今回は雪の話です。雪の撮影の鉄則は降ってすぐのできるだけ綺麗な状態を撮影することです。と言いながら今年最初の雪は出遅れて翌日の早朝に出かけました(笑)

カメラとレンズ

カメラ:PENTAX K-3 Mark III Monochrome
レンズ:HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited

早朝もおすすめ

東京に今年最初の雪が降ったのは午後からでした。降り始めはそれほど積もりそうに感じなかったので、そのまま自宅で仕事をしていました。ところが、夕方近くにはかなり積もっていたので、そのときに撮影にでれば良かったのですが、なんとなくスルーして明日の朝でいいや。そんなことを考えていました。

夜になると雪が止んで明日の朝が不安になってきました。それは、夜に雪が止んでしまうと早朝は氷になるからです。そうすると新雪の柔らかさがなくなってしまいます。

早朝に天気予報を見ると午前中はまさかの雨でした。なんで?そんな残念な気持ちで外を見るとそれほど悪くない気がしたので、撮影に出かけることにしました。家をでたときは雨はほとんど降っておらず、足元の雪もあまり固まっていないのでテンションが上がります。

雨ということは気温が少し高いので、今回は都心より自宅からさらに郊外の公園に行くことにしました。そんな考えを巡らせながら最寄りの駅に着くとタイミングが良い電車がきていたのです。やっぱりオレってついているのかも。そもそも家をでるときにスマホで乗り換え案内を調べれば済むことですが、家をでればどんな出会いがあるかわからないので、行き当たりばったりで行動しました。

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0,3EV カスタムイメージ:スタンダード
目的の駅についてまずはこの階段を上がって雑木林の中に入って行くのがこの日のコースで、予想通りほとんど人が通っていなかった

せっかくの雪なのにモノクロ?そんなことを感じる方もいるかもしれないですが、街や郊外の公園のようなところではモノクロの方が良い場合があります。例えば北海道の大自然や信州の山の中という美しい場所に行けば雪も美しいので、カラーの方が良くなります。今回出かけた郊外の公園のような場所では見た目には少し美しくない条件のときもあります。そんなときはモノクロにすると白と黒だけになるので見た目の印象より美しく雪を再現できます。

冷静に撮影のテンションを上げる

雪は必要以上にテンションが高くなる撮影条件なので、少し冷静に被写体を見た方が良いと思います。といってもサクサクと他の人の足あとがない新雪の中を歩いていると自然とテンションは上がります。そんな気持ちを落ち着かせるためにも小さなところを観察しながら撮影を始めました。

絞り優先オート:F2.8 露出補正:-0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
小さなところに目を向けながら撮影のテンションを少しづつ上げるように自分に言い聞かせた

絞り優先オート:F2.8 露出補正:0EV カスタムイメージ:スタンダード
東京では水分が多い雪だった影響もあって倒木も多く見られた

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
雪の重さで倒れかかっている小さな木を見つけて周りの雰囲気を入れながらまとめた

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
撮影にでかけたのは、里山的な雰囲気もある公園

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
雪の積もったベンチが気になったので1枚

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
別のベンチは周りの雰囲気を入れるために少し離れたところから雪の中にポツンとある感じを狙った

撮影中のレンズ交換は避けたい

雪や雨の撮影中にレンズ交換をするのはできるだけ避けたほうが良いと思います。これは寒さや湿気の影響でカメラやレンズの中が結露する可能性があるからです。そう考えるとズームレンズの方が便利ですが、今回はあえてDA35mmMacroLimitedを選びました。このレンズは個人的には寄れる標準レンズと思っているので、変化は自分の動きでつけることができます。ズームレンズを使うと自分が動くよりズーミングに頼ってしまうので、アングル探しの動きが弱くなります。

絞り優先オート:F2.8 露出補正:-0.7EV カスタムイメージ:スタンダード
気がつくと結構な雨が降っていたが、カメラとレンズには手ぬぐいかぶせて自分は洋服のフードを被って撮影できる程度だった

イマジネーションを広げる

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.7EV カスタムイメージ:スタンダード
曇り空で地面と空の境目がわかりづらく水墨画の世界のように感じた風景

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.7EV カスタムイメージ:スタンダード
足跡をつけた人がベンチに向かったところを想像しながら撮影した

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+1.0EV カスタムイメージ:スタンダード
雪に足あとがなく、広い空間にベンチがポツンとあるイメージを狙った。このときはしゃがんでアングルを下げて広がりを強調した

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.7EV カスタムイメージ:スタンダード
ヨーロッパの牧場。そんな妄想を抱きながら正面から変化を少なくするようにアングルも目線にした

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
しっとりした雰囲気を作りたかったので水面と地面の割合を半々にした

絞り優先オート:F2.8 露出補正:0EV カスタムイメージ:スタンダード
湖畔に積もった雪の形を見せるために背景を入れないようにまとめた

絞り優先オート:F2.8 露出補正:+0.3EV カスタムイメージ:スタンダード
雪の溶け具合も強くなってきたので、そろそろ潮時と判断した

どんなイメージにまとめるか思い込みや妄想でも良いので、イマジネーションを広げるとそれに必要なアングルや構図が決まります。露出はアンダー気味で撮影して後から明るさとコントラストを調整すると雪の質感を再現できます。

服装と足元が要

この日はハーフコートの防寒着とミッドカットのスノーブーツでした。防寒着は防水仕様を選んでおけば小雨ならフードを被るだけで撮影ができます。足元は滑りやすかったり、寒さを感じやすいのでしっかりしたスノーブーツがおすすめです。そして、靴下はメリノウールにします。実はしっかりとしたスノーブーツは暖かくてよいのですが、汗をかいた後でその汗で冷えることがあります。これは実体験ですが、この汗で冷える感覚はとても冷たいです。メリノウールは水分を吸収して蒸発させる能力が高いので、雪の中で暖かいスノーブーツを履いていても汗で冷えることがありません。もちろん肌着もメリノウールと言いたいのですが、そちらは発汗性の高い綿の肌着を着用していました。さらに手袋も大事ですが、それは忘れて素手で撮影していました。雨の日の東京の郊外だったので寒さで凍えるほどではなかったです。

まとめ

早朝の雪の撮影は一時間ぐらいが勝負です。雪が降り続けている条件であればもっと撮影できるとは思いますが、雪が止んでいると日の出から一時間くらいで雪が溶け始めて条件が悪くなります。さらに、雪の中を歩いているといつもより疲れます。そんなことも考えて小一時間撮影したら休みを入れた方が良いと思います。疲れていると注意力も散漫になるので思わぬ事故にもつながります。休むときに室内に入るときは必ず機材はバックに入れてから室内に入って、室内ではバックから機材を出さないようにします。これはレンズ交換が厳禁なのと同じように気温差で結露するからです。次回の雪でお試しください。