先日5歳になった息子を連れて、2泊3日で金沢を旅してきた。僕と息子、あるいは妻と息子で泊まりの旅をしたことはあるのだが、一家3人揃っての遠出は初めてだ。結論からいうと、すごく疲れた(笑)。

数えたら金沢は11年ぶり。当時はまだ北陸新幹線も開通しておらず、東京から行くには実質的に小松空港まで飛行機で飛ぶしかなかった。トータルの所要時間はさほど変わらないのだが、新幹線で行くとなんだか近くなった印象を受ける。福井まで伸びると、永平寺や東尋坊も近く感じるのだろうか。

金沢の伝統工芸品といえば金箔である。なにせ地名が「金の沢」、英訳したらゴールデンストリームである。そりゃ外国人観光客もたくさん来るわけだ。今では日本における金箔の98%がメイド・イン・ゴールデンストリームらしい。たしかに街を歩くと金箔ソフト、金箔カステラ、金箔ぜんざい、金箔コーヒー…店のPOPに「金箔」の文字が踊る。

そんな金沢を初めて訪れた妻は「金箔ソフト、食べてみようかな♪」などと言っていたが、おいちょっと待て。冷静になれ。金箔は無味無臭で食感も何もないぞ。厚生労働省に認可された「着色料」だぞ。しかしながら飲食物に被写体としての色味を求める今、着色料としての金箔には以前にも増して大きなニーズがあるのかもしれない。

結局我が家は金箔ナントカを食することはなかったのだが、金沢のおいしいものはそれなりに満喫できた。行列で目当ての店に行けなかったりはしたのだが(これが子連れ旅の難しいところ)、現地で聞いた店が大当たりだったり。

そんな旅にK-3 Mark IIIを持っていったのだが、よく考えれば今年夏、カスタムイメージに「Gold」が追加されたのだった。ということを行きの北陸新幹線の車内で思い出した。まあそれくらい使ったことがなかったのだが、ゴールデンストリームで使わずしていつ使う。というわけで冒頭の1枚もそうなのだが、ここからカスタムイメージ「Gold」の写真を。

ここ最近追加されたカスタムイメージは夏天、九秋、冬野、春紅と、特定のLimitedレンズでのみ使えるSpecial Editionが続いていたが、Goldはレンズ不問。今回の旅に持参したHD PENTAX-DA★16-50mmF2.8ED PLM AWも、当たり前だが使える。ただし被写体というか、光を選ぶ仕上がりだと思う。正確にいえば撮り手の光を読む力が試されるというべきか。

この色合い、どこかで見た誰かの色だなぁ…と思ってしばらく考えていたのだが、原稿を書き終わってからようやく思い出した。コンパクトカメラでダムに沈む村を撮り続けた、“カメラおばあちゃん”こと故・増山たづ子さんだ。2013年に静岡のIZU PHOTO MUSEUM(長期休館中)で行われた大規模な回顧展では、600冊ともいわれる膨大なアルバムの一部を見ることができた。そこに貼り付けられた色褪せたサービス判のプリントが、本棚から引っ張り出した図録を見ると少し違うのだが、僕の記憶ではGoldに近い色調だった。

今回のGoldはパラメーターをいじらず、ホワイトバランスもオートのまま。ここからあれこれといじり倒すと、ジャパニーズ・ニューカラーが生まれそうな気がする。