>>前回(その4)に引き続きK-3 Mark IIIに合わせてわたしが購入したレンズを紹介してまいります。今回は、35ミリ判フルサイズにおいて“真の標準レンズ”と銘打ったレンズです。
HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited(35ミリ判換算66mm相当)
本レンズが“真の標準レンズ”と言われているのは、36mm×24mmの35ミリ判フィルムの対角長が43mm程度であることからきているとされていますが、今回組み合わせているカメラはAPS-CフォーマットのK-3 Mark III。
撮影画角はぐっと狭くなり、35ミリ判換算で66mm相当となります。標準と中望遠のちょうど狭間にあるような、少し中途半端な数字に感じられますね。
でもこの66mmの画角、身に覚えがあると思ったら、10年くらい前に使っていたAPS-Hフォーマットのデジタル一眼レフカメラCanon EOS-1D Mark IVに50mmの単焦点レンズをつけた時の感覚…!!(伝わりづらい)
今では、コシナさんからVoigtlanderブランドでミラーレス一眼向けに65mmの単焦点レンズなんかも出てますね。
…ハイ、言葉を尽くせば尽くすほどニッチな感じの画角です。
絵本を眺めながら足をパタパタさせている息子。ムチムチの足を前ボケにしてみました。
いつも高性能な中望遠レンズが気になって85mm単焦点レンズなんかを手にしてみるけど、持て余しがちなそこのアナタ!(わたし自身のことです)これまで色んなメーカーカメラシステムに手を出してきましたが、85mm単焦点というのは使いこなせなくてもついつい買ってしまう誰もが認める“ザ・中望遠レンズ”のひとつですが、日常写真ではちょっと使い勝手に困ることありませんかね?(あくまで個人の感想です)
もちろん描写性能に優れ、ボケが綺麗。程よく圧縮が効いて、画面整理もしやすくポートレートレンズとしては必携のレンズが多いのですが、最短撮影距離が長めなのが気になるところ。
35ミリ判フルサイズ用の単焦点レンズをAPS-Cフォーマットで使う際によく「レンズ中心部の美味しいところを使える」とありますが、個人的には35ミリ判カメラにそれ用のレンズを使う場合よりも最短撮影が短いのが最高に良いと思ってます。
例えば、35ミリ判フルサイズ用の50mm単焦点レンズは大体最短撮影距離が40〜45cm程度。先ほど例に挙げた85mm単焦点レンズであればほとんどが最短85cmです。
日常生活で幼い子供を撮ったりするときに、85cmの距離を稼ぐのはなかなか難しいものです。(心情的にも、物理的にも)
そこでこの43mmの単焦点レンズならば、35ミリ判換算で66mmのほどよい望遠画角でありつつ、最短撮影距離は45mm。これが意外なほど使い勝手が良いのです。
ご説明しようと数字を並べるほどわかりづらいですね…。「HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」は発売後間もないですが、smc版の製品まで含めるとかなりのロングセラーレンズで、お手元にある方も多いと思います。ぜひ実際にお試しあれ!笑
スナップにも意外なほどよい画角です。
自分が注視したところをイメージ通りに切り取れます。
HD版にリニューアルしたFA Limitedレンズの3本で、一番変化が大きいのは本レンズだと思います。ハイライトの光の表現であったり、暗部にすっきりとなだらかなトーンが感じられます。
上の写真の、高速道路の裏にコンクリートからの照り返しがあたっている感じとか…。
同じところからカスタムイメージを「モノトーン」に切り替えて撮影。良いレンズはモノクロで撮ると、うっとりします。
F8まで絞っているんですが、レンズの描写力がピークにくるであろうこの辺りでカスタムイメージを「リバーサルフィルム」にして構造物を撮ると、すごくソリッドな感じがします。
K-3 Mark IIIはファインダーの視界が35ミリフルサイズそのものなので、ここまでよく写ってくれると「センサーサイズ何それおいしいの(メーカーの人が言っちゃダメ、絶対)」なくらい。
コクのある写りが続いたので、ここで新しいカスタムイメージの「里び(SATOBI)」を。シアンがかった空と、少しマゼンタを帯びた鉄骨が急にノスタルジックな雰囲気。
最後は、>>前回(その4)の最後にも「HD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW」で撮ったものを載せました、工場夜景です。
工場夜景が撮りたいというよりは、「光条夜景」が撮りたかった。(いい歳になってきたなー)
わたしが前職のカメラ屋で働いていたころに、DA LimitedレンズがsmcからHD版にリニューアルしたのですが、smc版を長く愛用されている方が多くいらっしゃいました。
その理由が、「HD版は円形絞りを採用したことでこういった点光源を絞り込んで撮影したときに出る光条がぼんやりとやさしい感じになり、物足りないから」だとか…。
なるほど…。多くのシーンで円形絞り化によって柔らかいボケ味が得られる一方で、そうした嗜好もあるのだとものづくりの難しさを感じたものです。
正直なところ企画や開発の方は、当時のことを気にしてました。
そしてこれです。開放から2段ほどは柔らかいボケ味を見せつつも、絞り込んだら素敵な光条が尾を引くレンズとなりました。
今では身内なので手前味噌な話ですが、あえて言います。「グッジョブ」