キリリとゆるりって何?きっちりしたモノクロを「キリリ」、ユルめのモノクロを「ゆるり」と呼ぶことにした。そんな2つのモノクロで撮影したのは4月中旬、向かったのは西武池袋線の元加治駅。最近ここにハマって、この数ヶ月で何回も通っている。通うきっかけになったのは、トーベ・ヤンソンあけぼの子供の森公園を教えてもらったことだった。そこで撮られた写真を見ながらふと足が向いた。行ってみると目的の公園だけでなく入間川周辺ののんびりした雰囲気に癒される感じで、いつの間にか足が向く場所になっていた。ちなみにこの日はくだんの公園はお休みだった。そんな行き当たりばったりの行動はいつも(笑)。

駅を降りて気分を変えるためにいつもとは反対方向に歩みを進めた。これは気分を変えるためとロケハンのため。黒が締まったきっちりしたモノクロが好きなので、スタートはキリリ。撮り初めはいつも上の写真のような感じで何となくまとまりがあるようでないようなところから。多分、自転車と歩いている人が気になったのだと思う。まるで他人事のように書いているのは、いつもそれぐらいのんびりスタートするから。あまり気合いを入れすぎると視野が狭くなって気になるものが少なくなるのでのんびり始める。

とはいえ、撮っていると少しづつ集中力が上がって狙いも整理される。そんなちょっと集中力が上がり始めたころに撮ったのが上の写真。ここもお休みだった自動車教習所。営業中だと多分レンズを向けるのは避けたと思うが、誰もいないのを良いことに散り際の桜を狙った。キリリにしたのは地面に落ちている桜の花びらの印象を強くするため。と、もっともらしく書いているが、実はゆるりも撮って、やっぱりキリリの方が印象的だと感じた。

こんな雲とシルエットを見せるならキリリがオススメ。

のんびりした雰囲気ならゆるり。ちなみに手前に小さく写っているおじさんはなぜかアヒルを連れていて、ここでその子たちを離していた。その後アヒルたちは右側の岸辺近くに集まっていた。川向こうになるおじさんがどうしたのかは不明。その顛末を確認するより写真を撮りたい気分の方が優っていた。こんな感じが集中している状態。

この日のカメラとレンズは PENTAX K-3 Mark III Monochrome と HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited 。撮影モードは絞り優先でF2.8。最近この組み合わせが気に入っている。そして、変化をつけるために考えたのが今回の「キリリ」と「ゆるり」だった。キリリはカスタムイメージ:スタンダードがベースで、ゆるりはカスタムイメージ:ソフトをベースにしている。

川岸に降りるとそこは何やら怪しげな雰囲気(笑)。実際はそれほどでもないが、キリリにすると放置されているお風呂の形が浮かび上がるので怪しさが増す。

桜はやはりゆるりがいい。ゆるりの方が儚い感じが上がるからだと思う。と、言いながらキリリも試したのが下の写真。

上の並木から少し離れたところで見つけたかなり年季を感じる1本桜が発する妖気にはゆるりよりキリリ。

やっぱり桜はゆるり。ということで改めて別の並木ではゆるりにした。元加治が気にいったもう一つの理由がこの桜並木。入間川に沿ってなかなか素敵な桜並木が点在しているのも元加治が気になる場所になった理由でもあった。そして、今年初めてだったので開花時期の見当が悪くベストタイミングには出会わないままそろそろ散っているだろうと今後のためのロケハンに出かけたのがこの日。確かに散ってはいたがゆるりが雰囲気を作ってくれた。

かっこよさなら断然キリリ。鉄橋を画面の下の方にして、雲が広がる感じの構図にすると迫力がでるのでかっこよさは増す。キリリには迫力や緊張感、ゆるりにはのんびり感と分けていた。

ナンバーが外されて放置されている車もキリリで撮れば輝きを取り戻して少しカッコよく感じる。

元加治付近の入間川の川岸は遊歩道が整備されているので歩きやすい。この雰囲気もここが好きになったポイント。こんなのんびり感を出すならゆるりで広めの構図がおすすめ。

最後は入間川。雨の後ということもあって水量が増して水も少し濁っていた。水量が増した勢いを伝わりやすくするためにキリリの緊張感だけでなく、構図もあまり余白を入れずに引き締めた感じにした。

実はもう一つロケハンをしていた。それは、>>5月18日(日)に開催されるモノクロ散歩スペシャルのためのロケハン。この日休みだった公園も含めて入間川周辺を散策しながら「キリリ」と「ゆるり」を体験していただきたいと思っています。当日のコースはこの写真では最後の2枚ぐらいのところで、あとはお楽しみ。いつもの宣伝?そんなつれないことを言わず、ぜひともご参加ください。カスタマイズした設定もそのとき公開します。

今回のあんこ

むさしの玉屋さんの「柏餅」
今回のあんこは「柏餅」。この時期限定の生菓子で、お邪魔したのは営団地下鉄丸ノ内線新中野駅から徒歩2分の鍋屋横丁にある「むさしの玉屋さん」。入り口から清潔感があり、整理されているお店に入るだけでも間違いないと感じさてくれる雰囲気がある。さすがは創業70有余年を誇る老舗さん。柏餅は「こしあん」「つぶあん」「みそあん」の3種類で、迷わず「つぶあん」と「みそあん」を選んで、まずは「つぶあん」を食べてびっくり。何かが主張しすぎず全体のバランスが絶妙で、噛めば噛むほどそれぞれの素材の良さを感じた。このバランスこそ老舗の味。そして、期待のみそあん。これはもう絶品、甘みとみその塩気の程よい。みそあんがキリリでつぶあんがゆるりかな。次回、こしあん、みそあんでのチャレンジ必須。あんこごとに葉っぱの色が少しづつ変えてあるのもさすがの仕事でした。