11月のお題は…『近くの愛』

ハービー・山口 師範

皆さんの近くにある愛。それは例えば親と子、孫、ペット、収集したこだわりの物品など様々なものに向けられています。そうした愛を感じる写真を送って下さい。

 

 

ハービー・山口 師範からの11月のお題は『身近な愛』でした。
このお題に対して挑戦してくださった方の作品と、師範からの添削コメントを併せてご紹介します。

>>ハービー・山口 スナップ道場『11月前半分の結果』はこちら

11月の挑戦者その4:まるちゃん

桜の木の下に記念写真を写す親子を見つけました。

まるちゃん
東京都在住。ペンタックスファミリ-会員歴30年位になります。PENTAX 645Zとsmc PENTAX-FA645 200mmF4[IF]で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

画面上部に満開の桜、そのピンクの色彩が写真を見る私たちの頃を明るくしてくれています。そして桜の下に家族の姿を見つけたということで、とても平和な空気感が漂う光景に好感を持ちました。ピントもしっかりしていて桜の花びらの質感が伝わってきます。

特にカメラを構えるママの腰を落とした姿が、ママの一生懸命さを物語っていて微笑ましいです。子供の身長にカメラポジションを合わせるというのはとても大切で、つい見下ろしてしまうアングルをママなりに工夫している様が良くわかります。このママのポーズから子供への愛情までもが表れています。

残念に思うのは桜の奥にいるパパでしょうか、彼の顔があまりにも隠れてしまっているところです。おそらくお嬢ちゃんとママのことを笑顔で見守っていると想像しますが、その一旦でも枝や花の透かして見たかったですね。しかしどうやってパパの立ち位置を変えるのか?それは出来ない相談なのでカメラマンが動くしかありません。カメラの位置を低くするか、数メートル右に移動するかですが、そうしている内にママのポーズが変わってしまいます。それがスナップの難しさですね。

被写体の動き、構図、光の入れ方など、様々な条件をクリアした作品は奇跡の一枚、会心の一枚と言っても過言ではないのです。

11月の挑戦者その5:楽パパさん

今亡き父と孫たちが銭湯へ行く時に撮った写真です。
帰省でいとこと楽しい時間を過ごす子供達が嬉々として銭湯へ向かっています。
じいじの背中が透けてちょっと恥ずかしい感じになりましたが、
いつか自分もシップを見せながら孫と銭湯に行きたいと思います。

楽パパ
栃木県在住、男性。子どもの写真から始まり、風景/スナップ写真を撮っています。 PENTAX K100Dとsmc PENTAX-FA 50mm F1.4で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

おじいちゃんがお孫さんを銭湯に連れて行く時の一枚ということです。撮影者のいお父様がこのおじいちゃんですね。「今は亡き父」というコメントを見ると、とても切なく思いますね。帰省の時期に訪れてくれる親族をお父様な毎年楽しみにしていたんだと察します。そう思うとこの写真には楽しそうなお孫さんの心の内、撮影者の父や子供たちへの感情、そして亡きお父様が孫たちを可愛がり、孫たちの将来を楽しみにしていた生きた証が写っている、なんと雄弁な写真でしょうか。

おじいちゃんの背中にすけて消える肩こり用の湿布などの詳細な情報は、おじいちゃんの生活を表していて、写真の中に見え隠れしている情報量の多さに写真の持つポテンシャルの凄さを痛感します。

フラッシュを炊いているのですか?暗闇から浮き出たような存在感が道路の白い線や標識の縦線などに囲まれて、強く迫ってきます。または自然光で優しく撮るという手法もあります。私はこの場合は、背景から浮き出てくる強さは正解だと思います。ただ背景の明度を少し上げて、街の様子をもう少し見せるても良かったのではないかと思います。この地特有の空気感が伝わることで、よりこの地の特徴が思い出を倍加するのではないかと思うからです。

おじいいちゃんとお孫さんの写真が沢山残っているなら、いつか組写真にして見てはいかがでしょうか。

11月の挑戦者その6:tatsuya.bmpさん

夕方、家族との帰り道、後ろから夕陽が照らして長い影を作っていました。

tatsuya.bmp
大阪府在住。写真歴3年のまだまだ素人ですがご指南宜しくお願いします。PENTAX K-S2とsmc PENTAX-DA 50mmF1.8で撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

夕方、家族との帰り道に、後ろからの夕陽に照らされて、長い影を作っていたとのコメントの通り、実に絵になる時間帯に良い写真をモノにしました。光とか太陽の位置とか、日向と影とかが作り出すドラマに敏感な方は、写真を撮るのに適した観察眼を持っていると言えるでしょう。

道の右手の白い点が向こうまで続いていますね。これがなんだかは不明ですが、この線が効果的で、デザイン上の特徴となっていて、日常を超えた意外さ、面白さに繋がっています。

あと一点、この道のずっと向こうまで見える構図を使っていますね。これが大きい要素です。道、川、歩道、並木とか、ずっと向こうまで続いているものの消失点までを画面に入れることで、未来とか、将来の希望、夢を想起させる効果があるのです。この効果を活かすことにより写真の印象が前向きになるというか、力強くなんるんですね。

あとは影の作るドラマをもっと工夫することも試みて下さい。例えば手をつなぐとか、手を振るとかして3人の影にもっとドラマを盛り込むことです。やり過ぎてしまうと逆効果になってしまいますから、過剰な演出はしないように留意しつつ、影と光が作り出すドラマを遊び心でもっと作り出して見るのも一手です。

 

難攻不落のハービー・山口師範のスナップ道場…あえなく11月はすべて『門前払い』となりましたが、作品を取り上げさせていただいた方には記念品をお届けします。

添削コメントをご参考にしていただきつつ、ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!

>>12月のお題はこちら