こんにちは、ジョニーです。
モードダイヤルにはUSERモードが搭載されていますが、どう使って良いのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
PENTAX K-70(以下、K-70)やPENTAX KP(以下、KP)では、USERモードを使っていただくきっかけとなるように、カメラ購入時にプリインストール設定を搭載しました。
今回は、K-70やKPのプリインストール設定のレシピとともに、USERモードの使い方について、お伝えしていきたいと思います。
USERモードとは?
自分でよく使うカメラの設定の組み合わせを登録して、モードダイヤル操作で簡単に呼び出すことができます。
モードダイヤルには複数のUSERモードがありますが、USERモードごとに設定の組み合わせを登録することができます。
たとえば以下のような活用方法があります。
【同じレンズでお気に入りのF値を登録する】
USER1 | F1.4 |
USER2 | F2.8 |
USER3 | F8.0 |
【レンズ毎に最適な設定を登録する】
USER1 | smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited で使いたい設定 |
USER2 | HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW で使いたい設定 |
USER3 | HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW で使いたい設定 |
【撮影シーンに合わせた設定を登録する】
USER1 | 飛行機を止めて撮影するためのTvモード(シャッター速度は速め) |
USER2 | 飛行機を流し撮りするためのTvモード(シャッター速度は遅め) |
USER3 | 風景撮影用のAvモード |
【使う人ごとに設定を登録する】
USER1 | 子供が使うときの簡単オート設定 |
USER2 | 家族が使うときの子供がきれいに撮れる設定 |
USER3 | 知らない人に記念写真を頼むときの設定 |
USERモードの使い方は自由です。
USERモードの基本的な使い方
【USERモードに登録する】
メニューから「設定登録」を選択して、登録したいUSERモードの番号を選択すると、その時点のカメラの設定を登録することが出来ます。(一部、登録できない機能もあります)
【USERモードを使用する】
モードダイヤルをUSER1~USER5(カメラ上の表記はU1~U5)に変更すると、USERモードに登録したカメラの設定が呼び出されます。
画面上部にはUSERモードに登録した名称が表示されます。
【USERモードに登録した内容に戻す】
一度、カメラのメインスイッチをオフにして、再度メインスイッチをオンにすると、登録している設定値に戻ります。
カメラを無操作のまま放置した場合に一時的に電源がオフになるオートパワーオフの状態では、登録している設定値に戻りません。
【USERモードの名称を変更する】
メニューの「名称登録」を選択することで、USERモードの名称を変更することができます。
名称を変更しておくと、USERポジションに何を登録したのかがわかりやすくなります。
たとえば、USER5の名称をカメラ購入時の初期状態の「USER5」から「PENTAX official」のように名称を登録することが出来ます。
【USERモードをカメラ購入時の初期状態に戻す】
メニューの「USERモードリセット」を選択することで、USERモードをカメラ購入時の初期状態に戻すことができます。K-70やKPではプリインストール設定に戻ります。
先ほど登録したPENTAX officialがUSER5に登録されていますが、USERモードリセットを行うことで、初期状態のUSER5に戻ります。
何度か設定を変更してUSERモード登録を繰り返している間によくわからない設定になってしまったときや、プリインストール設定に別な設定を登録してしまったけどまた使ってみたくなったときには気兼ねなくUSERモードリセットをしましょう。
K-70やKPのプリインストール設定
カメラ購入時の初期状態から変更されている部分だけピックアップしています。
KPの場合、USER5がカメラ購入時の初期状態と同等になっています。
K-70 | KP | |
USER1 | CLEAR TONE | HDR LANDSCAPE |
USER2 | HDR LANDSCAPE | MACRO |
USER3 | ASTROPHOTO | ASTROPHOTO |
USER4 | (K-70はUSER3まで) | MANUAL LENS |
USER5 | (K-70はUSER3まで) | USER5(カメラ購入時の初期状態と同等) |
【CLEAR TONE】
砂浜などの撮影に適した画像仕上げを搭載したUSERモードです。
PENTAX K-S1のエフェクトモードに搭載されている「さわやか」の内容になっています。
K-70(USER1) | |
カスタムイメージ | ほのか |
詳細設定 | 彩度:+4 調色:オフ キー:+4 コントラスト:+4 シャープネス:±0 |
【HDR LANDSCAPE】
ドラマチックな写真表現が可能なHDRを搭載したUSERモードです。
PENTAX K-S2のモードダイヤルに搭載されている「A-HDR(アドバンスドHDR)」の内容になっています。
K-70(USER2) | KP(USER1) | |
カスタムイメージ | 風景 | 風景 |
カスタムイメージ詳細設定 | 彩度:+2 色相:±0 キー:±0 コントラスト:+2 シャープネス:±0 |
彩度:+2 色相:±0 キー:±0 コントラスト:+2 シャープネス:±0 |
HDR撮影 | アドバンスドHDR | アドバンスドHDR |
振り幅設定 | ±3EV | ±3EV |
自動位置調整 | オン | オン |
【MACRO】
マクロ撮影におすすめのカスタマイズを搭載したUSERモードです。
測距点の位置に対して適正露出になる設定で、被写界深度ブラケットによって開放から絞りを1段ずつ変更しながら3枚撮影します。
KP(USER2) | |
露出モード | Avモード(絞り優先自動露出) |
ドライブモード | 被写界深度ブラケット(+1.0) |
カスタムイメージ | ナチュラル |
絞り値 | F1.2 ※装着したレンズの開放値がF1.2より暗い場合はレンズの開放値になります。結果的にレンズの開放値が適用されるような数値にしてあります。 |
ISO感度 | ISOオート 感度AUTO(下限)~感度AUTO(上限):100~800 |
「ファインダー撮影時AF」-「AFエリア」 | セレクト |
「ライブビュー撮影時AF」-「AFエリア」 | セレクト |
測光方式 | スポット |
「ボタンカスタマイズ」-「AF/AE-Lボタン」 | AFキャンセル |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C1)」 | 画像表示拡大 |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C2)」 | グリッド線 |
測距点と露出の関連付け(カスタムファンクション) | オン |
【ASTROPHOTO】
天体撮影に向けたカスタマイズを搭載したUSERモードです。
O-GPS1を装着するとアストロトレーサー撮影になり、タイマー露光設定なので10秒~5分まで設定することが出来ます。※装着するレンズの焦点距離に応じて最長時間は変化します。
また、夜間の撮影で使用するアウトドアモニターや、赤色画面表示をカスタマイズに割り当てています。
K-70(USER3) | KP(USER3) | |
露出モード | Bモード(バルブ露出) | Bモード(バルブ露出) |
タイマー露光設定 | オン(秒数指定が可能) | オン(秒数指定が可能) |
タイマー露光時間 | 30秒 | 30秒 |
カスタムイメージ | 鮮やか | 鮮やか |
カスタムイメージ詳細設定 | 彩度:+2 色相:±0 キー:-2 コントラスト:+1 コントラスト(ハイライト):+1 コントラスト(シャドー):-2 シャープネス:+1 |
彩度:+2 色相:±0 キー:-2 コントラスト:+1 コントラスト(ハイライト):+1 コントラスト(シャドー):-2 シャープネス:+1 |
ISO感度 | ISO 800 | ISO 800 |
AF補助光 | オフ | オフ |
明瞭コントロール | +4 | +4 |
アストロトレーサー | オン | オン |
ローパスセレクター | Type1 | Type1 |
「ボタンカスタマイズ」-「Fx1」 | アウトドアモニター | 赤色画面表示 |
「ボタンカスタマイズ」-「Fx2」 | 赤色画面表示 | 電子水準器(デフォルト) |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C1)」 | (K-70は機能ダイヤルが非搭載) | 画像表示拡大 |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C3)」 | (K-70は機能ダイヤルが非搭載) | アウトドアモニター(デフォルト) |
【MANUAL LENS】
スクリューマウント、KマウントのMFレンズ、レンズ側で絞りが設定可能なレンズを想定したUSERモードです。
絞りリングの使用を許可にすることで、古いレンズが使用できるようになります。
レンズ側で絞り、カメラの前電子ダイヤルでシャッター速度、スマートファンクション(C1)でISO感度、と露出に関わる設定を変更することが出来ます。
KP(USER4) | |
絞りリングの使用(カスタムファンクション) | 許可 ※この設定により、レンズ側の絞りリングが使用可能になります。 |
露出モード | Mモード(マニュアル露出) |
カスタムイメージ | ナチュラル |
「ボタンカスタマイズ」-「AF/AE-Lボタン」 | AEロック |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C1)」 | ISO感度 |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C2)」 | フォーカスアシスト |
プリインストール設定にオリジナリティを追加する
K-70やKPのプリインストール設定を使っているけど、自分好みに設定を変えて使いたい場合もあるのではないでしょうか。
そのような場合は、モードダイヤルでUSERモードを選択して、登録したい設定を変更したあとに、【USERモードに登録する】で書いた手順に従って、同じUSERモードに登録を行えば、USERモードを上書きすることが出来ます。
たとえば、KPのUSER3(ASTROPHOTO)での露出モード、F値、シャッター速度、ISO感度を変更して、USERモードを上書きしたとします。
下の表の左側が変更前の設定、右側が変更後の設定で、変更した設定値(青文字部分)が登録されているのがわかります。
KP(U3) 変更前 | KP(U3) 変更後 | |
露出モード | Bモード(バルブ露出) | Mモード(マニュアル露出) |
シャッター速度 | タイマー露光なので無効 | 15秒 |
絞り | F8.0 | F2.8 |
タイマー露光設定 | オン(秒数指定が可能) | マニュアル露出なので無効 |
タイマー露光時間 | 30秒 | マニュアル露出なので無効 |
カスタムイメージ | 鮮やか | 鮮やか |
カスタムイメージ詳細設定 | 彩度:+2 色相:±0 キー:-2 コントラスト:+1 コントラスト(ハイライト):+1 コントラスト(シャドー):-2 シャープネス:+1 |
彩度:+2 色相:±0 キー:-2 コントラスト:+1 コントラスト(ハイライト):+1 コントラスト(シャドー):-2 シャープネス:+1 |
ISO感度 | ISO 800 | ISO 400 |
AF補助光 | オフ | オフ |
明瞭コントロール | +4 | +4 |
アストロトレーサー | オン | オン |
ローパスセレクター | Type1 | Type1 |
「ボタンカスタマイズ」-「Fx1」 | 赤色画面表示 | 赤色画面表示 |
「ボタンカスタマイズ」-「Fx2」 | 電子水準器(デフォルト) | 電子水準器(デフォルト) |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C1)」 | 画像表示拡大 | 画像表示拡大 |
「ボタンカスタマイズ」-「機能ダイヤル(C3)」 | アウトドアモニター(デフォルト) | アウトドアモニター(デフォルト) |
USERモード、使う方と使わない方で分かれてしまっていると思います。
私もプライベートではほとんど使ってこなかったですが、CLEAR TONEの画像は好きなので今更ながらに設定しようと思いました(笑)
KPやK-70以外のカメラをお使いの方でも、PENTAX K10D以降の上級機か、PENTAX K-30以降の中級機でUSERモードをご利用いただけます。
カメラによってはUSERモードに登録できない機能もありますが、CLEAR TONEはカスタムイメージにほのかを搭載しているカメラであれば登録できますし、CLEAR TONE以外のUSERモードも今回レシピを公開しましたので、カメラ購入時の初期状態のままUSERモードを眠らせている方は、家でコツコツUSERモードを作りこんでみてはいかがでしょうか。
USERモードの画作りを調整する際は、カメラ内の再生機能のRAW展開を使用すると、画像を見ながら画作りを調整できるので便利です。
気軽に撮影に行けないのがとても辛い時期ではありますが、いつか撮影に行けるようになったときにUSERモードを活用できるよう、今のうちにUSERモードを作りこんでおきましょう。