こんにちは、ラリーです。2019年も残すところあとわずかとなりました。今年はPENTAXの起源となった旭光学の誕生から100年目にあたる節目の年ということで、多くのユーザーの皆さまから祝福していただくことができ、ただただ感謝です。本当にありがとうございました。

100周年スペシャルと銘打ったPENTAXミーティングでは、ご来場いただいた皆様に来年発売を予定している開発中の新製品をいち早くお見せすることもでき、逆に我々も皆さまからたくさんのパワーをいただくことができました。

東京では現在のリコーイメージング本社所在地でもあるリコー大森事業所内のホールで開催しましたが、実はこの場所、過去にオリンピックカメラやリコーフレックスなどを生産していた大森工場の跡地に建てられています。さらに、後にペンタックスを生み出した旭光学工業合資会社にリコーが社名を譲渡する前の「旭光学工業株式会社」があった場所でもあり、いろんな意味で感慨深い場所での開催となりました。そうして無事に国内での100周年イベントを終えることができた2019年でしたが、今年、もう一つの思い出深い場所でも、次のステップに向けた動きが始まっていたのです。

それまで東京都板橋区の前野町に残っていた旧本社の社屋が、いよいよ解体されると聞いたのは今年の秋。カメラ事業のみをこの場所で継続してくことになった際、カメラ事業部全体が一か所に集まっていたのですが、ここは元々開発センターとして1982年に増設された建物でした。

 

在りし日の旭光学工業板橋本社(東京工場)
右下の建物が開発センターに建て替えられ、後に本社へ

 

社名部分にカバーがかけられた以外は当時のままの姿を残していた旧本社(2019年4月撮影)

 

2019年11月撮影、足場が組まれフェンスに囲まれているが、赤いPENTAXのロゴ看板は健在

 

2019年12月撮影、ついにロゴ看板がはずされた屋上部

1952年に国産初の一眼レフカメラを製造するタイミングで購入、設立された東京工場および当時の本社は、既に大型マンションへとその姿かたちを変えていますが、道ひとつ隔てて建てられていたこの建物だけは、最近まで変わらず残っていたのです。中に試作ラインなどもあったので、本社が移転した後、必要な地質調査等をおこなっていたのですが、いよいよそれも完了したらしく、話を聞きつけて今月向かった際には、急ピッチで解体が進んでいました。もちろん、さまざまな機械や図面、機材は移転済みで、今残っているのは我々が日々を過ごしていた建物そのものだけです。それでも、階段ホールにあしらわれていた、何となくレンズを想像させるブロックガラスの壁面や、屋上から見渡せる風景、異常に細分化されていた各部門の鍵(カードキーではないところが昭和!)を何十本も収めた守衛所のキーボックスなど、当時の思い出が鮮明に蘇るものがいくつか残っていて、これももうすぐ見納めかと思うと、恥ずかしながらちょっとウルッときてしまいました。

建物外観の特長にもなっていたブロックガラス

 

屋上からの風景、中央遠方にはスカイツリーも見えています。

解体後にこの場所がどうなるかは、まだ確定していないらしいのですが、工事が終了する来春まで、個人的にあと何回か足を運ぼうと思っています(中には入れませんが)。建物に限らず形あるものいつかは・・・、昔から何度も言われている言葉ですが、今回あらためて実感させられた気がします。既に実践されている方も多いと思いますが、来年の撮影テーマの一つに定点撮影も加えてみてはいかがでしょうか?

 

これからも、知ると思わず誰かに話したくなるPENTAXトリビアを多数ご紹介できればと思っています。本当に良い情報が提供できていたら、ぜひ『参考になった』ボタンを押してください。ライター全員の励みになりますので!!

それでは2020年もよろしくお願いいたします。皆さまもどうぞ良いお年をお迎えください!