夏至も近づいてきた梅雨の晴れ間、自転車に乗って江の島へ向かった。
見事な二日酔いの朝である。昨夜は夫の誕生日ということもあって地元の寿司店に出かけたのだが、居合わせた常連客と意気投合してついついお酒が進んでしまった。ちょうどF1シーズンということもあり早朝からカナダGPを観戦していて、頭はぼうっとしているものの目はすっかり覚めている。昨日の余韻を楽しみつつ一日だらだらするプランにも惹かれたが、せっかく太陽が顔を出してくれたのだ。K-3 Mark IIIをたすき掛けにして自転車のペダルを踏み込んだ。

 

PENTAX K-3 Mark III+smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 絞り:F3.2 シャッタースピード:1/8000 感度:ISO200

 

カメラはミラーレスもレンジファインダーも一眼レフも使う。八方美人で大いに結構。そもそも写真家なんて移り気でなければ務まらない職業である。朝はキャンプ場で地べたに這いつくばって朝露に濡れたドクダミを撮っていたと思えば、夜は料亭で芸者衆を撮影していたりするのだ。仕事だからこのカメラ、というのはあるが、ふらっと出掛けるときに選ぶカメラはそのときの気分次第。浜に出るときは防塵・防滴構造のほうが安心だから今日手にとったK-3 Mark IIIはナイスチョイスである。
自宅から江の島までは約7km。歩くには少し距離があるが、自転車だとちょっと撮影に行くにはちょうど良い距離だろう。Tシャツを着ただけの腕を朝のひんやりとした空気が撫でてゆく。すでに海から戻るサーファーの姿をちらほらと見かける。今日はさほど波があるわけではないが、5月を過ぎれば週末はボードにまたがって波間に漂っているだけでも気持ちが良いものだ。

 

PENTAX K-3 Mark III+smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 絞り:F3.2 シャッタースピード:1/6400 感度:ISO200

 

レンズは smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedを装着。もはやK-3 Mark IIIの標準レンズという感覚である。
鵠沼海岸に到着すると、朝の7時台にもかかわらずかなりの人出。どうやら今日はサーフィンのコンペティションが開催されるらしい。すでに遊泳区域の境界線となる白杭が設置されていて、海開き間近の高揚感が浜に充満しているようだ。いいぞ、いいぞと心の中で呟く。K-3 Mark IIIのシャッター音と心地よい振動とともにシャッターを切ってゆく。そう、一眼レフの気持ち良さというのは、シャッターに気分が乗せられる部分もあるのだろう。夏間近の弾むような気持ちと同じようなものだろうか。

 

PENTAX K-3 Mark III+smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/2500 感度:ISO200

 

江の島に渡ると島内はまだ朝の静けさを残しつつ、豊かに茂る草木はそれまで蓄えていた水分を振り切るように背を伸ばしていた。紫陽花の色が一段と濃くなる季節。梅雨の晴れ間を喜ぶのは人間だけではないようだ。

 

PENTAX K-3 Mark III+smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 絞り:F1.8 シャッタースピード:1/200 感度:ISO200

 

PENTAX K-3 Mark III+smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 絞り:F4 シャッタースピード:1/4000 感度:ISO200

 

いくつもある神社を抜け、「山ふたつ」と呼ばれる頂上付近を越えると穏やかな海が広がる。島を抜ける風の気持ちよさに誘われるようにして、そのままうっかり島の反対側にある岩屋まで登り降りしてしまったが、そうだ私は二日酔いだったのだ。いつのまにか太陽は強い光を放ち始め、山頂付近にも観光客が増え始めてきた。往路では掃き掃除をしていた茶屋もまもなく開店時間のようだ。
さあそろそろ家に帰ろう。人波を反対方向に抜け、のんびりと自転車を漕いでゆく。時間はまだ10時を回ったばかり。長い一日のはじまりである。

 

PENTAX K-3 Mark III+smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited 絞り:F3.5 シャッタースピード:1/2000 感度:ISO200

 

〔こちらの記事でご紹介した製品の情報はこちら〕

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