最近は昔の映画をオンデマンドサービスで鑑賞することにはまっています。日本のモノクロ映画が気に入っていて、その中でも黒澤明監督作品と三船敏郎出演作をよく観ています。世界中の偉大な映画監督に影響を与えた「七人の侍」、「用心棒」が大好きです。
自宅近くに東宝スタジオや三船プロダクションがあり(かつては円谷プロも)、通っている成城の酒場で関係者と杯を交わすこともあって、今回はその成城界隈をモノクローム機「K-3 Mark III Monochrome」と「smc PENTAX-FA 50mmF1.4 Classic」を持ってペンタビしてみました。

成城と大蔵近くの国分寺崖線下に、ひっそりと鳥居が立っています。武蔵御嶽神社と呼ばれ、湧水のそばにあることから水神様とも呼ばれています。

その鳥居を「smc PENTAX-FA 50mmF1.4 Classic」の絞り開放で。NDフィルターをかけて絞りを開けることによって、このように印象的な描写を楽しめるのが楽しいですね。モノクロームなので想像力をかき立てる写りになりました。

祠にはさまざまなお供え物がありました。先だっての東京オリンピックで、米国がキャンプ地として使っていた運動公園が崖上にあるのですが、その横にある病院から戦時中は地下トンネルが続いていました。防空壕だったようです。現在は埋め戻されていますが、ちょっと因縁めいたものを感じます。

往年のモノクロ映画を観ていると、さすがに描写や音声部分で劣化を感じます。リマスター版だとそのあたりが修復されているのでクリアな映像を楽しめていいですね。と、そんなことを考えながら「K-3 Mark III Monochrome」だとモノクローム専用カスタムイメージ「スタンダード」が近い印象かな?とシャッターを切りつづけます。

湧水にはちょっとした広さの野菜洗い場跡が存在しています。家庭用バスタブ6つ分くらいの小さめなプール状で、夏場は子どもたちが水遊びをしています。どうやら今日は水を貯めていないようでした。

崖線の湧水に沿って小さな公園があります。ちょっとした木道を歩いて進んでいくと池に出ました。ここは隣にある団地の建て替えに伴って日当たりがよくなりました。そこに生えるメタセコイヤの木をあおりで撮りました。「smc PENTAX-FA 50mmF1.4 Classic」のノスタルジックな描写が何とも言えませんね。

残された昭和っぽい団地もそろそろ建て替えです。「七人の侍」の村のシーンを撮影したと言われる場所ですが、どのように変化するのかとても気になります。もっとも現在でも映画のシーンをこの場所で同定するのは難しいでしょうが。

世田谷通りを越えて、東宝スタジオにやってきました。エントランス前にはゴジラの巨大な壁画があり、スタジオ前にはゴジラ像と「七人の侍」の壁画がドーンと描かれています。映画を観た直後に訪れると感激もひとしおですね。奥にはモスラの壁画も見ることができます。

スタジオには関係者以外入ることができないので、裏を流れる仙川に沿った遊歩道を歩きましょう。道沿いにはスタジオの大道具部屋でしょうか、資材が並んでいる様子を窓越しに見ることができます。先ごろまで水中撮影用ののぞき穴があったプールも現存していたのですが、残念ながら取り壊されてしまいました。向かいにあるホームセンターもかつては撮影スタジオで、中に入ると建物のそこかしこにそれっぽい雰囲気を感じることができますよ。

という感じで成城学園前駅に近づいてきました。以前自分が写真展を開催した世田谷美術館分館の清川泰次記念ギャラリー前を通りましたよ。

成城は文化人、俳優など著名人が多く住んでいます。ブラブラと歩いていると「あ!」という人々によく遭遇します。また彼らが住むお屋敷も素晴らしく立派で、そのどれもがフォトジェニックで美しいのです。そんな中、昔からの邸宅に実際にあがって見学できるところもいくつか存在します。「成城五丁目猪股庭園」はその中でもお気に入りです。近代数寄屋建築の巨匠と言われる吉田五十八設計の邸宅と庭園は実に見事で、何回も訪れては上がり込んでしまうのです。

茶室や2つある中庭も趣があり、静かに物思いに耽るには最高の場所です。四季を通して近代数寄屋建築のよさを体感できる成城ならではのスポットだと思います。

最後に国分寺崖線に出てみましょう。「富士見橋」と「不動橋」という小田急線に架かる2つの橋があるのですが、「不動橋」が崖っぷちなので、夕方は丹沢を従えた富士の姿を遠望することができるのです。
この日も左は相州大山、主脈越しに富士、右に大室山、という見事な山容を臨むことができました。
「smc PENTAX-FA 50mmF1.4 Classic」のクラシカルなフレアを盛大に出して「K-3 Mark III Monochrome」のシャッターを切りましたよ。
成城界隈はまだまだ素晴らしいところがたくさんあるので、機会があればまたペンタビしてご紹介したいものです。