冬の空気は、どこまでも澄み渡っています。 頬をなでる風は冷たく鋭いですが、その分、湿り気を失った空気は潔く、降り注ぐ光は余計なものを削ぎ落としたかのようにクリアです。見上げる空の青は深く吸い込まれそうで、街の景色も、木々の枝先も、いつもより少しだけシャープに、その輪郭を際立たせてそこに存在しているように感じられます。

そんな季節に持ち出したくなるのは、やはり光学ファインダーを持つ一眼レフカメラです。今回も「K-1 Mark II」、「HD PENTAX-FA 50mmF1.4」と「HD PENTAX-FA 35mmF2」を持ち出して、世田谷区にある駒沢公園界隈をペンタビしました。

「K-1 Mark II」の、明るく大きなファインダーを覗き込みます。 それは単なる確認用のモニターではなく、世界と自分を繋ぐ「透明な窓」そのものです。視野率約100%のプリズムが見せるのは、電子のフィルターを通さない、ありのままの「生の光」です。競技場に設置されていた鏡面仕上げの銘板を撮りました。ピントは写り込んだ景色です。実に美しいですね。

お気に入りの「HD PENTAX-FA 35mmF2」を装着し、ピントを合わせます。冬の冷たく透き通った光が、スクリーン上で一点に凝縮され、被写体の輪郭がスッと立ち上がります。その光景をじっと見つめていると、まるで自分自身がその透明な光の中に溶け込んでいくような感覚に陥ります。深いブルーが季節を物語っていますね。

一眼レフはシャッターを切る瞬間がいいですよね。ミラーが力強く跳ね上がり、手に伝わる確かな鼓動。 視界が一瞬遮られ、再び鮮烈な光が戻ってきたとき、目の前の光景は「記録」へと変わります。この物理的なメカニズムがもたらす高揚感こそが、一眼レフを操る醍醐味だと言えるでしょう。芦原義信氏の設計によるオリンピック記念塔がファインダーの先にそびえています。

のんびりとオリンピックが開催された公園をフォトウォークします。アスファルトを叩くジョギング中の規則正しい足音。バスケットボールに興じる男子学生たちの威勢のいい声が響き、ボールがバックボードに当たる乾いた音が冷たい空気の中で反響します。日だまりのベンチでは小さな子供を連れた家族が声を立てて笑い、そのすぐ隣では、ダウンジャケットに身を包んだ人が静かにスマートフォンをいじっています。さまざまな人たちが思い思いの時を過ごしているのがわかります。

建築家・村田政真氏が手掛けた陸上競技場や、芦原義信氏の設計によるオリンピック記念塔、そして体育館。半世紀以上を経ても色褪せないモダンなフォルムは、冬の低い光に照らされることで、その彫刻的な美しさをより一層際立たせます。のんびりと歩きながらその姿形を自分なりに切り取るのが楽しいですね。

コンクリートの肌が持つ、冷たくも力強い質感。巨大な構造物が描き出す曲線と、空を突くような垂直のライン。それらが作り出す深い陰影は、カラーでありながらモノクロームのような静謐さを湛えています。空を行くヒコーキを「HD PENTAX-FA 50mmF1.4」はしっかりと描いていますね。

今回の撮影でも、前回同様に信頼を置いている単焦点レンズたちを選びました。 肉眼で見たままの空気感を解像してくれるレンズたちは、建築が持つ本来の「形」や「素材」の力、そしてそこに宿る圧倒的な存在感を余すことなく描き出してくれます。「なぜ今、自分はこの造形を美しいと思ったのか」。周囲の音をBGMに、ファインダー越しに巨匠たちの意図と対話する時間は、何にも代えがたい贅沢なひとときです。

この刺すような、それでいて清々しい光と、どこまでも高い空を味わえるのも、あとふた月ほどです。 春の柔らかな光が街を包み込む前に、この「クリアな世界」をもう少しだけ、この手と目に焼き付けておきたいですね。たとえ指先が冷たくなっても、晴れた日には迷わず「K-1 Mark II」と、愛用のレンズをバッグに忍ばせて、またフィールドへ「ペンタビ」しに出かけようと思います。