1月のお題は…『見慣れた商店街』

ハービー・山口 師範

皆様がお住まいだったり、または職場の近くにある商店街は、そこを利用する人々にとって、一種の原風景のようなものです。あまりにも身近にあるために、あえてカメラを向けないでいたかも知れません。そこで、もしお店にお知り合いがいたらその方のポートレイトでも良いですし、見慣れたお店のたたずまいや看板などでも良いと思います。見慣れているものを自分のセンスで切り取ってください。

 

 

ハービー・山口 師範からの1月のお題は『見慣れた商店街』でした。
このお題に対して挑戦してくださった方の作品と、師範からの添削コメントを併せてご紹介します。

>>ハービー・山口 スナップ道場『1月前半分の結果』はこちら

1月の挑戦者その4:YTさん

福岡市の中心部にあった商店街にて。戦後からの永い歴史がある商店街だった。

時折訪れては写真を撮っていたが、市場内の美容室にいる猫がいつも気になっていた。
ある日店外から覗いていたところ、ご主人さんがそれに気づき自分の前に連れて来てくれた。

この猫との出会いや血筋の話など、初対面の自分に優しく丁寧に語ってくれた。
気品のある猫の姿、ご主人の優しい眼差しと語り口。素晴らしい時間だった。

この市場は残念ながら、4年前に取り壊された。
この時使っていたカメラもレンズも、残念ながらその後手放してしまった。
いろんな意味で、心に遺る写真になった。

YT
福岡県在住、男性。どう写すかではなく、なにを撮るのか。ドラマはあるか。PENTAX K-x とsmc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

こうしたスナップ・ポートレイトは見た人を和ませます。古い商店街で見かけた猫と親切なご主人との出会いです。モノクロのトーンに懐かしさ、日常のひと時の穏やかな空気が流れています。カメラがあればこそ成立した出会い、会話ですね。

写真に人を絡めると、時にこうした思わぬ会話やその後の関係が生まれますが、こうして面識を広めていくことは、写真の醍醐味の一つです。こうした商店街の人々と関わる撮影を続けて頂きたいと思います。そしてもし許されるならですが、様々なバリエーションの表情を撮りたいですね。

例えば猫をご主人の顔より高く差し上げて、猫とご主人が顔を見合わせているところ。肩に猫を載せているところなどです。きっと違う表情が撮れてベストショットを選べると思います。

写真を見た人が、さらなるインパクトを瞬時に見極める要素を入れ込めたら素晴らしい結果になると思います。

1月の挑戦者その5:Mabojiさん

昼間は気に留めることもない衣料品店ですが、ライトアップされたマネキンが
合唱しているように見えてきて面白く感じたのでシャッターを切りました。

Maboji
群馬県在住、男性。小さなミラーレスカメラからステップアップして約1年の初心者です。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

これも商店街のスナップとしては秀逸です。シャッターが閉まっている時間という意外性が目を引きます。

そして学校の制服とかスーツなのですか、似たデザインの服が整然と並んでいる形に惹かれるものがあります。顔が無い分ディスプレイと分かっていても、大勢の人々が規律正しく行進しているようで、アバンギャルドでもあります。お店が閉店しているが故のショーウィンドウの不規則なライティングがまた、印象を強くしている向きもあります。

他の店でもこうしたドラマがあるのか分かりませんが、閉店中が故の普段では見られない、思いがけないドラマを探してみるのは、今後のテーマとして挑戦しても良いのではないでしょうか。

1月の挑戦者その6:きのしさん

行きつけのハンバーガー屋の店員さんです。
二人共とても感じのいい方で、1月のお題を聞いて真っ先に撮らせて頂こうと思いました。
少しでも商店街の雰囲気を入れれる様にと店の外に出てもらい撮影しました。
余談ですが、ここのハンバーガーは肉厚ジューシーでいつ食べても大満足です。

きのし
広島県在住、男性。製薬会社勤務。写真は結婚を機に父の影響で始めました。町で声をかけて人物を撮ることが多いです。色んな人のかけがえない瞬間に立ち会えたりすると、写真を始めて本当に良かったと思います。PENTAX KPとsmc PENTAX-FA 50mmF1.4で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

行きつけのハンバーガー屋さんのスタッフのお二人ということです。今月のテーマを知り、真っ先に思いついたのがこのショットということです。

素晴らしいと思ったのは常に写真を頭に入れていらっしゃることです。コメントに「町で声をかけ、人々のかけがえのない瞬間に立ち会えたりすると、写真を始めて本当に良かった」とありますが、これはとても素晴らしい展開ですね。カメラを持つ人と被写体になって下さった双方の人間性が写真には表れてきます。YTさんの猫を抱いたご主人の写真にも共通することですが、それぞれの個性を生かして、商店街の人々や日常で出会う人々を撮り続けたら、意味あるポートレイトが生まれるのではないでしょうか。

その際、絵が平凡にならないように自分なりの工夫を仕掛けて見ることです。
ローアングルで撮る、何のお店なのかが判別できる商売道具を持ってもらう、またそれとは逆に、何の店か分かるように撮る…。自分なりの感性、テーマに沿っての工夫を見られたらと願っております。

今回もあえなく3名とも『門前払い』となってしまいましたが、師範のコメントをご参考にしていただき今後も撮影を楽しんでいただければと思います。

また、「門前払い ミニ木札」をお贈りします!



 

ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!

>>2月のお題はこちら