ついに出たか、と K-3 Mark III Monochrome のペンタ部のグレーのロゴをパーマセルテープで隠しながら思う。
K-3 Mark IIIのモノクローム専用機を検討しているという話は知ってはいたものの、あくまでペンタキシアン向けの話題作りであって、まさか本当に出るとは思わなかった、というのが正直なところだ。

というわけで K-3 Mark III Monochrome である。
早速 HD PENTAX-FA31mmF1.8 Limited、HD PENTAX-FA43mmF1.9 Limited、HD PENTAX-FA77mmF1.8 Limited の3本を持って撮影に出かけた。今年は桜の開花が早いということもあって、どこを向いても花盛り。桜のほんのりとした紅色は、彩度低めかモノクロームでの表現が好ましいと思っているので良いタイミングであった。

PENTAX K-3 Mark III Monochrome+HD PENTAX-FA77mmF1.8 Limited 絞り:F1.8 シャッタースピード:1/8000 感度:ISO200

早速施設の窓越しにちょうど満開となった桜にレンズを向け、液晶モニターを確認する。思わず小さく仰け反ってしまった。誰に話しかけるわけでもなく「非常によろしいのではないでしょうか」と、つい口をついて出る。期待していなかったとか、そんなことではなく、他社のモノクローム専用機を長らく使用してきた私にとっては良くも悪くも「期待どおり」だと思っていたのだ。

PENTAX K-3 Mark III Monochrome+HD PENTAX-FA43mmF1.9 Limited 絞り:F1.9 シャッタースピード:1/80 感度:ISO250

期待以上である。
ノイズを感じさせないぬるりとした描写はみずみずしいというより生々しい。なんとも色気のある写りである。Limitedレンズとの相性も非常に良く、特に HD PENTAX-FA43mmF1.9 Limited との組み合わせが好ましい。いやでも上質で厚みのある HD PENTAX-FA77mmF1.8 Limited の画も良いし、今回の記事では掲載していないものの HD PENTAX-FA31mmF1.8 Limited の繊細な描写も捨て難い。どれもコンパクトなレンズだもの、とりあえず3本持っておけば間違いないわね、と一人うんうん頷きながら少々興奮気味にシャッターを切る。気のせいか、普段よりショット数が多いようだ。

PENTAX K-3 Mark III Monochrome+HD PENTAX-FA77mmF1.8 Limited 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/3200 感度:ISO200

PENTAX K-3 Mark III Monochrome+HD PENTAX-FA43mmF1.9 Limited 絞り:F1.9 シャッタースピード:1/125 感度:ISO200

ベイヤー補間が不要であるとは、なるほど、こういうことかと実感する。ごまかしがきかないからこそ、よりレンズの描写の違いが浮き出てくるようで、それぞれのレンズの個性をダイレクトに感じることができる。

PENTAX K-3 Mark III Monochrome+HD PENTAX-FA43mmF1.9 Limited 絞り:F2.5 シャッタースピード:1/160 感度:ISO200

モノクロームの世界を撮ることはなにも特別なことではない。ただ目の前の光をストレートに写し出す、非常にシンプルなことなのだ。 K-3 Mark III Monochrome はモノクロームの新たなスタンダードになるかもしれない。そんな予感のするカメラの登場である。

PENTAX K-3 Mark III Monochrome+HD PENTAX-FA43mmF1.9 Limited 絞り:F2.8 シャッタースピード:1/3200 感度:ISO200