“今日はどんな気分?何を選ぶ?”をテーマに写真とカメラの楽しみ方を広げませんか。

みなさんのレンズを選ぶ基準はなんでしょう。
ズームレンズがキットレンズとなっている昨今、はじめて買う単焦点レンズはどれがいい?と聞かれます。いわゆる標準レンズといわれる50mm(35ミリ判換算)は誰もが持って欲しい一本と言われますが、私が初めに持ってもらいたいと思うのは自分の視野にふさわしい焦点距離の単焦点レンズです。

もし、選ぶのに悩んでいたら、まずは自分自身がズームレンズで一番撮影している焦点距離を知ることから始めてみませんか。

 

標準レンズ50mm(35ミリ判換算)の画角が丁度良いと感じる方も、狭いと感じる方もいらっしゃいます。まずは50mmのレンズ画角を自分は〝どのように感じているか〟を自覚することがレンズを選ぶ基準とも言えます。

 

私がまず初めに購入にする単焦点レンズは、35ミリ判換算で28~35mmあたり。カメラ(私)とその場に関かわる、身を置く周囲の世界を伝えたい。とにかく近寄ってじっくり見たい。そんな思いから広角レンズが私の標準レンズになってくれます。

自分のフットワーク、視野にピッタリなDA 21mmF3.2AL Limitedは街を歩く相棒のようなレンズ。

 

最近ではAPS-Cフォーマットで中望遠となるDA 50mmF1.8の身軽さと焦点距離にも魅力を感じています。広角レンズで見つめてきた好奇心旺盛な視野から、少し引いた距離で心地よく包み込み切り取る空間へ。

柔らかくにじむようなボケがフィルムを思わせ、距離をほどよく置きつつ優しく見守るような感覚を抱きます。

 

その他にも、ボディとレンズのバランス、フィーリングの良さ。これもレンズ選びには欠かせない要素。

たとえば、今日思い立ってふらっと「ちょっと撮影にいってくる。」といった時、あなたならどんなレンズを選ぶ?ということです。

 

また、人間の目は都合よく被写体とその周囲のイメージを脳で捉えますが、光学で捉えるレンズではそうはいかない。見たくないもの、見せたくないものも写してしまうもの。

そこでイメージの目となってくれるのが絞りとボケの表現ですが、それを活かすためには被写体との距離感、関係性、さらには背景までの距離が大きく影響します。

いずれもsmc PENTAX DA50mm F1.8開放で撮影

こんな風に、同じレンズ、同じ開放絞り値の撮影でも、ワーキングディスタンスやちょっとしたアングルの違いで見ている世界の感じ方、捉え方が変わるはず。

〝一歩前へ〟あるいは〝引いて〟と言われるのはこんな感覚を大切にしてほしいから。

ズームレンズの利便性と比べると面倒とも思われる行為ですが、自分の世界観や伝えたいイメージを持つために必要なこと。

本来のレンズ選びなら被写体に合わせてレンズを選ぶのがセオリーかもしれません。しかし、官能評価を大切にしたLimitedレンズがあるように、自らの感覚を生かした自分機軸のレンズ選びを楽しんでみてもいいと思うのです。