PENTAX officialは自宅でも楽しめる写真についての情報を発信していきます。個性的な社員が多いので「そこ!?」みたいな感じもあるかと思いますが、温かい目で読んでいただけると幸いです。
(PENTAX official編集部)
こんにちは、Yuzuです。前回は「大事なものを撮る」シリーズの第1弾として、おうちで家族を撮る記事を書かせていただきました。
忘れちゃいけない、私(たち?)には他にも大事なものがありますよね。
そう、『カメラ』『レンズ』といった、愛用機材たちです。
そんな愛機たちを皆さん愛でてますか?私は握ったまま寝たり、被写体にしたりします。
自分では何よりも大切にしている家族の口から、「もし私たちの身に危険がおよぶようなことがあったら、カメラとどっちを守るつもり?」真顔で聞かれたようなことも、ゲフンゲフン…。(全部大切なので危ない目に合わないように気を付けます、はい)
「大事なものを撮る ~愛機編~」では、3回に分けて、自慢の愛機を良い感じに自宅で撮影する話を綴っていきたいと思います。専門で学んだわけではなく、あくまで我流でやっておりますので、あらかじめご容赦いただけると助かります。
いや、家にそんな機材ないよ!という声がそのうちあがってきてしまいそうですが、趣味で私が買い揃えたものしか使っておりませんので、遠慮なく紹介していきたいと思います。爆
まったく同じ機材でしかできないような説明はいたしませんので、ぜひ応用していただけると嬉しいです。
今後の予定について
その1:自然光を活かした撮影(本記事)
屋内、しかも自宅では個人的に自然光の撮影が一番難しいと思ってます。なぜなら採光できる窓の場所が限られていて、撮影場所もなかなか融通が利かないうえに、時間によってあっという間に光の当たり具合が変わるからです。
ですが、この練習を経て得るものは多いと思います。
その2:フラッシュ光(1灯)での撮影(後日公開)
※掲載写真は実際に私が自宅で撮影したものですが、記事中で実際に紹介する写真ではなくイメージです
フラッシュのワイヤレス1灯をメインとした撮影についてご紹介します。
「フラッシュ光のみで撮影する=環境光(地明かり)を利用しない」ということになります。
基本的に部屋自体を暗くし、余計な光、色かぶりを防ぎながら撮影を行います。
フラッシュ光が届く範囲のみを露光することになりますので、実は本記事で実践する自然光を活かす撮影よりも、シンプルでチャレンジしやすいと思います。ただし、フラッシュの光をコントロールするための周辺機材は必要になってきます。
PENTAX K-1シリーズ、K-3 II、645Z等、カメラにフラッシュが内蔵されていない製品でワイヤレス発光を行うためには、AF540FGZ II、AF360FGZ IIといった、マスター及びコントロール機能を搭載したフラッシュと、スレーブ発光に対応したフラッシュが必要となります。また、Cactus(カクタス)ワイヤレスフラッシュトランシーバーV6など、サードパーティー製のラジオスレーブを用いたワイヤレス発光の手段があります。 |
その3:スタジオ機材を使用した撮影(後日公開)
※掲載写真は実際に私が自宅で撮影したものですが、記事中で実際に紹介する写真ではなくイメージです
スタジオ向けの大型フラッシュ2~3灯や、異なるライティング、背景素材による違いなどをご紹介します。
出力に余裕のあるフラッシュを用いることによって、主要被写体だけでなく、背景に光を回すか否かが選択できてくるのが、その2のテーマとの違いです。
アクリルボードを素材にし、反射を活かしたカットが好みで、Limitedレンズスペシャルサイト、KP J limitedの製品ページなどで主に使用しています。
自宅の寝室でいつも撮影するのですが、狭さと舞い散るホコリとの闘いです。
前置きが長くなってしまいましたが、それでは本題に入りましょう。
以下に掲載している写真は設定をイメージしていただきやすいよう、カメラで撮影したままのJPEG画像となっています。
自動露出(AE)では被写体を動かしたり、構図を微調整するたびに露出が変わってしまうのと、後からフラッシュ光をミックスしやすくするため露出モードはマニュアルにしています。
画像仕上げはカスタムイメージを「フラット(コントラストを0に変更)」ホワイトバランスは「曇天」で共通です。
自然光だけで撮ってみる
なんとなく置いたカメラとレンズ。自然光を活かした撮影では、利用シーンを想起させる「シチュエーションカット」的なものを撮影するのに向いています。
なんとなく「今日はK-1 Mark IIにFA Limitedレンズの3本を持って出かけよう」みたいな雰囲気とかですね。(あくまで一例です)
こちらに掲載している画像のサイズではわからないかもしれませんが、ほんとに置いただけのカメラとレンズ。色々と問題があります。
■ゴミ、ホコリを除去する
FA Limitedレンズのフードには、静電植毛が施され、内面反射を防ぐとともに、ホコリを吸着してくれます。はい、吸着してくれてます、すごく…。
セロハンテープなどで取りましょう、今回はパーマセルテープを使っています。
順番的には、レンズ前玉をキレイに拭く⇒ブロワーでホコリを飛ばす⇒フードの静電植毛をキレイにする、ですね。
今回は自然光をメインにした撮影なので、あまり細かなホコリなどは気になりづらいですが、フラッシュ光のみでライティングするような撮影ではホコリは大敵です。
人に自分の愛機をよりカッコよく見せるために、手間を惜しんではなりません。
■ボディキャップを外す
なんとなくボディキャップが付いたままだと、この手の写真では「カメラを使う気配」が感じ取れなくなると思います。私も神経質なのでカメラ内にホコリが入ることはできるだけ避けたい…でも被写体としてしばらく耐えてもらうしかないのです…。
ボディキャップを外すとどうでしょう?ちょっとそれらしくなりました?FA31mmのフロントキャップだけ外れてるのも相まって、「最初の1本は君に決めた!」感を感じる方もいるかもしれません。
自然光+αで撮ってみる
まずはカメラを寝かしてそのまま自然光のみで撮ってみました。うーん、窓辺の強い光で影もついて何が何だかわかりませんね…。
■レフを入れてみる
銀レフで軍艦部のPENTAXロゴのあたりに銀レフで光を返して最低限の主張をしてみましたが、我が家のベランダからの光はなかなかに厄介です。レンズの映り込みはベランダの洗濯物ですね。
でも今回は、あくまでこの「窓からの光=メインライト」と決めているので、どうにかこれを使っていきます。
■光を抑える
まずは光を扱いやすくするためにアートレ(トレーシングペーパーのように目の粗さのない、乳白色のポリエステル製のフィルムです)をカメラの上にかざしました。ライトスタンドで支持できるようにフラッグと呼ばれる金属枠に張り付けてあります。
このカメラの置き方は実は印象的に見せやすくて、前玉の映り込みをキレイにするには、上の写真のようにカメラを置いた面からカメラの上部にかけて覆ってしまうのが近道です。
すると、前玉の反射が均質になりました。背景の木目もしっとりと落ち着いた質感になっています。
カメラ本体の黒い部分が暗く落ちてしまうので、白レフ(代わりの白いアクリルボード)を左サイドから入れて、PENTAXロゴ、K-1 IIのロゴを少し起こしました。
手前近くにレフをもう一つ入れるとカメラ上部のダイヤル部分を起こすことができると思いますが、ライトスタンドを撮影カメラの真正面に設置してアートレを支持しているため、それができません。
■フラッシュも併用する
そこで、フラッシュを併用してみます。
カメラの露出モードは引き続きマニュアル露出です。フラッシュ光を組み合わせる場合、シャッター幕が全開になるシンクロ同調速度(カメラによりますがK-1シリーズでは1/200秒)までで制御することとなります。
今回は静物の三脚撮影であるため被写体ブレ、手振れの心配はありませんが、1/125秒くらいがフラッシュ光を効率よく使えるとされています。
カメラのシンクロ同調速度(K-1シリーズでは1/200秒)を超えるシャッタースピード(シャッター幕が全開にならずスリット上に開口して露光しています)でフラッシュを通常発光させると、シャッター幕で露光がケラれてしまう「幕切れ」という現象が起こります。 これを防ぐために露光時間に合わせて断続的にフラッシュを発光させる「HSS(ハイスピードシンクロ)」という機能もありますが、出力がかなり落ちるためこういった撮影にはあまり向きません。 |
今回使用しているのは「オートフラッシュAF540FGZ II」です。電源ONの状態では「P-TTL調光」で起動しますので、MODEボタンで切り替えて「マニュアル調光」にします。
・P-TTL調光・・・カメラが被写体に照射する光量を測るため、一度プリ発光(本発光とは別の弱い発光)を行い、光量を自動で調整します。例えば結婚式での撮影など、被写体や構図、画角が毎回大きく変わるときには最善の設定です。 ・マニュアル調光・・・自分で任意の光量にセッティングします。1/1~1/256というように出力が表示され、1/1ならフル発光(最大出力)ということです。こういった静物撮影では、微調整が大事なので基準がずれないようマニュアル調光で撮影したほうが、追い込みやすいです。 |
カメラのホットシューに載せた状態で被写体に直射してしまうと、フラッシュが光がアクセントではなく、メインの光となってガラリと印象が変わってしまうため、斜め右後ろのレフに1/128の出力でバウンス(反射)させてみました。
カメラ上部ダイヤル部がうっすら…。笑
実際には1/64、1/32…と1段刻みで出力を上げて撮ってもいるのですが、そうするとレンズ前玉の反射、背景の木目が明るく浮いてきてしまうのでこのライティングでは難しそうです。
ちなみに、露出計なしでフラッシュの出力を追い込む場合、慣れないうちは最小出力あたりから徐々に出力を上げていくと、フラッシュ光の効果がどのように効いているかがわかりやすいと思います。特に今回は自然光ミックスなので出力が強いところから始めると露出オーバーとなりやすく、「フラッシュが強いのか?」「窓からの光が強まったのか?」「カメラの露出設定を変えたせいか?」など、問題の切り分けが難しくなるためです。
■ワイヤレスでサイドからフラッシュ光を当てる
カメラに載せたAF540FGZ IIをワイヤレスの「コントロール」モードにします。
続いて、もう一台のAF540FGZ IIをワイヤレス「スレーブ」モードに設定、出力は1/64として被写体の左手前に置きます。ヘッドは白レフのほうに向けてサイドバウンスの状態としています。
・コントロールモード(親機側/カメラ搭載)・・・スレーブ発光を行う子機側のコントロールをのために微発光のみを行います。(光は弱いですが少し被写体に当たるので、ヘッドを逸らしてあげたほうが良いです) ・マスターモード(親機側/今回は不使用)・・・スレーブ発光を行う子機側のコントロールも行いつつ、自身も本発光を行います。 ・スレーブモード(子機側/床置き)・・・親機のコントロール発光に同調して発光します。 |
するとこのような感じで、カメラ上部のダイヤル周りを軽く起こし、PENTAXロゴの上部の三角型の面にも光が入りました。
ワイヤレス発光は難しい印象を持たれがちですが、カメラから離しているスレーブフラッシュの角度や配置を変えるだけで光の当たり方を調整できるため、むしろライティングの調整は容易になります。
例えば、光量を変えずとも被写体にスレーブフラッシュを近づける、遠ざける、これだけでも大きな変化が望めます。加えてヘッドの照射角を変えてあげると光の回り方も調整できます。また、アンブレラ、ソフトボックスなどのツールを組み合わせることも可能になります。
K-1シリーズのようにカメラにフラッシュが内蔵されていない製品でワイヤレス発光を行うためには、AF540FGZ II、AF360FGZ IIといった、マスター及びコントロール機能を搭載した外付けフラッシュと、スレーブ発光に対応したフラッシュが2台必要となりますが、内蔵フラッシュにコントロール機能を備えたPENTAX製デジタル一眼レフカメラでは、スレーブ発光のために前述の外付けフラッシュが1台あれば同様のことが行えます。 |
■フィニッシングをして仕上げる
先ほどの素材が撮影できれば、あとは必要に応じてレタッチソフトなどでフィニッシングを行います。
上の写真は、円形グラデーションツールでレンズ前玉の反射を強調し、同じツールで画面周辺の光量を落としただけです。(慣れれば1分もかかりません)
バリエーションを考える
ライティングはそのまま、試しに寝かしていたカメラを普通に置き、撮影するカメラをハイポジションにし、上からの俯瞰に近いアングルにしてみました。
シルバーのレンズ鏡筒の光の拾い方がなかなか素敵です。ふむふむ…。
最初に自然光のみで撮影したときのような感覚で、FA Limitedレンズの3本を散りばめてみることにしました。
そして、撮影するカメラを三脚ごと前進させ、真俯瞰に近い見え方になるようにしています。
ここまでくるとファインダー越しにもういい感じなのがわかります。
実際に撮影するとこんな感じ。うむうむ…。
FA Limitedレンズなどは、絞りリングがあるためこうした撮影時に絞りの開け閉めで被写体としての写り方が変わります。 ガラス感を見せるには絞りを開放にしてあげると良いのですが、レンズ面の反射によっては底(レンズリアキャップの裏地など)まで写ってしまうので注意です。 |
こちらも簡単フィニッシングとして、全体のハイライト、白レベルを上げることで金属部分の質感と、カメラの操作部の白文字を浮き立たせ、円形グラデーションツールでレンズ前玉の反射面を少し強調しました。
海外ブログのメインビジュアルのような雰囲気(個人のイメージです)になったのではないでしょうか。
ということで、今回は「愛機を撮る その1:自然光を活かした撮影編」でした。
我が家は日当たりが良い時間が短いので色々なバリエーションが試せず恐縮ですが、参考にしていただけましたらぜひ愛機の撮影にチャレンジしてみてください!
PENTAXのフラッシュ製品の情報は>>こちら