PENTAX officialは自宅でも楽しめる写真についての情報を発信していきます。きたるべき撮影に備えて、ご自身のカメラのセッティングを追い込んでみてはいかがでしょうか。
写真を撮るのに欠かせないもの。
もちろんそれは皆さんが使っているカメラだ。いまではスマホ搭載のカメラ機能がカメラと呼ばれるようになってきているが、ここでは当然PENTAXの一眼レフを指すこととしよう。
さて、突然だけど、あなたは自分のカメラを使いこなしていると言えるだろうか。
私は完璧とは言えないけれど、いま使っているK-1 Mark IIに関しては、かなりの部分で使いこなせていると思っている。
カメラの操作に慣れていると撮影に役に立つことは多い。
シーン01
真っ暗な洞窟のなかでツチボタルの幼虫が独特の色で点滅する様子は、まさに星空のよう。洞窟の中は水が流れていて、そこを小さなボートで下るツアーも行われている。ツアーの一行がやって来たときの明かりを利用して、洞窟の入り口の雰囲気も表現してみた。真っ暗なところでもカメラを操作できる安心感は何事にも代えがたかった。 |
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX D FA 24-70mmF2.8 ED SDM WR 絞り:F2.8 シャッタースピード:30秒 感度:ISO6400 ホワイトバランス:太陽光
以前CPのステージでも話をしたことがあるのだが、K-1 Mark IIのカタログ撮影でニュージーランドへロケに行ったとき、カメラの実機を触ることができたのは現場に着いてから。到着して翌日には洞窟のなかでツチボタルの撮影を行った。
ツチボタルの発光する明かりは実に暗く、撮影は完全な暗闇のなかで行った。ライトをつけると目が明るいのに慣れてホタルの光も分からなくなってしまうので、手元を明かりで照らすこともできず手探りでの操作だった。
だが、K-1とK-1 Mark IIはボディ筐体が同じなので、操作部もまったく同じ。それまでK-1を使い込んでいたことでダイアルやボタンなどの位置を体が覚えていたので迷うことなく操作できたが、操作部が刷新されたカメラだったらかなり苦労することになっただろう。
シーン02
突然やって来たキタキツネの表情を捉えた。いきものを撮るときは、ブレが起きないようにシャッター速度を速くしたり、動きがあるときはAFモードを切り替えたり、いろいろ設定を変えないと対応できない。そのような被写体を撮ることが多いときは、ユーザーモードに設定を登録しておくと一瞬で切り替えが出来るようになる。 |
PENTAX K-5IIs + HD PENTAX-DA 55-300mmF4-5.8ED WR 絞り優先AE(絞り:F11 シャッタースピード1/400秒) 感度:ISO400 ホワイトバランス:太陽光
また、私は望遠レンズを使うことが多いので、操作方法もカスタマイズしていて、たいていの操作を右手だけで行えるようにしている。ユーザーモードにも風景撮影用、動物撮影用などいくつかの設定を登録していて、とっさに必要な機能を呼び出せるようにしている。だから、たいていの操作は操作部を見なくても行える。
ここで問う「使いこなしているか?」 というのは、日頃必要なカメラの操作や機能を迷わずに使えるかどうかということになる。
最近のカメラは、とにかく機能が多くてなんだか分からないという人も多いかもしれないけれど、現在のカメラはとにかくたくさんの機能を搭載しておいて、その中から必要な機能だけを選んで使うようになっている。自分の必要なことができていれば、他の機能は知らなくてもいいと考えよう。
カメラは写真撮るための道具。この道具を自由自在に使いこなせてこそ、はじめて思い通りに写真が撮れるようになる。私は現在、4メーカーのカメラを使用しているが、それぞれ迷うことなく使うことができている。なぜかというと、基本操作をしっかり身につけていることと、最近のデジタルカメラは操作系をカスタマイズできるからだ。
シーン03
満開のエゾヤマザクラを前ボケを使って奥行きのある構図で撮影した。被写体の色をきれいに再現するには適切な露出補正が必要。撮影時によく使う露出補正はボタンを使わずに電子ダイアルで直接操作できるようにカスタマイズしている。シャッターボタンから指を大きく離さなくても操作できるように、後ろ電子ダイアルで操作する。 |
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW 絞り優先AE(絞り:F5.6 シャッタースピード:1/320秒 露出補正:プラス1EV) ホワイトバランス:太陽光
もっとも基本的な部分では、絞り優先AEで撮影するときに、前のダイアルで絞り、後ろのダイアルで露出補正をするようにどのカメラも統一している。撮影でよく使う操作系をカスタマイズして同じようにすることで、撮影時の迷いはほとんどなくなる
PENTAXのカメラは初期設定で、前のダイアルが露出補正、後ろのダイアルで絞りとなっているけれど、メニューの「ボタンカスタマイズ」>「電子ダイアル」から、各露出モードごとにダイアルの役割を変更できるようになっている。
さらに、露出補正は頻繁に行う操作なので、ボタンを使わずにダイアルでダイレクトに行えるように設定している。なぜ、後ろダイアルで露出補正をするかというと、撮影時に頻繁に操作をする上、ファインダーを覗いてから調整をすることが多いからだ。シャッターボタンから指を離さずに操作でき、効率がいい。
このようにいろいろと操作系をカスタムして、自分にとって使いやすく複数のカメラを使っても違和感がないようにしているのだ。
ただ、私にとっては扱いやすいカメラだとしても、他の人が手に取ったら戸惑ってしまう部分もあるかもしれない。
カメラを使っていて、こうだったらいいな、と感じる部分は意外と他の人も同じように思っていることがあり、最近のカメラでは操作系のカスタムで思い通りになることも多いので、諦めずに思い通りの操作性が実現できないか確認してみよう。
シャッターチャンスはいつやってくるか分からない。撮りたいと感じたその瞬間に的確にカメラを操作してシャッターを切ることができなければ、想いは写らないのだ。だからこそ、使いやすいカメラが必要だ。
写真が趣味という人でも忙しくて週末に少しカメラに触るだけという人も多いようで、間が開くとせっかく覚えたカメラの操作も忘れてしまうということをよく聞く。そんな人ほどカメラの操作を自分好みにしておくといいと思う。カスタマイズされたカメラはまさに自分の道具という感じもして、愛着も湧いてくるし、いい写真が撮れる予感もするのではないだろうか。