PENTAX official企画『#カメラおたくの裏の顔』

カメラ、写真を好きになる人たちにはどんな共通点、特徴があるんだろう?
そんな議論で盛り上がったPENTAX official編集部員が、試しに自身の“裏の顔”を明かしていきます。

 

古い納戸を整理していたら懐かしい物が出て来ました。

交通案内社「ポケット全国時刻表 2002年12月」

よく残っていたものです。

以前の記事でも何度か旅先でのエピソードを書いていますが、旅好きです。そしていまでこそ機会が減ってしまいましたが、鉄道で移動すること、さらに言うならば「青春18きっぷ」で旅をするのが好きです。初めて青春18きっぷで旅をしたのは中学校の卒業旅行だったでしょうか。仲の良い友人と3人で馴染みの別所温泉のユースホステルに泊まりに行ったのが多分そうだったのだと思います。今はもう無い横川駅から電気機関車を連結しての碓氷峠越え、峠の釜めし、車内でのとりとめの無い会話・・・ 昨日の事のように思い起こされます。

小口についたたくさんの付箋が古い旅の事を思い出させてくれます。

話が脱線しました。
今回は「旅のプロセス」の話です。

古ぼけたこの1冊の時刻表をめくりながら、20代の頃の旅を思い出しました。
あの頃は旅立つ前の段取りが大事でした。
今みたいにスマホや時刻表検索アプリなど無いですから、どこで乗り換えて、どの列車に乗って、ということを事前に時刻表で事細かに下調べしたものです。今から振り返ればなんて面倒だったんだろうと思いつつ、それが楽しくもあったんですね。

乗り換えなど色んな情報を書き込んでいました。

「ここで30分乗り換えがあるから、ホームの駅そばを食べよう」とか
「この列車は○○駅まで行くけど、少し前の○○駅で降りて乗り換えた方が早いな」とか。
「あぁ、このあたりで通勤ラッシュにぶつかるんだよなぁ」
「このあたりから乗り降りする人の言葉(方言)が変わってくるんだったっけ」
などなどあれこれ想像しながら、乗り継ぎの行程計画を立ててゆきます。

もうこの段階で頭の中は既に旅先に飛んでいるのです。

今はどこかへ旅へ出掛けたいと思った時、ネットで調べてそのままツアーや宿をポチッとして、目的地へは飛行機や新幹線でひょいっと行ける時代になりました。まぁ時代もそうですが、大人になると時間も無いですし、そうなりますよね。便利ですし。

でも、この古ぼけた1冊の時刻表が大切なことを思い出させてくれました。

「時刻表をめくり、そして荷物を吟味して準備をしているその時から、旅は始まっているのだ」と。そのプロセスも含めて「旅」なんですよね。

ふとこの時刻表を撮った相棒のPENTAX KPを眺めながら思いました。写真も一緒だなぁと。ふと撮りに行きたい場所や被写体が浮かぶ。そしてそこへ行くために撮影地や行き方を調べ、そしてどのカメラとレンズを持って行こうかな・・・と吟味する。その時からその撮影は始まっているのです。

まだまだ外出には厳しい状況が続きますが、また訪れたい彼の地や出会いたいあの被写体を想像し、旅の段取りをしたりカメラの構成を考えたりメンテナンスをしながら、頭の中で旅をしてみませんか?

さて、次回は旅先での話を書いてみようと思います。またお会いしましょう。

かつてあちこちを一緒に旅したDOMKE F-1(これは2代目)。ポケット時刻表は文字通りポケットにピッタリでした。