リニューアルした佐々木啓太の新連載「ケイタのあんこ(略称)」。今回はレンズフードの話です。メーカー純正のレンズフードはそのレンズの画角に合わせて撮影に影響しないサイズで作られています。それを取り替えるのがレンズフードスワップで、基本的に個人の責任で行うので禁断になります。
レンズフードをスワップしたのは HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited です。このレンズの特徴はビスケットレンズと呼ばれるレンズの薄さです。そのレンズの薄さに合わせて専用フードもフジツボ式でコンパクトになっています。それをあえて HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited のフードに変えるのがケイタ流のレンズフードスワップです。このスワップの良いところはAPS-Cサイズのセンサーのカメラでもフルサイズのセンサーのカメラでも使えることです。
DA70Ltd用のレンズフードをDA40Ltdにスワップした状態。
私は少し手が大きいので、純正状態ではレンズが薄すぎて撮影に集中していると画面の隅に指が映り込んでしまうことがあるのですが、レンズフードスワップをすると指が映り込む心配はなくなるので、レンズを構えたときの安心感が上がります。
カメラとレンズ
カメラ:PENTAX K-3 Mark III・PENTAX K-1 Mark II
レンズ:HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited
久しぶりの九秋(KYUSHU)
このレンズはカスタムイメージスペシャルエディションの九秋(KYUSHU)が使るので、残り少ない秋を堪能するときにフードスワップを試してください。参考までに HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited も 九秋(KYUSHU)に対応するレンズです。
共通データ カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 左右の違いはホワイトバランス(以下 WB)で、左は太陽光で右はAWB。ボクの好みは少し青みが強くなる WB:太陽光 。青みが強くなっているのは曇天という撮影条件の影響もあるが、九秋(KYUSHU)は、WBを太陽光にした方がしっとりとした雰囲気が上がる
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) PENTAX K-3 Mark IIIでこのレンズを使うときの画角は程よく目の前の風景を切りとりやすいところが気に入っている。せっかくの九秋(KYUSHU)なので、お気に入りの公園にでかけた
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.3EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 公園の中のなんでもない遊歩道は露出コントロールで特別な道のような深みを加えた
雨も安心
PENTAX K-3 Mark IIIで使うときは、HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited のフードを伸ばした状態でも画面の隅がケラれることがないので雨の水滴が前玉につくのを防いでくれます。
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 雨の影響は受けにくくても、レンズを少し上に向けるような条件では注意は必要。顔のような虫食いのある葉っぱを見つけてレンズを向けた
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 雨の楽しみは水滴のような雨ならではの変化を楽しむことで、水に濡れた葉っぱはいつもより生き生きしているように感じた
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 雨が心地よいリズムを刻んでいると思っていたら結構降っていたのでびっくりして撮影した1枚で、公園の木立の下にいるとこのぐらいの振り方なら傘なしで大丈夫
ボケや形の美しさを楽しむ
このレンズの開放F値はF2.8ですが、ボケも楽しめるのが良いところです。とはいえボケを作るためにはそれなりのアングル探しも必要になります。そして、少し離れたアングルにすると形の美しさを楽しむことができます。
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) ボケの印象が強くなるようにできるだけローアングルから背景との距離の差が大きくなるようにした
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.0EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 寄ればボケの印象が強くなる。レンズの前にススキを持ってくるなど、前ボケも使うとさらにボケの印象を強くすることができる。前ボケにもクセがなく良い雰囲気
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.0EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 少し離れた木立をアングルを低くして撮影するとその形を美しく捉えることができる。ビスケットレンズと言われる薄さでも描写力があるので撮影の気分が上がりやすい
カメラ PENTAX K-3 Mark III / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -1.0EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 雨の影響もあって人がほとんどいない公園、しっとりした雰囲気の中で遊具たちだけが遊んでいるように感じた
撮影は全て絞り開放のF2.8です。被写体に近づいたときのボケだけでなく被写体から少し離れたときのシャープな印象もなかなか良い感じです。こんな違いを作る秘訣は動くことです。自分が動いて作る変化は新たな撮影ポイントに気づく助けにもなります。動いて撮影のリズムが良くなるとついついレンズ前に指が入ることがあるので、レンズフードスワップがオススメなんです。
フルサイズもクロップなしでハイコントラスト
HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited はフルサイズのカメラで使うときにクロップなしでも使えます。今回のレンズフードスワップでも大丈夫と言いたいところですが、フードを全て伸ばした状態では画面周辺に少しだけケラれを感じることがあります。フードを縮めるとこの問題は解決されますが、せっかくなのでこのケラれを活かせる設定を考えました。
データ共通 カメラ PENTAX K-1 Mark II / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 +0.3EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU) 左がレンズフードを伸ばした状態で右がレンズフードを縮めた状態。厳しくみれば左のほうがケラれが強いが、右の絞り開放の周辺減光ぐらいと思える程度
カメラ PENTAX K-1 Mark II / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU)/ デジタルフィルター ハイコントラスト(1) 軽度なケラれは画面を引き締める効果に使えるので、メリハリのある仕上がりにすればその効果を活かせると考えてデジタルフィルター:ハイコントラストを1で撮影した
カメラ PENTAX K-1 Mark II / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.3EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU)/ デジタルフィルター ハイコントラスト(1) なにげない感じで使ってもデジタルフィルター + 程よいケラれの引き締め効果でカッコ良い感じになりやすい
カメラ PENTAX K-1 Mark II / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU)/ デジタルフィルター ハイコントラスト(1) 程よいボケ味とほどほどのハイコントラストが街の片隅に変化を加えてくれる
カメラ PENTAX K-1 Mark II / 絞り優先 F2.8 / 露出補正 -0.7EV / ISO感度 AUTO / WB 太陽光 / カスタムイメージ 九秋(KYUSHU)/ デジタルフィルター ハイコントラスト(1) 中途半場に感じそうな画角でも仕上がりの効果で緊張感を感じるようになる
フルサイズのクロップなしでこのレンズを使うとその画角は40mmになります。この40mmの画角に合うのが今回のちょっと強めな設定です。
まとめ
レンズフードスワップを楽しむためにレンズフードを新たに購入するような野暮はおやめください。DA Limited シリーズはコンプリートが基本なので、手持ちのHD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited のフードをちょっと借りるというのが正しい選択です。こんな遊びを楽しめるのも DA Limited の良さだと思います。
今回のあんこ
亀焼き 海神亀
今回は逗子にある亀焼き 海神亀です。あんこや生地の違いで赤亀(赤あん)白亀(白あん)緑亀(赤あん・緑茶生地)の3種類があります。チョイスしたのは赤亀で、生地は米粉を使っているのでしっとり。中のあんこはもうちょっと食べたくなる感じでした。