こんにちは、ジョニーです。

PENTAXの特徴としてハイパー操作系があります。PENTAX K-3 Mark IIIではハイパー操作系が深化しました。今回はハイパー操作系について説明していきましょう。

写真の基本となる露出モード

被写体は何か、その被写体をどのように撮りたいか、作画意図は何か、そういった思考から露出モードを絞り優先のAvモードにするのか、シャッター速度優先のTvモードにするのかを決めると思います。
より手軽に撮りたいときや構図やピントに集中したいとき、露出をカメラ任せにするPモードを選択することもあるでしょう。

露出モードを決定する操作方法としてはモードダイヤルによる操作が広く普及しています。

その他にもシャッター速度や絞り値が印字されているそれぞれの設定専用ダイヤルで操作する方法や、モード変更用のボタンを押して電子ダイヤルで変更する操作もあります。

ハイパー操作とは

写真撮影において最初に露出モードを決めて撮影を開始するという流れが一般的です。撮影中に露出モードを変更する場合、撮影を一度中断する必要があります。

そこでPENTAXのハイパー操作系の出番です。
ハイパー操作系は撮影を中断することなく、露出モードを変更できます。

どういった操作になるのか、具体的に説明していきましょう。

従来機種のハイパー操作:ハイパー操作(スタンダード)

従来機種から搭載しているハイパー操作「スタンダード」を説明しましょう。
K-3 Mark IIIでは、Pモードの初期設定が「スタンダード」になっています。



従来機種のハイパー操作は露出モードがプログラム自動露出(Pモード)で使用できます。

モードダイヤルでPモードを選択したとき、撮影時に絞り値、シャッター速度、ISO感度のうち、少なくとも1つの設定値はオートで決まる自動露出で撮影することができます。

ストラップは付けずにカメラを片手に歩く使い方をされる方がいますが、片手で持ったまま、ちょっと深度を浅く/深くして撮りたいシーンなら後電子ダイヤルを操作して一時的にAvモードで撮影(Av Hyper)、動きの速い猫に出会った場合などは前電子ダイヤルでシャッター速度を変更して一時的にTvモードで撮影(Tv Hyper)、といった感じにモードダイヤルを触らずに前後の電子ダイヤルだけで意図した露出モードでの撮影が可能です。
元のPモードに戻りたい場合はグリーンボタンを押してください。PENTAXのカメラの緑のボタンにはこういった役割があります。


ハイパー操作(アドバンスド)

ここからがK-3 Mark IIIの「アドバンスド」の話になります。
「スタンダード」では絞り値、シャッター速度、ISO感度のうち、必ず1つの設定値はオートで決まる自動露出を行っていました。
露出モードで言うとPモード(ISO感度オート/ISO感度固定)、Tvモード(ISO感度オート/ISO感度固定)Avモード(ISO感度オート/ISO感度固定)の行き来が可能、ということになります。

スナップ撮影などでは絞ってある程度の被写界深度も稼ぎつつ、被写体がブレてしまうのでシャッター速度も高速にしたい、逆に被写体を少し流して残像として表現したい、というような場合が出てきます。
そういった場合、「アドバンスド」にしておくとPモード(ISO感度オート)の状態から後電子ダイヤルで絞りを固定して一時的にAvモード(Av Hyper)とし、前電子ダイヤルでシャッター速度を固定して一時的にTAvモード(TAv Hyper)とすることが出来ます。
そのままISO感度も固定にすれば一時的にMモード(M Hyper)としてモードダイヤルの操作なくマニュアル露出にすることも可能です。

K-3 Mark IIIのアドバンスド動作概念図、モードを超えた露出設定が可能です

一時的にMモード(M Hyper)の場合の露出モード表示(画面左上)

当然ですがマニュアル露出になるので自動露出ではなくなり、設定によっては撮影画像の明るさが変わります。AEロックを併用することで露出は固定できますが、途中で固定した絞り値、シャッター速度、ISO感度が変わることになるので気を付けてください。

「アドバンスド」はPモード以外でも使用することが出来ます。

Tvモード(ISO感度オート)の状態から後電子ダイヤルで絞りを固定して一時的にTAvモード(TAv Hyper)とし、ISO感度を固定してMモード(M Hyper)とすることもできます。
Avモード(ISO感度オート)を起点とすることも可能ですし、ISO感度固定値を起点とすることも可能です。

ハイパー操作の設定手順:Pモード/Svモード

PモードとSvモードでは「スタンダード」と「アドバンスド」を切替えることが出来ます。
カスタマイズメニュー2「電子ダイヤル」の「HYPER P/Sv時の動作」で変更します。

Pモードは初期設定がハイパー操作になっているので「アドバンスド」に切替えた後、撮影モードで前後電子ダイヤルを操作すれば「アドバンスド」を使用できます。
Svモードでは電子ダイヤルの設定も変更する必要がありますので、カスタマイズメニュー2「電子ダイヤル」-「静止画」からSvを選択して、基本動作の下2つのいずれかを選択してください。

PENTAXの初期設定と合わせるなら前電子ダイヤルが「TvHyper(ADVTvHyper)」と書いてあるほうを選んでください。

ハイパー操作の設定手順:Tvモード/Avモード

カスタマイズメニュー2「電子ダイヤル」-「静止画」からTvやAvを選択して、基本動作の下2つのいずれかを選択してください。

Tvモードを例に挙げます。Tvモードですと前後ダイヤルの片方をTvとして、もう片方のダイヤルが「Avハイパー」になります。
基本動作の中ではスマートファンクションダイヤルのE-Dialに関する話は書いてありませんが、一時的なTAvモード(TAv Hyper)のとき、ISOボタン+後電子ダイヤルやスマートファンクションダイヤルでISO感度を固定すると一時的なMモード(M Hyper)になります。ハイパーモードはスマートファンクションダイヤルでのISO感度操作に限らず利用が可能です。

ハイパー操作のもう一歩進んだ使いこなし術「ワンプッシュISOオート」

Pモード、Tvモード、AvモードではISO感度がオートか固定値かによって一時的にTAvモードになるか、一時的にMモードになるかが変わります。
グリーンボタンを操作した際は元の露出モードに戻る機能になるのですが、ISO感度はオートに戻りません。

そこで登場するのがカスタマイズメニュー2「ワンプッシュISOオート」です。

これは前後電子ダイヤルか、スマートファンクションダイヤルがISO感度を変更する状態の場合、ISOボタン操作時に従来のISO感度変更状態にならず、直接ISO感度をオートに戻すことができます。

元の露出モード、一時的なTAvモード(TAv Hyper)、一時的なMモード(M Hyper)の行き来を簡単にコントロールすることが出来ます。

ハイパー操作とは直接関係ありませんが、前後電子ダイヤルか、スマートファンクションダイヤルが露出補正の場合に露出補正ボタン操作時に±0に戻すカスタマイズメニュー2「ワンプッシュ+/-初期化」も搭載しましたので活用してください。

ハイパーマニュアルもプチ深化

ハイパープログラムの深化に埋もれがちですが、ハイパーマニュアルも深化しています。マニュアル露出派の人にとっては、一番うれしい変更点かもしれまん。

PENTAXのカメラではマニュアル露出のとき、グリーンボタンを押すことで一時的に測光を行い適正露出を得ることが出来ますが、従来機種ではボタンを押した瞬間、一度だけ適正露出を得ていました。K-3 Mark IIIでは、グリーンボタンを押している間、ずっと測光を行い続け、グリーンボタンを離したタイミングの露出を適用する動きとなりました。

また、グリーンボタンの設定には従来のプログラムライン、Tvシフト、Avシフトに加え、新たにSvシフトが加わりました。Svシフトはシャッター速度、絞り値を固定したままISO感度がシフトします。K-3 Mark IIIの高感度と合わせて活用してください。

番外編:電子ダイヤルを好みの設定にする

電子ダイヤルのカスタマイズが従来機種よりも柔軟になりました。こんなカスタマイズが出来ますという一例をご提案させていただこうと思います。

【カスタマイズ例1:何はともあれ初期設定が好き】

この設定はカメラの初期設定を基準として、空いている電子ダイヤルに露出補正、グリーンボタンに露出補正のリセットを登録しました。
電子ダイヤルのカスタマイズの第一歩目として、空いているダイヤルに露出補正やISO感度を登録して、グリーンボタンを電子ダイヤルに合わせたカスタマイズを登録してみてはどうでしょうか。

【カスタマイズ例2:メインに使うダイヤルを後電子ダイヤルに固定して、空いたダイヤルをカスタマイズ】

2つ目のカスタマイズは露出モードで設定する項目を後電子ダイヤルに固定するカスタマイズ例です。もちろん、前電子ダイヤルをメインで使用したい方は前電子ダイヤルと後電子ダイヤルの入れ替えも可能です。
PENTAXの一眼レフカメラは前電子ダイヤルをTv値の変更、後電子ダイヤルをAv値の変更が初期設定になっていますが、他社のカメラではメインダイヤル、サブダイヤルといった使い方もあります。どちらかのダイヤルをメインダイヤルとするカスタマイズをご紹介しました。この例では余ったダイヤルに露出補正を割り当てていますが、カスタマイズ例1と比較すると、Tvモードの場合の前後電子ダイヤルの入れ替えだけで完結しています。

【カスタマイズ例3:とことんハイパー操作、前電子ダイヤル、後電子ダイヤル、スマートファンクションダイヤルの機能を固定】

前述したように、PENTAXの一眼レフカメラの前電子ダイヤルをTv値の変更、後電子ダイヤルをAv値の変更をとことんまで追求した設定です。
ハイパー操作系も積極的に採用し、いかなる撮影時にでも瞬時に露出モードの変更が可能になります。

 

 

今回はK-3 Mark IIIのハイパー操作についてお伝えしてきました。

K-3 Mark IIIではこれまでの機種と比べてハイパー操作でできることが多くなっています。
カメラ好きの人達の間では”レンズ沼”という言葉がありますが、一度ハマると抜け出せないという点において、ハイパー操作系も沼だと思っています。使いこなすまではなかなか大変だとは思いますが、ぜひ沼に飛び込んでハイパー操作沼の住人になっていただきたいと思います。

 

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