6月のお題は…『静けさ』

こばやし かをる 師範

静かに過ごす落ち着いた時間も大切な日常の一辺。
呼吸を整えて静かに座る静かな状況は、人間の心と身体に良い影響があるそう。
ひっそりと佇む時間、もの、雰囲気。被写体がもつ魅力とともに、心の落ち着きのある静けさを表現してください。ローキー調にしっとりとした感じが似合います。

 



こばやし かをる 師範からの6月のお題は『静けさ』でした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

6月の挑戦者その4:ぴこまるさん

大好きなお店の閉店最終日に買った花束を玄関に飾る。
消灯時、センサーライトに優しくに照らされた花。静かに夜が更けていく。

ぴこまる
東京都在住、女性。写真歴約7年 亀の歩みですが撮り歩きを続けて少しでも写真のウデを上達させたいです。PENTAX K-70とsmc PENTAX-DA 50mmF1.8で撮影。

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

こばやし かをる 師範からの添削コメント

 

闇の中の静けさを感じます。

画面全体を暗く落とし込み、葉と花の色だけが浮き立つ露出は素晴らしく、つぼみの陰影も立体感が引き立っていてベルベットのような手触りさえ感じるよい質感が出せています。

残念だったのは、画面が狭いこと。日の丸構図でまとめてしまったことです。あと10cmほど引いたところから撮影し、花は画面右に配置させること。それにより左に伸びる茎の流れや緑色の葉もより活きてきます。バランスが取れていない感じがもったいない。

最後に免許皆伝できるかなと思った一枚ですが…残念。

6月の挑戦者その5:ぐれふぇさん

乗客や駅員がいなくても
ホームの灯りが夜通しともったまま眠らない駅
それでも始発回送までの数時間
ゆっくりと休息の時間が過ぎてゆきます
(駅から100mほど離れた踏切から撮りました)

ぐれふぇ
大阪府在住、男性。鉄道メインの風景写真を撮っていますPENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AWで撮影。

師範の判定結果は・・・

もう一歩!

こばやし かをる 師範からの添削コメント

 

日常の活動が終わり、落ち着きを取り戻す時間帯での撮影ですね。人気のなさも際立って静かな様子が伝わります。

しかし、画面上部の黒の多さが気になります。その中にポツンと1点の赤色灯が目立ってしまっています。16:9比率で画面上部を切り取る(下の線路は活かす)ことでプラットホームにグッと視線が注がれます。

また、煌々とした明かりに加え、色も鮮やか過ぎたため活力さえ感じさせてしまいます。露出をさらに-1.0ほど落とし、銀残しなどで色を抑えれば「終わりの時間」である物悲しく切ない雰囲気も出せるでしょう。欲を言えば、駅員さんがホームに一人いてシルエットになっていたらさらによかった。

再現ではなく表現することに挑戦してください。

6月の挑戦者その6:tukiromiさん

「波風立てずに茶でも飲もうや」
酷く降っていた雨が止み、静けさの中でお茶を淹れました。

tukiromi
神奈川県在住、女性。旅する事が出来なくなり、お茶を淹れる日常を撮る事が多くなりました。PENTAX K-1 Mark IIとsmc PENTAX-DA★ 55mmF1.4 SDMで撮影。

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

こばやし かをる 師範からの添削コメント

 

和の静けさ、落ち着いたよい雰囲気があります。また、水面はクラウンではなく凹んだタイミングで捉えたのも面白みがあります。急須から落ちるお茶もよかった。タイミングを狙った努力は認められます。

しかし、問題なのは画面構成。苔の緑色と右側の金属に反射する光が明るすぎて両方に視線が引っ張られていることに気付いているでしょうか。

このシーンで静けさをつくるには、背景に在る苔玉の緑、右側の金属は不要。主役を引き立てるための背景が大切です。両方を取り除き、タテ構図にすることで日本らしいシンプルな要素でまとまります。

また、露出をプラスにされていますが逆です。マイナスにすることで、水滴と水面が強調された不思議な世界をつくれるでしょう。家の中で撮影されていますので、再度チャレンジしてみてください。

そぎ落とした佇まいの中に水滴の音が響くような写真に仕上げてもらいたいです。

師範より3か月間の総評

-最終回を迎えて-
3か月間のお題への挑戦、ありがとうございました。どんな作品が届くのか毎回楽しみにしていました。
全国から寄せられる写真を拝見できて嬉しかった反面、「お題」に対して今まで撮影された写真で参加されている方もいらっしゃり、
「お題への挑戦」を期待しておりましたので残念に感じた作品も多くありました。

皆さんの作品を通して感じたことは、
第一に、ズームレンズによる切り取りの甘さ、単焦点レンズでの寄り引きの弱さです。
第二に、表現したいことが曖昧。あるいは説明的。撮影することだけでとどまっており、写真表現の楽しみまでまだまだ。
第三に、日常生活を大切にしているのか?よく見つめているのか?という素朴な疑問です。

毎日の出来事に一つでも感動や感謝をすることから物語は始まります。
自分が知り得たこと、感じたこと=経験値が写真には反映されます。
誰かのお手本通りの生活がないのと同じように、教科書通りの写真はなかなか表現には結びつきません。
「誰一人同じように捉えることはない。」という自信も持ってください。撮影技術だけでは得られない自分自身の表現をもっと楽しんでください。

ペンタックスのカメラなら自分自身の伝えたい思いが伝わる!
そんな写真をこれからも撮り続けてもらいたい。と思った3か月でした。

記念品のお届けについて

ぴこまるさん、ぐれふぇさんには「免許中伝ミニ木札」、tukiromiさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は7月中旬にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

その他の投稿作品をご紹介

最後に、6月後半のお題の投稿作品の一部をご紹介させていただきます。
こちらは師範の評価とは関係なく、今後挑戦される方に参考にしていただけるよう編集部にて選んで掲載しております。

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