カスタムイメージ Special Edition「九秋(KYUSHU)」の前に、「夏天(KATEN)」に触れておきたい。「夏天」がリリースされたとき、Limitedレンズ縛りであることに「どうなんだろう?」と疑問に思っていたからだ。
リリースからすでに3か月を過ぎた秋晴れの日、K-3 Mark IIIにHD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limitedを装着して実際に「夏天」で撮影に出る機会を得た。実際に撮影してみると超広角レンズで撮影する意味があることがすぐにわかった。
東京の狭い空を広角で広く写し込める。水辺に行きたくなる。青空が撮りたくなる。
純粋に太陽万歳!という気分になった。日差しを味方にストレートに写したくなるなんて面白いじゃないか。これがPENTAXのカスタムイメージ「夏天」とLimitedレンズならではの楽しさなのだろうと実感したのだ。
日没時間が早くなる秋。薄暮時間の青色も撮りたい。
「夏天」はマゼンタ色が濃く、淡いグラデーションもしっかりと色づくからだ。
冬の澄み切った青空もどう写し込むのだろうとワクワクする自分がいた。
-そして、カスタムイメージ「九秋(KYUSHU)」が発表された。
今度のパートナーレンズは私の常用スナップレンズが対象ということもあり、楽しみにしていた色だ。
HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedと、HD PENTAX-DA 40mmF2.8AL Limitedの2本で撮影に臨んだ。この2本のレンズの個性を引き出せるカラーだろうと期待していた「九秋」に裏切られなかった。といってよい。
秋季三か月、90日間を「九秋」というのだそうだ。また、秋山、秋境、秋城、秋樹、秋燕、秋蝶、秋琴、秋笛、秋塘、または秋の花9種など、秋にちなんだ情緒ある風物を指す言葉になる。
以前追加されたカスタムイメージ「里び(SATOBI)」はフラットで彩度の低い渋めの色だったが、「九秋」の色にはメリハリがあり、トーンのつながりも滑らかだ。
ただ、「秋」という言葉から連想する色や被写体だけで使うのはもったいない。アイコンの紅葉マークにも印象を引っ張られすぎないほうが良い。というのが私なりのインプレッションだ。
被写体の色と光の条件、ホワイトバランスの組み合わせが重なり合うとき、ネガフィルムを彷彿させる仕上がりになる。フィルムライクという言葉もLimitedレンズ+「九秋」には相応しいのだ。
「九秋」は、ホワイトバランスとの組み合わせで雰囲気が変わる楽しさを味わえる。
ホワイトバランス「曇天」にすると暖かみのある印象がより一層深まる。
暖色系の色を得意とするのは撮影していて読み取れるが、反対色の青・紫系の色はどうなのだろかと気になり撮影してみる。
様々な色を捉えてみたのだが、直球勝負で〝ド〟ストレートの「夏天」に対し、「九秋」は日本の古き良き郷愁感を持ったカスタムイメージだ。深まりゆく秋から晩秋、そして冬枯れの被写体もきっと情緒的な描写になる。そんな印象を強く抱いた。
スナップ撮影に相応しい焦点距離の2本のレンズとともに、ネガフィルムのような表現が加わった。写真を始めた頃を思い出し、とても軽快で楽しい。
外に連れ出してくれる楽しいカメラとレンズがあるなんて、ちょっとした幸せじゃないか。
それは写真撮影本来の姿ではないだろうか。と感じた、そんな撮影日和だった。
〔関連情報〕
>>PENTAX K-3 Mark III製品ページ | 機能拡張FW
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