みなさん、こんにちは。ヒコーキ写真の世界では珍しいPENTAXユーザーのT.Fujibaです。PENTAX officialでは >>写真展「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」での インタビュー以来の登場となります。記事の寄稿では初となります。よろしくお願いします。

私がPENTAXを使う大きな理由が二つあり、それは「ハイパープログラム」と「CTE」が使えることである。 ハイパープログラムを愛用するのは、基本的に自分の撮影スタイルでは絞り優先(Av)を使いつつ、時にシャッタースピード優先(Tv)に切り替える使い方になる。これは、Avで撮影している時に、ヘリやプロペラ機が来た際にプロペラが止まってしまわないようTvに咄嗟に切り替えることが簡単にできるところから来ている。ハイパープログラムだと、前後ダイヤルを操作するだけで、Av⇔Tvを行ったり来たりできてモードダイヤルを回さなくて済む利点がある。(うっかりダイヤルを触っていてAvのつもりがTvになってたってことがあるのは愛嬌)

そして、「CTE」がPENTAXを使っている最大の理由であり、本記事の本題「fujibaオレンジ」を支えるファクターであると言える。「fujibaオレンジ」と言われ出したのは東京に赴任中、冬場に毎朝のように羽田空港へ通い朝焼け、朝日を撮っていたころに仲間に「フジバさんのオレンジを真似したいんだけど…なかなか色が出なかった」と言われたのが始まりである。

では早速、2つの作品を見比べてみることにする。1点目は「ヒコーキ写真テクニック(イカロス出版)」にて、PENTAX K-3 Mark IIIのインプレッション記事を書いた際の見開きページ画像である。

(左)before. WB: AWB, カスタムイメージ: 鮮やか / (右)after. WB: CTE, カスタムイメージ: リバーサル

2点目は、 写真展「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」のキー写真となったものである。(PENTAX K-3IIで撮影) レンズはいずれもHD PENTAX-DA 560mmF5.6ED AWである。

(左)before. WB: 太陽光, カスタムイメージ: 鮮やか / (右)after. WB: CTE, カスタムイメージ: リバーサル

違いは一目瞭然、WB CTE+リバーサルは夕陽、夕焼けのオレンジが鮮烈で印象に残る色に仕上がっているのがわかると思う。2点目の作品はリコーイメージングスクエア東京(当時)での展示で、飛行機写真界のレジェンドと神の両名が異口同音に「これはPENTAXでないと出ない色だ」と言われたものである。
さて、このホワイトバランスCTEも無敵ではない。経験的には光がしっかりないと色温度が低い方に振られ、マゼンダが強目にでてしまいオレンジとしての再現はされなくなる。シチュエーションでいえば、雲が広がっていて太陽が隠れ、光の弱さを感じてしまうような時である。この場合でも暖色で仕上げようと思えば、「曇天」あるいは「日陰」を選ぶことでオレンジ系の色は残るが、やはり光がしっかりある時のCTEには敵わない。 とはいえ、光が弱まった状態でも、空がグレーに落ちてこなければ全体がパープルがかった色となって、これも魅惑的な感じになるので、やはり、まずはCTEで試し撃ちをしてしまいがちである。

PENTAX K-1 Mark II+HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW WB CTE, カスタムイメージ: リバーサル

このような夕景を絡めた実際の撮影の現場では、露出は空をターゲットに取るようにしている。中央重点測光で露出補正は-0.7を基本として空の色がしっかり出るようにする。超望遠で機体に寄る場合は状況に応じて、AEロックをかけて露出を固定して、露出が暴れないようにすることもある。
よく使っているカメラを聞かれて「PENTAXです」と答えると「緑の発色が良いって聞きますね」と返されることが多いが、自分は「いやいや、夕焼けの赤が素晴らしいですよ」とさらに返している。一時、他社のカメラを借りていた時も夕景の色が出せなくて困り果てたこともあるほどに、PENTAX独自のホワイトバランスCTEなしには語れなくなっている。

さて、「fujibaオレンジ」な作品をはじめとした、PENTAXの機材で鳥取空港だけを撮り溜めた写真展「空港散歩2020 〜鳥取空港魅力の情景〜」の図録がリコーイメージングストアで絶賛発売中です。PENTAXの色で紡ぎ出すヒコーキ情景写真をお手元でぜひご堪能ください。

■T.Fujibaさんの作品集について

 

>>空港散歩2020~鳥取空港魅力の情景~ 藤林敏啓(T.Fujiba)