この4月から心機一転リニューアルした佐々木啓太の新連載「ケイタのあんなこと・こんなこと」タイトルがやや長いので、「ケイタのあんこ」と覚えてください。カメラのことから機材から撮影の話まで幅広くお届けしようと思っております。そうそう、“あんこ”への思いはプロフィールで確認してください。

 

第1回目は「シャドーぼかしでじんわり感」と題して、デジタルフィルター「ソフト」を使った表現を解説します。

カメラとレンズ

カメラ:PENTAX K-3 Mark III / PENTAX K-3 Mark III Monochrome
レンズ:HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited / HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited

比較解説

デジタルフィルター「ソフト(以下 ソフト)」は撮影後のJPEGデータにカメラ内処理で使います。ソフトを加えるとシャープさは落ちますが、PENTAX K-3 Mark IIIらしい繊細さは残ります。それでもボケボケにはしたくないので、ベースの画像はコントラストが強いものにしています。ベースの デジタルフィルター「ハードモノクローム(以下 ハードモノクローム )」 は(1)で一番弱くしています。

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 0EV デジタルフィルター「ハードモノクローム」

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 0EV デジタルフィルター「ハードモノクローム」 で撮影した写真にカメラ内処理でデジタルフィルター「ソフト(シャドーぼかし)」

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 0EV デジタルフィルター「ハードモノクローム」で撮影した写真にカメラ内処理でデジタルフィルター「ソフト」

撮影時にレンズ前につけるソフトフィルターと同じような効果は1番下で、ハイライトがにじみます。2番目の「ソフト(シャドーぼかし)」(以下 シャドーぼかし)はもともとフィルム時代に暗室のプリント作業でソフトフィルターを使うテクニックをデジタル処理で再現したもので、シャドーがにじみます。

じんわり感がツボ

デジタルカメラが進歩して、シャープで強い画像ばかり見ているのでちょっとじんわりさせたいときにこの処理を使います。

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 -0.3EV 「シャドーぼかし」が良いのは一見ソフトがかかっているのがわかりづらいこと

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 +0.3EV しっとりした中にじんわりした雰囲気が加わるので使い始めるとクセになる

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 -0.7EV 影が多い条件では、雰囲気を高めるためにアンダー気味にするのがオススメ

DA21mmLtd プログラムオート 露出補正 -0.3EV 曇天で光が弱くモノクロには不向きな条件でもベースが 「ハードモノクローム」 なので画作りしやすい

「シャドーぼかし」を使うとシャドーがオリジナルよりさらにアンダーになる印象がありますが、それでも少しアンダー気味に撮影するとじんわり感が増します。

PENTAX K-3 Mark III Monochromeでも使いたい

今回の処理はじんわり感のためにコントラストの強い画像に使いたいので、個人的には「ハードモノクローム」 がデフォルトでした。その 「ハードモノクローム」 は PENTAX K-3 Mark III Monochrome には入っていません。最初は諦めたのですが、変化を楽しむために使いたいとあれこれ試行錯誤して デジタルフィルター「ハイコントラスト」にたどり着きました。

DA70mmLtd 絞り優先オート F3.2(連動外の自動補正) 露出補正 -0.3EV ベースの設定もハード(調色1)にしてデジタルフィルター「ハイコントラスト(4)」を使っているのでかなりどぎつい感じになる

DA70mmLtd 絞り優先オート F3.2(連動外の自動補正) 露出補正 -0.3EV デジタルフィルター「ソフト(シャドーぼかし)」を加えるとどぎつさの中にじんわり感がでる

DA70mmLtd 絞り優先オート F2.4 露出補正 -0.7EV DA70mmを使って絞りを開けると絞りのボケ味も加わってダブルのじんわり効果が楽しめる

少し大人しく

上の設定はちょっとやりすぎ感が強く使える条件も限られるので、「ハイコントラスト」を1にして優しい設定を作りました。

DA70mmLtd 絞り優先オート F2.4 露出補正 -1.3EV 調色の設定は1と同じでも「ハイコントラスト」の設定の違いでセピアの色合いが変わる

DA70mmLtd 絞り優先オート F2.4 露出補正 -1.3EV 映り込みとの組み合わせでじんわり+不思議な世界を作った

DA70mmLtd 絞り優先オート F2.4 露出補正 -1.3EV じんわりが入ると写真からリズムを感じやすくなる

PENTAX K-3 Mark III Monochromeで強い処理を使うときにセピア(カスタムイメージの詳細設定で調色+)を使うと優しさが加わるので、じんわりとの相性が良くなります。

まとめ

せっかく美しいトーンが売りのPENTAX K-3 Mark III Monochromedでもコントラストをあげて使ってしまうのはちょっと邪道かもしれません。それでもこんな感じでいろいろなイメージを楽しめるのがデジタルカメラの特権でもあります。ぜひ一度お試しください。

今回のあんこ

山崎製パンのきんつば
スーパーで買えるのものですが、程よい甘さであずきの食感も楽しめてお値段も手頃という密かな名品です