みなさんこんにちは。商品企画のYOHです。
前回のPENTAX officialの記事投稿の時は光学設計を担当しておりました。
フィルムカメラ好きであることをキッカケにPENTAX 17の企画に携わり、気が付いたら仕事が企画担当になっていました。
…と、私の身の上話は置いておいて…。
今回はペンタックスとして21年ぶりに発売したフィルムカメラであるPENTAX 17の楽しさを深掘りしていこうと思います。
PENTAX 17はハーフサーズフォーマットを採用しているのが一つの特徴です。
35ミリ判フィルムの1コマを半分に切り出した範囲が写真になるハーフサイズフォーマットカメラでは、スキャンした2コマの写真を組み写真として見せる楽しみ方があります。
その2コマ1組の写真の見せ方は、古代ギリシャやローマの頃に存在した二枚折の書字板や、絵画などを指すdiptych(ディプティク)になぞらえて海外では「Diptych photography(ディプティク写真)」と呼ばれることもあるそうです。日本では2 in 1、ニコイチ写真といった親しまれ方もしていますよね。
ハーフサイズフォーマットについて、>>詳しくはコチラ
今回は私がこの「ディプティク写真」に挑戦してみました。
撮影の際に意識したことやシチュエーションについて、撮った写真ご紹介しつつ触れていきたいと思います。
いざ、撮影へ
ここからは私が組み写真を意識して撮った写真をご紹介していきます。
PENTAX 17を楽しむヒントになってくれれば嬉しいです。
■アングルを変えて撮ってみた。
桜の花を少し角度を変えて撮った2枚の並びの組み合わせです。Pモードでゾーンフォーカス/マクロを使いました。
まずは付属のストラップで距離を測り、その後構図をあれこれ変えて撮りました。
桜が撮りたい!という想いに駆られて連続で撮影していたので撮影時には組み写真としての狙いは持ってませんでしたが、後で見返して良い感じに撮れてると思った写真です。
桜の満開感も伝わる組み写真になって気に入っています。
■同じ交差点を場所を変えて撮ってみた。
池袋の交差点です。室内から撮った1枚目と外に出たあとに撮った2枚目です。同じ交差点ですが、撮る場所を変えると見える景色は大きく変わりますね。
■遠くで撮ったあとに近くまで寄って撮ってみた。
地元の商店街でおしゃれなマネキンを見つけて、1枚目を撮影。続いてリフレクションで入れる景色を少し意識して2枚目を撮影しました。
気になる被写体にさらに近づいて撮ってみた、みたいな感じに自分の行動がそのまま写ってますね。
■同じ木で影と空(下と上)を撮ってみた。
日陰に面白い葉っぱの影がかかっていることに気が付いてまず1枚目を撮影。この影を作っている葉っぱはどんな具合なの?と気になって2枚目を撮影しました。
地面の影と逆光の葉を続けざまに撮ったにも関わらず、露出はカメラ任せで丁度良い明るさに写してくれました。PENTAX 17の自動露出(AE)はなかなか優秀です。
■同じ場所でカメラの向きを変えてみた。
とある駅の改札口広場から撮った写真です。元々は2枚目(右側)の構図を狙って電車が来るのを待っていたのですが、気づいたら鳩が近くに寄って来てました。
なので鳩を組み合わせてみることにして1枚目を撮りました。1枚目はPモードのゾーンフォーカス「中距離」を使っています。
…逃げない鳩ってちょっと恐いです。
■上から道を撮る共通のテーマを意識して撮ってみた。
同じ駅の歩道から見下ろした景色です。1枚目は日傘をさした人が横断歩道を通るのを待って撮影。
周辺減光で印象的な写真にしたくてBOKEHモードで撮りました。2枚目は1枚目の場所から少し歩いてAUTOモードでバスと車を撮りました。
AUTOや各モードを使い分けて撮影を楽しんでいただけるようモードダイヤルは回しやすい設計にしている分、たまに意図せず動いていることがあります。念のため撮影前のモードダイヤル位置を確認いただくと安心です。私はデフォルトをAUTOモードにして使っています。
■季節の変わり目の花を並べて撮ってみた。
これは、写真を撮る数日前から通勤ルートにサツキとアジサイが咲いているのがわかっていたので、ディプティク写真として並べることを狙って撮りました。アジサイを見かけたときは季節の移り変わりをとても感じたのを憶えています。
■猫が近づいてきたから連続で撮ってた。
ネコさんがこちらに向かって歩いてきたので咄嗟に撮影した写真です。1枚目はAutoで撮ったのですが、それほど暗くないと思っていたのにフラッシュが発光して私がビックリしてしまいました。
2枚目はフラッシュが光らないようPモードに設定したのですが、ネコさんはフラッシュ発光にもお構いなしでこちらに向かってきたのでピントと構図を合わせる余裕がなくノーファインダーで撮りました。
ピントがズレて更にブレてしまったのですが、それが臨場感に繋がっているように思います。(焦りが写っているだけかも?!)
■毛づくろいするネコの変化を期待して撮ってみた。
上で撮ったネコさんの別日の写真です。毛づくろいをしている様子を横構図で撮ってみました。
上下で大きな変化はない写真ですが、間違い探しみたいで面白いですよね。
■同じ構図でカメラの向き(上下)を変えてみた。
組み写真のために何か工夫を入れたいと考えて思いついたのがこちらですが、ちょっと狙いすぎちゃいましたかね。
でも、普通はやらないカメラを上下ひっくり返して撮るチャレンジに繋がりました。
ここまで、私が組み写真を意識して撮った写真をご紹介させていただききましたが、いかがだったでしょうか?
自分ならこうやって撮る、もっと面白い撮り方を知ってる等々、皆さんの写欲を少しでも刺激できていれば私としては大成功です。
実はこの組み写真を意識して撮影し始めたときに、私はアレコレ考えすぎてしまい納得する被写体に出会えるまでシャッターが切れないというドツボにハマってしまいました。
ネタ探しに悩んでいることを同僚に相談したら「テーマを絞り込みすぎず、考えすぎずに撮ることが大事だよ」と教えてもらいました。
同僚の言葉をヒントに気が付いたことは、同じ場所で違う構図を何枚か撮ってみると良い感じになる確率が上がるということ。
また、それが自分の記憶と一致しやすいディプティク写真が撮れるということです。
第三者の方々がその組み写真を見てどう感じるかはまた別の話なのですが、少なくとも撮影者の私は、その時その場所で撮った臨場感を思い出せる組み写真がたくさん撮れるようになりました。
また、36枚撮り用フィルムで72枚撮れるPENTAX 17はチャレンジに対してとても心強いカメラであることを実感しました。撮影枚数を気にせずに撮れる効果は、それはもう絶大です。
これからもテーマを持った撮影を続けることで、お気に入りの組み写真がもっともっと撮れる気がしていてワクワクしています。
やってみたいことはまだまだあります。以下は継続してやってみたいことの一例です。
・町というテーマで撮ってみる。
・視点を変えて撮ってみる。
・対になるものを撮ってみる
・時間を変えて撮ってみる。
さて、今回はディプティク写真(2 in 1)をテーマにした撮影についてご紹介させていただきました。
私自身、あらためてテーマを持って撮影する楽しさと大切さを学べました。
皆さんぜひディプティク写真をお試しあれ!
それではまた!
It’ time for film!
フィルムだよ!
YOHでした!
ディプティク写真(2コマ1組の組み写真)の注意点
〔撮影時〕 ・フィルムを入れるときに、フィルムの先端を基準位置にしっかり合わせる
・フィルムカウンターが0、もしくは偶数から撮り始める
・2コマ1組として写真の向きを揃える 1.縦写真 ⇒ 2.縦写真(カメラは横位置) 1.横写真 ⇒ 2.横写真(カメラは縦位置 ※カメラの構え方もグリップが上か下か、どちらかに統一)
〔現像・スキャン時〕 まずはお店にハーフサイズフォーマットのカメラで撮影したことを伝えて下さい。 ※ハーフサイズフォーマットのデータ化はお店によって対応が異なりますので、詳細についてはお店に確認をしてください。 |