“今日はどんな気分?何を選ぶ?”をテーマに写真とカメラの楽しみ方を広げませんか。

 

多重露出 –

カメラにその機能があることは知っていてもなかなか使うことがないな。なんて思っていませんか。
ありのままを写し出す写真とは異なり、“イメージの世界”である多重露出の面白さは、本来目に見えない世界を創り出せること。
故にクリエイティブな機能と言えます。

写真表現としてはフィルムの頃から存在し、その手間や仕上がりのイメージがわからないままに撮影していたことを考えると、簡単に撮影できる方法ではなかったのですが、デジタルカメラになり気軽に楽しめるようになりました。

でも、PENTAXのカメラはフィルムカメラのようにコマ送りをせずに1枚ずつ重ねながら工夫して撮る楽しさと、その機能を持っているのが憎いところ。
1枚目に撮影した画像の上に違う風景や表情、またピントを合わせたものとぼかしたものなどを写し込むことで、思いもよらない作品が生まれます。

 

 

How To Multiple Exposure ~多重露出~ >

■カメラのドライブモードから多重露出を選びます。(モニター画面はKPです)

■合成方法と撮影回数は「INFO」詳細設定ボタンから設定します。

<合成方法(重ね方)>

[平 均]
露光量を平均して合成します。1枚ごとに露出を調整しなくても合成結果は標準露出となります。初めての方にも使いやすい設定です。

[加 算]
画面全体の露光量が加算されていきます。1枚ずつの露出を変えながら撮影したいときに。

[比較明]
画面の中の明るい部分(光)だけが重なり合います。

 

<撮影回数>

22000枚の枚数を重ねて撮影することが可能ですが、2~3枚を重ねることから初めてみてください。

 

■撮影時はライブビュー(LV)を使用して撮影します。

おおよその仕上がりが確認できるデジタルカメラならではの最大のメリットがLVです。
1枚目に撮影した画像が薄っすらと残像のように表示されているのでその上に2枚目、3枚目と重ねることで重なり合う仕上がりのイメージを確認しながら撮影していきます。

 

ただし、何も意識せずに撮影してもその効果は得られにくいもの。

撮影のポイントは、暗い(濃い)被写体の上に明るい光や色の被写体を重ねること。重ね合わせる被写体が明るいもの同士だと効果が得られにくくなります。

 

さて、ここまででなんとなくでもわかったら、おうちの中でチャレンジしてみませんか。

日々の生活の中にも不思議な世界が見えてきます。

 

1枚目:シンクに残った水滴と2枚目:観葉植物を重ね合わせています。

 

1枚目:レンズを並べて横から撮影 2枚目:レンズを俯瞰で撮影

 

多重露出で撮影することにより生まれる幻想的な世界は、思いがけないほど身近な場所に存在することに気付くはず。

また、屋外での撮影であれば、街中の彩りを効果的に取り入れることもできます。

 

1枚目:AFでピントを合焦したショーウィンドウに 2枚目:MFに切り替え、信号機の赤を玉ボケにして重ねています。

 

頭を働かせながらいつもと違う撮影方法を試してみるということは、創造力を養うきっかけであり、自分自身の表現域を広げる手段とも言えます。

 

撮影シーンや被写体を限定せず表現として活用したい多重露出は、思いがけない効果が生まれるクリエイティブな機能。

好奇心を持ち、自由な発想で楽しみながら使ってみてくださいね。

 

おわりに―

カメラの機能と合わせて写真の楽しみ方を綴った「Today‘s Choice」も今回が最終回。
これまでの記事をヒントにPENTAXを愛する皆さんの写真生活がより楽しいものになっていれば嬉しく思います。

 

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