こちらの記事は、ペンタックスリコーファミリークラブ会報誌から転載しております。

 

デジタルカメラは、メーカーの色・特徴が生かせるJPEG撮影も今や主流になってきました。RAW現像やPC操作が苦手だったり、苦戦してしまう方もいらっしゃると思いますが、プロラボを利用することで作品プリントを仕上げることができます。1枚のプリントを仕上げるにあたり、コストや手間を考えても利用価値の高いサービスです。JPEG撮影のデータにも対応してくれます。今回は、プロラボの利用方法、プリントオーダーの仕方をご紹介します。

意図が伝わる作品プリントづくり

ところで、いい仕上がり、美しいプリントとは何でしょうか? 皆さんも写真展などで「すごい迫力」「キレイ!」「雰囲気出てる〜」などそんな言葉を発したことが少なからずあると思います。それは、撮影者の意図が的確に伝わり、写真に感銘を受けたということでしょう。要するに「心が動かされた写真」だということです。
写真展での美しい写真やコンテストの応募作品はプリントが命。そのために、意図が伝わる作品=いい仕上がり、美しいプリントが大切なのです。

プロラボってなに?
プロラボとは? と思っている方も少なくないと思います。フィルム撮影がメインだったころ、プロカメラマンを相手にフィルムの現像やプリントを行っていた現像所です。町中のDPE ショップ(お店プリント)が一般的なサービスとすると、プリントの仕上がりに細かい指示を行い、自分の好みの色に仕上げてもらうことができるプリントの専門店、プロショップです。‘プロ’ とついていますが、どなたでも利用することができます。分かりやすく言えば、自分のイメージしている仕上がりを再現してくれるお店と言えば理解できると思います。

(左)プロラボ イーストウエスト代官山の受付カウンターの様子。スタッフとコミュニケーションを図ることも作品プリントづくりの第一歩です。(右)自宅では環境づくりが難しい、キャリブレーションされたモニター画面を見ながら仕上がりの相談ができます。

 

プロラボを利用するための準備

プリントの方法は、銀塩プリント(従来の写真プリント)とインクジェットプリントの2種類ありますが、プリントオーダーの仕方はどちらも共通です。

①2LA4サイズくらいの見本プリントを用意。
この見本プリントは自宅のプリンターでも、お店プリントでも構いません。できるだけ画像の全画面が見えるようにプリントを。
②受付可能なデータはJPEG or TIFFのみです。
RAWデータは必ず現像しておきます。もし自宅で現像したり、画像を加工・調整したデータがある場合は、加工処理済みデータと撮影したままのデータ両方を用意します。
③データはCD-RSDカードなどのメディアでプリントに必要なデータのみを入れて持参します。
たくさんデータが入っている場合はプリントする画像ファイルが分かるよう、インデックスを付けるかファイル名を控えておくのがマナー。
④写真展で見せるのか、コンテストに応募するのか。
見せ方、展示方法を考慮することも大切な要素です。展示するイメージに合わせて写真の画面サイズを指示することもできますし、プリントを仕上げるために必要な情報ですので、事前に調べておき作品イメージと共に伝えます。

 

写真の画面サイズを指示する
どの見せ方にするかで印象が大きく変わります。

紙のサイズに写真を合わせる

紙の中に画像全体を入れる

フレームに合わせフチを広くする

 

紙のサイズに写真を合わせる

プリントのフチに色を付ける

紙を縦にして画像をレイアウトする

展示会場の光源を伝える
同じ作品でも光源の違いでイメージが異なります。
写真展の場合、展示会場の光源によって作品に影響がでますので、どんなギャラリーで展示するかも伝えておきます。また、注文枚数によりますが、仕上がりまでは5〜10日を目安に。枚数をまとめて注文するときは日程に余裕が必要です。

評価光

展示用スポットライト

 

実際のプリント注文の仕方

プリントを注文するときは、きちんと言葉で表現しましょう。自宅のパソコンで上手く表現できないことも、自分自身が抱いているイメージ(深み、立体感、色合い、雰囲気など)を言葉で伝えることでプリントの仕上がりは大きく変わります。
無理に専門的な用語を使う必要はなく、見本プリントの写真とともにイメージを伝えることで、撮影された作品データの情報からプリンターマンは意図をくんでくれるのです。
デジタルフィルターやエフェクト加工した作品は、その風合いが損なわれないように注意して伝えます。

プリントで変えられないものがあります。
撮影時にご自身が決めた設定の中で画づくりに大きく影響するのが、ピント位置、絞り値、シャッタースピード、ISO感度です。これらはプリントや画像処理でも修正ができません。また、撮影後データをいじりすぎたために品質を損なうこともあります。トーンカーブのいじり過ぎ、シャープネスやレベル補正のかけ過ぎ、スポットしたブラシ跡などはプリントの仕上がりに影響が出てしまいます。プリントのためにも狙い通りの写真が撮れるまであきらめず、慌てず、何枚もシャッターを切り、丁寧な撮影を心がけてください。RAW現像はカメラ内でできる範囲がベストです。

Before

<こんな風にオーダーしました>
全体にメリハリを付け陰影を強調したい。壁の色はもう少し青っぽかったのでスッキリとした色に調整をお願いします。

 

 

 

After

Before

<こんな風にオーダーしました>
花弁の白さはこのままで、全体的に浮き上がってくるように。背景はもっと深みを出してもらいたいです。

 

 

 

After

Before

<こんな風にオーダーしました>
ハイキー調に仕上げしたいので、ハイライト部分が飛ばないように抑えながらも、明るく柔らかい表現にお願いします。

 

 

 

After

Before

<こんな風にオーダーしました>
全体が明る過ぎてしまったので、シャドーを引き締め雲のディテールを出しつつ鮮やかな印象にしたいです。

 

 

 

After

 

プリントする紙の種類によって異なる仕上がり

銀塩プリントもインクジェットプリントもプリントする紙質を選ぶことができます。後者は紙の種類が豊富ですが、立体感や色の深み・奥行き、トーン、階調表現を重視したいなら銀塩プリントがおすすめです。ただし、どちらにも言えることは作品にマッチさせた紙、作品意図が伝わる紙を選ぶということです。
・グロッシー(光沢)=プリントの基準となる用紙。どんな写真にも向いています。
・マット(半光沢)=しっとり落ち着いた雰囲気に。深い渋みのある和風のイメージに仕上がります。
・クリスタル(超光沢)=風景や派手な色合いの表現に。ハイキー調の明るい写真にも向いています。

(左)一般のお店プリントとは異なり、仕上がりの指示を行い紙も選ぶことができます。(右)銀塩プリントでは、グロッシー(光沢)・マット(半光沢)・クリスタル(超光沢)が選べます。紙の種類によって異なります。画像のハイエストに反映されます。

紙を選ぶ上で注意したいのは、赤・緑・黄などの原色で、用紙によって表現域が大きく異なります。また、黒も光が当たった時に大きく印象が変わります。どのように見せるのか、用途や目的、作品テーマ、会場の光源、フレームなどの影響を受けますので、きちんとプロラボの方と相談して選びましょう。

 

【取材・協力:株式会社イーストウエスト】
店頭受付のほか、各地からのお客様へサービス提供を行うことができる「Pro Photo 宅配サービス」などの業務も行っています。
153-0061 東京都目黒区中目黒1-1-71 KN 代官山
Tel 03-3711-7521(代) Fax 03-3711-7549 http://www.eastwest-inc.co.jp/

(ペンタックスリコーファミリークラブ会報誌200号より)

 

※リコーイメージングフォトコンテスト2020係より
丁寧に仕上げたプリントは見ていてとても気持ち良く、深く印象に残ります。コンテストに応募する作品も、皆さんの想いが伝わるようこだわって丁寧にプリントしてみませんか。また、プロラボとプリントを仕上げていく作業はこれからの作品作りに役立つと思います。
リコーイメージングフォトコンテスト2020の応募についてはこちらをご覧ください。
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/event/photocontest/2020/