、曖昧ではあるが、なるほどだ。

 

 

 

今日のお供は、KP+ smc PENTAX-M 35mmF2.8 。

私は、KPが写し出す黒が好きだ。実に美しい。なぜだろう?

高感度に強い。そのことが関係しているのだろう。高感度に強いということは、暗いところでも明るく撮れるということだが、それだけでない。暗いところを美しく撮れるということなのだ。だから黒が美しい。

KPが、星空を撮影する多くのカメラマンに選ばれる理由は、背面モニターの赤色画面表示とか、O-GPS1との組み合わせでのアストロトレーサー対応だとか、機能的なことだけではなく、その描写の美しさからだろう。

 



 



 



 

今回は、その黒の美しさを感じるために、私の「適正露出」で撮影してみた。

私が好きなKPの黒は、標準露出より2段アンダーくらい。美しいだけでなく、どこかやるせない。赤、緑、青、それぞれの色が発色を抑え、黒に従う。そして黒は、全ての美しさを手に入れ、同時に悲しさも引き受ける。そんなイメージだ。

その黒は、光学式ファインダーを覗いた時には、見ることの出来ない黒だ。フィルムカメラで撮影して、プリントの上がりを見るように、モニターで確認する。常に仕上がりが見えているEVFではない故の、無駄にも思えるこの手間がいい。

 

 



あなたにとっての「適正露出」とは?

今度撮影に出る時は、いつもの撮影よりも露出に変化をつけてみて欲しい。きっと新しい適正露出を発見するだろう。

標準(当たり前)というのは、場所や時代に左右される。標準に捉われない、自分の「適正露出」を探して欲しい。