はじめに

最近は「PENTAX 17」を持ってあちこちをペンタビしています。麦わら帽子とTシャツと短パン、サンダル。小脇に「PENTAX 17」を入れたサコッシュを提げて涼しげに歩き回っています。
このカメラ、とても使いやすくて撮影が楽しくなってしまいますね。ピントを合わせてシャッターを切り、フィルムを巻き上げるのが何とも言えません。
さて、今回は「PENTAX 17」の特徴である「ピント合わせ」に文字どおりフォーカスして解説したいと思います。

「PENTAX 17」はゾーンフォーカス

この「PENTAX 17」のピント合わせは「マニュアルフォーカス」です。もっと詳しく言うと「ゾーンフォーカス」という仕様になっています。ファインダーをのぞいて、下に見えるアイコンを被写体に合ったものにセットしてシャッターを切るのです。シンプルですよね。

オートフォーカスのように合焦するのを待つ必要もなく、シャッターチャンスに強いと言えます。
露出を「AUTO」モードにすると、「ゾーンフォーカス」がキャンセルされて、だいたいどこにでもピントが合って見える「パンフォーカス」になります。Pモードを始めとしたその他の撮影モードではそれが切り替わって、その名のとおり「ゾーン」でピントが合う範囲が決まる「ゾーンフォーカス」になるのです。

これくらいの距離感での路上人物のスナップなら「中距離」にセットしておけばだいたい大丈夫でしょう。

「ゾーン」とはなんぞや?

さて、その「ゾーン」って何?と思った人もいるでしょう。この「ゾーン」とはピントが合う距離の幅のことです。たとえば「3メートルにピントを合わせておくと、2メートルから5メートルくらいまでは全部ピントが合って見える」というような「ピントの有効範囲」だと思ってください。
「PENTAX 17」の「ゾーン」は下記のとおり。撮りたいものとの距離を目測で見当をつけて「ゾーンフォーカスリング」を回してゾーンを設定してシャッターを切るスタイルになっています。

遠距離:5.1m~無限遠(風景や遠くの被写体)
中距離:2.1m~5.3m (人物全身や路上でのスナップ)
近距離:1.4m~2.2m (人物の半身など)
至近距離:1.0m~1.4m (人物のアップなど)
テーブルフォト:0.47m~0.54m (ドリンクやフードなど)
マクロ:0.24m~0.26m (小物や花のクローズアップなど)

これらの「ゾーン」を感覚的に掴んでおくことが「PENTAX 17」での撮影を存分に楽しむコツと言えるでしょう。

・「被写体との距離感」を意識して楽しもう
というわけで距離感を意識して「PENTAX 17」を持って撮影してみましょう。ハーフ判なのでフィルムを「倍」使えるところがこのカメラのいいところですね。

自分の場合は、被写体を探しながら歩いているときは「AUTO」モードにしています。これならパッといい瞬間や被写体に遭遇した場合でもだいたいの距離でピントが合うからです。こちらのカットは歩みを止めてパッと撮った1枚です。

 

この標識は「中距離」に合わせて撮ったものです。とてもシャープな仕上がりですね。もし「ゾーン」で迷ったら、この場合は「中距離」と「近距離」の2カットを撮っておくことをオススメします。

 

パンフォーカスならだいたいどこにもピントが合った写真が撮れますよ。このカットのように歩きながらや、とっさのシーンで役に立ちますね。

 

このような気になった標識や看板は、「近距離」に合わせて撮りましょう。ちょうど近くに曲がりくねった「へび道」があるので「へび!?」と思ってシャッターを切ったものです。

 

上野の不忍池でのカットです。こんなシーンは「遠距離」でOKです。風景や5mより遠いものはこれ一択でしょう。

 

「PENTAX 17」は近接撮影にも強いカメラです。最短撮影距離は「マクロ」モードにします。この時に同梱のストラップを使うと便利ですよ。「PENTAX 17」からピン!とストラップを張った距離がおよそ最短撮影距離になっているのです。それを利用してアジサイの花に迫って撮ったのがこのカットになります。

まとめ

「PENTAX 17」を使いこなすコツは、ずばり「距離感」を掴むことです。人の全身を撮るのなら「中距離」、カフェでドリンクを撮るのなら「テーブルフォト」、ブラブラと歩いているときは「AUTO」にして「パンフォーカス」、と自分のスタイルを決めて撮るといい結果になると思います。
フィルムを倍使えるというハーフ判のメリットを活かして、「PENTAX 17」のシャッターをどんどん切ってみることをオススメします。