リニューアルした佐々木啓太の新連載「ケイタのあんこ(略称)」。3回目は、モノ☆クロ 3 です。モノ☆クロ は四ツ谷にあるペンタックスクラブハウスで行う作品展の名称で今回で3回目になります。その名前の通り展示するのはモノクロ作品だけです。流石に3回目になるとかなり気合いを入れないと焼き直しになってしまう。そんなことを考えながら写真を選びました。
これまで同様に展示作品の販売を行います。
カメラとレンズ
カメラ:PENTAX K-3 Mark III Monochrome
レンズ:HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limite / HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited
まずはレンズ選びから
今回の展示はトーンを見ていただきたいと考えて最初に決めたのはレンズでした。PENTAX K-3 Mark III Monochrome を使い始めてほぼ一年。様々なレンズを使う中でトーンを魅せるのに良いと思ったのがこの2本でした。この2本のレンズの描写は少しユルさを持っているという点で似ています。そのユルさが導く程よい光は繊細な描写にはそれほど影響せず、相乗効果のように作用しながら独自のトーンを生み出してくれます。その特徴が1画素のために1つ1つのセンサーが受けた光の全てを使う PENTAX K-3 Mark III Monochrome 描写にもあっています。レンズサイズとボディーサイズの相性が良いのも大きなポイントです。
オリジナルプリントでのトーンを見て欲しい
先に書いたレンズの特性を活かすためには是非ともカスタムイメージ:スタンダードを使ってください。スタンダードはデジタル的な強さが弱い(メリハリも弱い)ので、初めは使いづらいと感じるかもしれませんが光の濃淡(トーン)の再現性が良いカスタムイメージです。極端にいうとフィルムモノクロのようなユルさがレンズの描写と合っています。その仕上げはオリジナルプリントでそのトーンを見て欲しいと思います。そのときにこそスタンダードの再現性が最大限に活かされます。
レンズ HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited / 絞り優先オート F2.4 / 露出補正 -1.0EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ スタンダード 強さをだした方がぱっと見の印象はよくなりますが、見せたいのはトーンなので、絞り開放から柔らかく繊細に繋がるトーンを意識しました。
レンズ HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited / プログラムオート F11 / 露出補正 0EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ スタンダード このときはプログラムオートを使ってタイミングだけに集中していました。結果的に絞りはF11になっていましたが、絞り込まれた繊細さよりも硬くなっていないトーンに注目してください。
レンズ HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited / 絞り優先オート F5.6 / 露出補正 -1.3EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 少し離れた木の枝の様子を繊細に捉えたかったので絞りを F5.6 にしました。メインの木や背景のビルにはあまり光が当たっていませんが、微妙な陰影は捉えられています。これもレンズの個性と画像処理のマッチングの良さがもたらしてくれる結果です。
レンズ HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited / 絞り優先オート F2.8 / 露出補正 -1.0EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 雨の後の少し暗い条件での撮影でチューリップの花と水滴の質感の違いは感じられます。小文字のマクロでボケの優しさを優先しているこのレンズの真骨頂がこんな精細な違いを捉えてくれることです。
光を感じながら撮影する
リミテッドシリーズの描写を表現するときにヌルッとした感じという表現を使います。そのヌルッはかっちりしたデジタルモノクロより粒子のあるフィルムモノクロに近い質感で被写体を捉えてくれます。そんな質感を再現するためには光の角度や露出補正が大事で、光学ファインダーで光を感じながら撮影するのがあっています。
レンズ HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited / 絞り優先オート F2.8(連動外の自動補正) / 露出補正 -1.3EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 絞りは連動外の自動補正機能でF2.8になっています。こんな条件でも絞りを開けたいと思ったのは前ボケをできるだけ優しく綺麗に見せるためです。絞りが開いていてもピントを合わせた少し離れたトーキョータワーの細い分離には影響していません。
レンズ HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited / 絞り優先オート F2.8(連動外の自動補正) / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 高層の展望室から窓越しの撮影です。それも窓からはかなり離れていて、窓の外に少しもやがかかっている条件です。そんなもやの中で幾重にもつらなる高層ビルの姿はいつもより優しく感じました。その優しさも再現してくれるがこの組み合わせならではの余裕です。
レンズ HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited / 絞り優先オート F5.6(連動外の自動補正) / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ:スタンダード 光が強い条件ではそれなりにしっかり捉えてくれます。それでも暗部の粘りにリミテッドレンズらしいヌルッとさを感じます。
まとめ
トーンや質感など、デジタルになってあまり使わない表現ばかりですが、それがモノクロの楽しみで、改めてプリントで見て欲しいと思っています。今更プリントと言われても…そんなことを感じる方も多いと思います。そもそもプリントを見る機会もないし、プリンターもない。そんな方こそプリントを見にきてください。今回も前半と後半で作品の展示は全て入れ替えます。そして、様々なトーンをみていただけるようなセレクトになっているので、トーンの面白さを感じていただけると嬉しく思います。
今回用意したプリントは20枚あります。展示されていないプリントを見たいときはスタッフにお声がけください。
>>PENTAXクラブハウス開催 佐々木啓太作品展「モノ☆クロ3」についてはこちら
9月2日(月)より開催、9月7日(土)18時からギャラリートークを行います。
今回のあんこ
冷やしぜんざい
今回は旅先のコンビニで見つけた冷やしぜんざいです。試しに食べてみると美味しく、下の方からよく混ぜてすくうようにして食べると、とろみが増して良い感じでした。とはいえ、冷やしてあるのでさっぱりしていて暑い時期には最高です。そりゃぁ美味しいよね。何と言っても日本橋栄太楼製。コンビニで見つけたら即買いして下さい。