PENTAX officialは自宅でも楽しめる写真についての情報を発信していきます。きたるべき撮影に備えて、イメージトレーニングを試してみてはいかがでしょうか。
写真は現場でしか撮れない。これは間違うことのない事実。でも、ここではレベルアップを図るために日頃からできるイメージトレーニングをオススメしてみたいと思う。
イメージトレーニングにもいろいろあって、カメラを扱うための練習や被写体の動きを読むための練習、構図を考える練習などさまざま。忙しくて遠くには出かけられないという人も家でできるものがたくさんあるので、ぜひ実践してみてもらいたい。
まずはカメラの操作を覚える練習として、家のなかでできる基本的なものをいくつか紹介しよう。
といっても、難しいことはない。
日頃撮影しているのと同じようにカメラを構えてシャッターを押してみるだけでもいい。このときにやって欲しいのは、ファインダーを覗き、構図を整え、被写体のあるところに測距点を重ね、シャッターボタン半押しでピントを合わせる。続いて、絞りやシャッタースピード、ISO感度、露出補正値を調整・確認し、最後に静かにシャッターボタンを全押しする、という一連の作業だ。
カメラ操作は使えるだけでなく身につけること
はじめはゆっくりでいいからそれぞれの操作や確認を確実に行うこと。なかでも大切なのは、絞りやシャッタースピード、ISO感度、露出補正値の確認作業だ。構図やピントはみんな考えているけど、露出に関する設定はカメラまかせっていう人は意外と多いよね。チラッとでいいから露出関連の表示を確認する癖をつけておくと、失敗を防げるようになってくる。絞りとかシャッター速度の数字を覚えられないという人も、表示を確認するようにしておけば自然と覚えられる。
一連の操作ができるようになったら、だんだん素早く行えるようにしていこう。同じところにカメラを向けるのではなく、あちこちにカメラを向けながら繰り返し行う。動作が速くなるとシャッターの操作が雑になってカメラブレを起こしやすくなるので、つねにブレが起きないよう注意して、余裕があればシャッターを押したあとの画像をチェックしてブレがないか見ておこう。同じように、露出も確認するようにするといっそう精度の高い撮影ができるようになっていく。
十勝地方でみつけた菜の花畑。奥行きのある構図で撮影してみた。三脚にカメラをセットして、構図を決めてから測距点を移動してピントを合わせ、露出補正をする、といった一連の操作をスムーズに行うためには、カメラの操作を熟練して身につけているレベルになっておきたい。 |
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 絞り優先AE 絞り:F16 シャッタースピード: 1/20秒 プラス1EV ホワイトバランス:太陽光(C-PLフィルターを使用)
ただシャッターを押しているだけではつまらないというときは、テレビをつけてそこに登場する人のいい表情の瞬間を狙ってみるとか、動きの瞬間を意識して写し止めるといった目的を持った練習をしてみるのもいい。シャッターチャンスを捉える練習になる。
そして、こういった操作がそれぞれのボタンを見ずにカメラを構えたままできるようになっているのが理想だ。家の中でもカメラを構えて一連の操作がスムーズにできるよう、練習しておこう。これはまだまだ基本の第一歩だ。
なぜこんなことをするかというと、カメラの操作を知っているというだけではなく、本当に身につけておきたいからだ。
たとえば、料理をするときに包丁で野菜を刻むのにいちいち野菜の厚みを考えながら切っているだろうか。車を運転するときにハンドルの角度を考えたりアクセルの踏み方を意識したりして乗っているだろうか。ほとんどのことを無意識に近い感じで自然に行っているはずだ。カメラも日頃必要な操作については、見なくても当たり前に操作できるようになれば完璧だ。
だからこそ、とっさのシャッターチャンスに対応できるようになる。
ピント合わせのコツ
PENTAXを愛用している人の中にはオールドレンズが好きな人もけっこういるよね。オールドレンズのなかにはピント合わせがマニュアルのものも多い。そんなレンズを使っているのなら、家の中でピント合わせの練習をしてみるのもいい。
ファインダーを覗いてピントリングをまわして被写体がいちばんはっきり見えるところがピントの合っているところ。
色鮮やかなハーブをマクロレンズで撮影。近接撮影はピントがシビアになるんので、AFに頼るだけでなく最後に自分の目でピントを確認することが大切。日頃からピントの合っている状態がどう見えているのか、覚えておくことがシャープに撮影するために大切だ。 |
PENTAX K-3 + smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WR 絞り優先AE 絞り:F4 シャッタースピード:1/160秒 感度:ISO400 プラス1EV ホワイトバランス:太陽光
初めてマニュアルでピントを合わせるときは、一度大きくピントを外してぼけた状態からピントを合わせていく。ピントが合ったと思ってもピントリングをそこで止めず、一度ぼけているのが分かるような状態になってから元に戻す。さらに細かくピントリングをまわしながらいちばんシャープに見えるところを探すというのがマニュアルでピント合わせをするときのコツ。
ピントが合っている状態は自分の目で確認してもらうしかないので、何度も練習してピントの合っているときの見え方を覚えるようにしよう。
それとひとつ大事なことは、ファインダーの視度を事前に合わせておくこと。ファインダー内の絞りやシャッター速度の表示がはっきり読めるように調節すればいい。どうしてもはっきり見えないときは視力が合わないので、メガネなどを調整する必要がある。
マニュアルでピント合わせができるようになると、オートフォーカスで撮影しているときにもピントのズレが分かるようになり、いっそう精度の高いピントで撮影できるようになる。
体力をつける(イメージトレーニングではないけれど)
他にできそうなことではイメージトレーニングではないけれど、HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWとかHD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AWみたいな重いレンズを持っている人は、暇なときにレンズをダンベル代わりにして筋トレするのもいいと思う。
いつでも三脚を使って撮影しているのなら必要ないけれど、手持ち撮影をするのなら構図を安定させるためにも必要なトレーニングだ。レンズをつけたカメラを素早く構え安定してホールディングする動作を10回とか20回繰り返すだけでも効果はあるぞ。
春の暖かな日射しに照らされて水面を泳ぐオシドリ。若葉が広がり始めていたので、季節感を出すために若葉を前ボケとして利用した。動きのある被写体は可能なら手持ち撮影の方が追従しやすいから三脚を使うことは少ないので、体力も必要だ。 |
PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW 絞り優先AE 絞り:F8 シャッタースピード:1/800秒 感度:ISO800 ホワイトバランス:太陽光
カメラを自分の手足として使うためには、日頃の訓練が必要。カメラを大事にしまい込むのではなく、テーブルの上に置いておいて、暇があったら手にしてみるようにしてみよう。