9月のお題は…『消えゆくもの』
かつてかの木村伊兵衛さんは、新しいものより、時代に流されて消えてゆくものにレンズを向けていた、ということをある方からお聞きしました。あなたの周辺に消えゆくものがあったなら、ぜひ撮り残してください。
ハービー・山口 師範からの9月のお題は『消えゆくもの』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。
9月の挑戦者その4:おーちゃんさん
昭和40年代まで栄えていた屋久島の林業。
木を運び出していたトロッコも朽ち果てて…
福岡県在住、男性。ネイチャーフォトが好きですが最近はもっぱら子供の写真ばかり撮っています。PENTAX K-3IIとsmc PENTAX-DA★16-50mmF2.8 ED AL[IF] SDMで撮影。
師範の判定結果は・・・
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もう一歩!
屋久島で昭和40年代まで栄えていた林業、そこで使われていたトロッコの朽ち果てた姿ということです。この風景もグッと胸に迫るものがあります。
画面右の線路の形が程良い曲線を描いているところが、構図的に効果大です。この短い部分の線路が複線になっているところがさらに物語を起想させます。
勿論、画面左の置き去りにされたトロッコの車両部分の存在も大きいです。
車両の下部を黒くつぶさずに、朽ちてゆく金属のディティールを表現出来たらさらに視覚的に強くなったと思います。ここに私も立ってみたいという思いがありますね。
9月の挑戦者その5:kazeさん
高松市片原町界隈の歓楽街に取り残されたいわゆる“赤線”の跡。
再開発の地区に指定されており、近い将来消えゆく運命にある横丁です。
香川県在住、男性。光学ファインダーに魅せられてPENTAX一眼レフの虜になりました。祖父に貰ったSP FからLX~K-1 Mark IIまでずっとPENTAXのカメラを使っています。写真好きですが機材オタク?でもあります。PENTAX K-1 Mark IIとsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedで撮影。
師範の判定結果は・・・
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もう一歩!
かつては赤線として存在していた歓楽街の路地裏。遠からず再開発で取り壊されることが決まっているそうです。こうした佇まいを見つけると、懐かしさというよりもっと重たい感情が沸き立ってきます。
写真に写っている看板、剥がれた舗装、植え込み。まさに昭和が日本にとって、あるいは日本人にとってどんな時代であったのかを考えてしまします。
戦後、地方、都市、経済の発展、バブル…私たちが歩んで来た過去を見つめ、自戒、知恵を将来へ活かしたいですね。これだけの内容が写真のなかに内包されていますし、個人的にはノーマルなモノクロームで良かったのではないかと思います。
9月の挑戦者その6:にたばるさん
「昭和98年」
平成も終わるころに残っている建屋。
ヘッドライトが照らしている名残。
滋賀県在住、男性。厳しく、やさしく、温かいコメントがいつも楽しみでした。PENTAX K-1とsmc PENTAX-DA 50mmF1.8で撮影。
師範の判定結果は・・・
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お見事!
ある建物の中を覗くとその中には荒れた室内が見受けられ、木造の木枠や梁がむき出しになっています。壁に女性がモデルになっているポスターが4枚貼ってあり、全体が赤く発色した色調が尋常ではない雰囲気を醸し出しています。謎めいた中に時間と好奇心と生活が凝縮されていると思いました。
普通の家なのかお店の跡なのか、一見しただけでは判断出来ません。コメントによるとタクシーのヘッドライトが当たった照明ということですが、ドラマティックな映像を作る偶然のアシストとなりました。
かつて写真家の木村伊兵衛さんの撮影に同行した方から聞いた話ですが、木村さんは新しいものではなく、消えて去ってしまうものにカメラを向けていたそうです。
にたばるさん免許皆伝おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!
おーちゃんさん、kazeさんには「免許中伝ミニ木札」をお贈りします!
記念品は11月上旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。
その他の投稿作品をご紹介
最後に、9月のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。
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