PENTAXって本当、不思議なブランドだと思う。新しいカスタムイメージを作りました! 夏にぴったりな「夏天(KATEN)」です! というから喜んでいたら、「使えるのはDA Limitedの15mm、DFA Limitedの21mmF2.4だけです」って。なぜそこをシバるPENTAX。

でも意外とユーザーからは怒られないんだろうな、と思ったら案の定好意的な意見が多く、夏天を使いたくて「HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR」や「HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited」を買った方も多いらしい。まあ本来あったものが使えなくなるわけでもないし、購入者特典だと考えればある意味公平かもしれないが、それにしてもお客さんが神様だぞPENTAX。

かくいう僕も「夏天(KATEN)」で夏空を……と意気込んでいたものの、この夏は書籍の執筆でほとんど外に出られず。たまに撮影の仕事で外出する日は、決まって天気が悪かった。というわけで秋の第二弾を待っていたら、登場したのは「九秋(KYUSHU)」。読みはキュウシュウ、だそうだ。対象となるカメラは「K-3 Mark III」、「K-1 Mark II / K-1」。そしてレンズは「HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited」「HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited」「HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited」「HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」薄型のいわゆるパンケーキレンズだ。今回ひと足先に試す機会をいただいたので、ちょっとその写真を。

 

 

 

 

食べるパンケーキもカメラに着けるパンケーキも好きな僕は、HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedがとても気に入っているのだが、このところK-3 Mark IIIでは「HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AW」に常用レンズの座を奪われていた。対極にあるヘビー級レンズだけど、たまにしか外をうろうろできない生活をしていると、そのときはいろいろ撮りたくなるのだ。そんなわけですっかり出番が減った21mmF3.2 Limitedは、時折「売ってしまえ」という悪魔の声も聞こえたのだが、無視してよかった。おかげで「九秋」が楽しめたし、このレンズの魅力も再確認できた。この小ささはやはり気持ちがいい。

 

 

 

 

その「九秋(KYUSHU)」だが、紅葉を意識して色再現を組み立てている(はず)。時期的に紅葉でその真価を試すことはできなかったが、彩度の低さと青みがかっているのは僕の好みだ。K-3 Mark IIIのカスタムイメージも、日頃はデフォルトの「鮮やか」を選んでいるものの、カスタマイズして鮮やかどころか完全に渋い色調になっている。普段この連載ではその色調のまま公開しているが、「九秋(KYUSHU)」はその鹿野仕様に限りなく近いのだ。

 

 

 

 

もちろん色の方向性や発色傾向が違うので、両方を比べるとかなり違う。「九秋(KYUSHU)」を追い込んで「鮮やか」改に近付ければ、状況や天気によって使い分けるということもできそうだ。該当するカメラとレンズのお持ちの方は「九秋(KYUSHU)」、ぜひお試しください。持っていないという方は買ってくださいという話になってしまうのだが、個人的にはK-1 Mark IIとHD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limitedで使ってみたらおもしろそうな気がする。というわけでsmc PENTAX-FA 43mmF1.9 LimitedをHDに買い換えるか悩む秋である。

 

 

 

 

しかし書籍が片付いたら急に外出機会が増えた。一番上の3枚は都内だが、2番目の3枚組はアレック・ソス展を見に行った葉山で、3番目は仕事で行った静岡の三島で、最後の4番目は山梨県高等学校文化連盟の審査に招かれた甲府で撮った。慣れない場所ではあれこれ撮りたくなるけれど、広角単焦点1本という潔さも悪くない。

鹿野さんの写真展「それは光のしわざ」が、喫茶ランドリー本店(東京都墨田区千歳2丁目6-9 イマケンビル1F、ホームページは>>こちらで開催されます。

会期は2022/10/21(金)〜11/6(日)、営業時間は11〜18時(金曜は〜22時)です。なお10/30(日)は休業、他にも貸切などでご覧いただけない場合があります。喫茶ランドリーのインスタグラムにてご確認ください。