製品:PENTAX K-3 Mark III ボディキット シルバー、レンズ:smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited

総合評価 星5つ

買うかどうかをかなり考えましたが,確かにこれは価格に十分見合うだけの機材だと思います。使うたびにこの想いが確信に変わっていくのを感じます。購入を決めたのは,"この機材なら,巷では優秀と言われていてもうまくパフォーマンスを引き出せなかったレンズのポテンシャルを引き出せるのでは" と思ったからです。実際,自分にとっては多くのことが AF の大幅性能アップや光学ファインダーの見やすさによって解決しつつあります (あとは自分の腕次第ですが…)。長らく待ちましたが,待ったかいがあると言える機材ですし,ユーザーを大きく成長させてくれる機材とも思います。

製品コンセプト 星5つ

単なるスペック云々だけで製品をアピールするのではなく,何を目指した機材なのか,どうしてそのような構成にしたかが十分に伝わってきたと思います。これは製品販売まで時間が掛かったことの裏返しでもありますが,発売前から開発ストーリーを繰り返し伝えてきたことの効果でもあるとみています。

光学ファインダー 星5つ

何とも月並みな表現で恐縮ですが,とにかく見やすいです。こればかりはどれだけ言葉を並べて多くを語ったところで,実際に見てもらうのが一番良いかと思います。タッチアンドトライにはマニュアルレンズ含めて何本かレンズを持参して試してみたのですが,これまではピントが合わせにくいと感じていたレンズでもキチっと合わせることができたのには驚きました。購入後に暗所でも試してみたところ,これまでなら LCD を使って合わせていたようなシーンでも光学ファインダーを使って合わせられるシーンがあって,これを体験した時は "本当に変わったのだ" "凄いものを手にしているのだ"と思いました。

画質 星5つ

画像処理エンジンが大きく進化して,見やすくなったファインダー等々の効果も相まって画質が良くならないはずがないですよね…。特に日中の撮影で使う低感度の領域でくっきりした画が出るのは,気付きにくいようですが非常に素晴らしいです。風景撮影や自然光を使っての料理等を撮るときなどで違いを感じます。自分は K-1 Mark II を夜景撮影にもっぱら使っていますが,そのシーンに K-3 Mark III を持ち出してどんな違いが出るか,今後試してみたいと思います。

動体性能 星5つ

今まで,航空機や鉄道などの動体を一眼レフで撮ったことはなかったですが,動体追尾がかなり進化したという前評判だったので,初めて試してみました。いやぁ,航空機を撮るというのはこんなにも楽しいことなんですね...。これはもう,新しいジャンルの楽しみ方を教えてくれたと思います。動体性能の向上が達成されていなければ,自分としてはまずトライしなかった撮影ジャンルです。K-3 Mark III を買ったからこそできた体験であり,これはこの部分の向上に尽力した方々に感謝しないといけませんね。

操作性 星5つ

最初は各種セッティングに慣れが必要ですが,基本的な機能は今まで PENTAX を使っていたユーザーなら特に問題なく対応できるかと思います。差分はマニュアルを見たり PENTAX official の記事を読んだりして,使っていくうちに吸収できると感じました。 コンセプトは十分理解していますが,それでもあえて書くとすれば,LCD モニターを可動式にしてほしかったということでしょう。夜景撮影のさい,あるいは非常に低いアングルから撮るときには,可動するモニターは大変便利です。分かっていることとはいえ,惜しむらくはその点が何とかなっていれば… ということくらいです。

デザイン 星5つ

シルバーが限定版ではなく,レギュラーラインナップとしてリリースされたことを嬉しく思いました。とはいえ,実物を見てからはブラックも良い感じに見え,かつ PENTAX official の記事まで登場したこともあり(笑),どちらを選ぶかの決断にかなりの時間が掛かりました。実際,どちらも捨てがたかったので発売前々日まで決断できませんでした(笑)。シルバーと言えば古めかしい感が出がちですが,実際に手に取ってみると過度にクラシックな感じはなく,現代的なシルバーでした。これは本当にカッコよく,決断まで難儀したとはいえシルバーを選んで本当に良かったと思います。コンパクトにまとまったサイズは小さ過ぎず大きすぎず,どこにでも持ち出したいという気にさせてくれます。グリップも握りやすく,まさに手に張り付く感じです。考え抜かれただけのことはあると思います。

ロードスターくん

その他ご意見や、ご購入を検討されている方へのアドバイス

確かに高額の機材ということで簡単に出せる金額ではないですし,このご時世ということも相まって,購入に二の足を踏むのは十分理解できます。自分も発売 2 日前まで迷いました。しかし,素晴らしい機材を使って手持ちのレンズのポテンシャルを引き出してみたいという想いと好奇心が最終的には勝りました。世相はミラーレス全盛,かつカタログスペックが何かと紙面や web のレビュー記事を埋め尽くしがちな感があります。しかし,この機材を実際に手に取って光学ファインダーを見て,そしてシャッターを切れば,いかに素晴らしいツールかが良く分かるかと思います。Limited レンズ,あるいは最近リリースされたスターレンズを付けて 10-20 枚もシャッターを切れば,きっと迷いは吹っ切れるのではないでしょうか。