5月のお題は…『点景を撮る』
遠くにポツンと小さく写っているのでも、一枚の写真の中では重要な働きを担っている場合があります。風景の中の小さな人物、小さいけど色や形、表情が目立っていてアクセントになっているものを探してみてください。
ハービー・山口 師範からの5月のお題は『点景を撮る』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
5月の挑戦者その1:YTさん
雨の中、空港近くの好きなポイントにて。
実際は耳に轟音が響いている。でも撮った瞬間、
心には静寂と時が止まった感覚があった。
福岡県在住、男性。どう写すかではなく、何を撮るのか。ドラマはあるか。PENTAX MX-1で撮影。
師範の判定結果は・・・
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お見事!
物事は全て何が幸いするか分からないのが世の習いです。晴れの日には晴れの日の、雨の日には雨の日にしか撮れない写真があるものです。
この写真の中で、うっすらと見える飛行機の存在が見事です。単純に考えると、晴れた日に旅客機の色彩豊かな勇姿を撮りたいと思ってしまいます。それは間違いではなく、低空飛行の迫力を捉えた写真は数多く撮影されています。ところがこの霧の中に見える条件での撮影が功を奏し、意外性のあるすばらしい作品が生まれました。
普通に考えがちなアプローチと逆の条件を選ぶことは時に賭けのようなことになりますが、名作を生む土壌になるものです。免許皆伝でしょう。
5月の挑戦者その2:Switchさん
おっと、二人乗り自転車、あわててカメラのスイッチを入れて撮影、余裕の無い撮影でした。
RAW現像の時にモノクロにトーンカーブでハイライトを上げて、シャドウを下げました。
群馬県在住、男性。多趣味ですが、その全てが下手な横好き、趣味を楽しむには最高レベルだとおもいます。(汗)PENTAX K-mとsmc PENTAX-DA L 18-55mmF3.5-5.6 ALで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら…
主題が点景であっても、画面の中で十分目立っているという場合があります。それは小さくしか写っていないのに、意味や形が特徴的であることで、存在感が大きいわけですね。
住宅地を駆け抜ける自転車ですが、二人乗りをしていることで写真を見た人は、その姿に子供の頃の思い出など様々に思いを馳せるのです。二人乗りは禁止されていると思いますので、道徳には反していますが、若い男女が仲むつまじく二人乗りしている姿は絵になります。写真を見た人に何かを想像させる写真というのは、それだけで長く見ていられます。
しかし、この写真の場合はもう少し寄ったカット、あるいは点景がブレているとかの工夫が見たいですね。
5月の挑戦者その3:tatsuya.bmpさん
タンポポの咲く丘に、女性がやってきた瞬間、まったく違う風景にみえたのでシャッターを切りました。
大阪府在住、男性。趣味で週末写真を撮ってます。PENTAX K-S2とSIGMA 17-50mm F2.8 EX DCで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら…
作者のコメントに「丘に女性がやってきた瞬間、全く違う風景に見えた」とあります。この感受性と、すかさずシャッターを切る行動力が何よりも写真家には必要なものだと思います。衝動に駆られて思わずシャッターを切るということはそれだけ、自分の心と写す写真が見事にシンクロしているということです。
写真を撮る場合、テーマとかコンセプトをしっかり踏まえてから撮影することを留意する一方で、シャッターを切る瞬間は無心で…という言い方もされます。頭で撮るよりも心で撮るとことの大切さを改めて思い知ります。
次の課題として、画面の中に状況と登場人物があるとすると、どちらかに主役、どちらかに脇役の順列が明確になるように工夫して下さい。
YTさん免許皆伝おめでとうございます!おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!
Switchさん、tatsuya.bmpさんには「門前払い ミニ木札」をお贈りします!
記念品は7月上旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、5月のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
〔クリックで写真が大きくなります〕
以降のお題へのご投稿もお待ちしています!