リニューアルした佐々木啓太の新連載「ケイタのあんこ(略称)」。今回はモノクロの話です。モノクロを始めるなら冬なんです。せっかくなので、「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」を準備してください(笑)。

カメラとレンズ

カメラ:PENTAX K-3 Mark III Monochrome
レンズ:HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited

冬こそモノクロ

なぜ冬こそモノクロなのか?それには光と空気の関係があります。冬は寒さと乾燥で空気がとても澄んだ状態になっています。そこに冬ならではの斜光線が加わるので、モノクロを撮らないわけにはいかなくなります。

絞り優先 F5.0(連動外の自動補正) / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ :スタンダード 澄み切った空とオブジェのような建物のシルエット。露出をあえてアンダーにすると空のトーンが強調され、太陽を隠した方がトーンの再現性がより良くなる

絞り優先 F3.2(連動外の自動補正) / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 形を見せるそんな意識で被写体を探すと狙いを絞りやすくなる

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード モノクロには禁断の順光も形と光の組み合わせで強さが出やすい

冬の光を堪能するためにはまずは逆光を意識してください。そこにある強い影をみれば、美しい光が届いているのに気がつくはずです。その中で形を見つけてください。これはモノクロの基本ですが、新年ですから改めて基本に忠実で行きましょう。

オススメの撮影地は大きな公園

今回撮影に行ったのは駒沢公園です。そんな少し規模の大きな公園の方が撮影しやすいはずです。これは広い空間で斜光線がもたらす美しい影が狙いやすいからで、大きな公園内は木々がまばらになっているので光と影の共演が楽しめます。

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.3EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード サイド光の状態でも澄んだ光が作る影には存在感がある。落葉樹の葉っぱが落ちているのもシャープな印象に繋がる

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.3EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 大きな公園のもう一つの利点がこんな高低差を使いやすいこと

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 自転車も忘れず。こんな感じで自分の好きな被写体があると被写体探しの呪縛から解放される

人がまばらなのも冬のよさ

撮影のポイントとして人は欠かせない存在です。しかし、いつまでも同じ場所で人を待つことはやめましょう。これは光が生き物だからです。耐えず変化している光のためには、人を待つのは3分まで、そんな決まりを作ると割り切りがしやすくなります。この割り切りがあると別なところで素敵なタイミングに出会えるようになります。

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 正月太りの解消?というわけではないでしょうが、冬の大規模公園には散歩を楽しまれる人が多い気がします。そんな人を見かけたら遠くから周りの雰囲気と一緒に撮りましょう

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード トップで使ったジョギングを楽しむ人のシルエット。こんなタイミングを狙うときは予測が大事で、ここに来たら撮る。と、あらかじめ露出や構図、ピントを決めて待っていた

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード ここでも奥から歩いてくる人たちを待って撮影した。予測していると悩みがなくなるのでタイミングを捉えやすくなる

その昔、専門学校で写真を学んでいた頃にある先生から自分が良いと思った場所では何時間でも待ってタイミングを狙え。そんなことを言われたことがあります。その当時から根性がなかった私はそんな教えを全く実行せずフラフラ歩いていたのを覚えています。それから何年も経ってモノクロ写真が撮れるようになって気づいたのは、待ってはいけないということ。自分が良いと思ったタイミングには光も大きく関係しています。何時間もたってせっかく良いタイミングが訪れても光は変わっています。そうするとちょっとなんだか違っている。そんなことを経験で学びました。

撮影は14時ぐらいから日没まで

冬の早朝からの撮影は苦行です。確かにより空気が澄んでいるので美しい光に出会える可能性も上がって、苦行の価値はあります。それでもその時間には他の人が動いていないので、14時ぐらいを目指してのんびり出かけましょう。撮影の終わりは人がいなくなる日没ぐらいまでです。

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 14時以降は光の傾きも強くなるので、空のグラデーションがより美しくなる。このグラデーションのためにもモノクロ専用機を一度体験してほしい

絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 晴れた冬の空は自然のホリゾントです。その柔らかなグラデーションをバックに何を撮るか?悩んでいる間に背景の条件はどんどんと変わるのでまずは撮る。そんなことを実践していると決められるようになる

まとめ

レンズを HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited したのも敢えてです。このレンズが捉える光は特別で程よいシャープさがあります。そして、自分次第で写真が変わる画角なのも楽しみがいがあります。撮影者が動くのは光を追い求めるモノクロでは必須です。

今回のあんこ

お菓子司 亀屋の「今川焼き」
今回のあんこは「今川焼き」。お邪魔したのは超ローカルな西武多摩川線の新小金井駅の「新小金井西口商店街」にある「お菓子司 亀屋」さん。ちょっとローカルですが、実は浅草橋にある総本家より暖簾分けした、亀屋本店が武蔵小金井駅近くにあり、更にそこから暖簾分けしたお店なんだそうです。このときは保温器に入れてあったものでしたが、生地はもっちり、あんこはしっとりであっという間にふたつとも食べていました。野川公園の最寄り駅なので、お立ち寄りください。