1月のお題は…『見慣れた商店街』

ハービー・山口 師範

皆様がお住まいだったり、または職場の近くにある商店街は、そこを利用する人々にとって、一種の原風景のようなものです。あまりにも身近にあるために、あえてカメラを向けないでいたかも知れません。そこで、もしお店にお知り合いがいたらその方のポートレイトでも良いですし、見慣れたお店のたたずまいや看板などでも良いと思います。見慣れているものを自分のセンスで切り取ってください。

 

 

ハービー・山口 師範からの1月のお題は『見慣れた商店街』でした。
このお題に対して挑戦してくださった方の作品と、師範からの添削コメントを併せてご紹介します。

 

1月の挑戦者その1:shige.jb23wさん

昭和の香りを漂う自転車屋

shige.jb23w
石川県在住、男性。スナップ中心に撮影してます。PENTAX K-1 Mark IIとHD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

まさに昭和の香りが漂ってくる店構えです。こうした風情を見ると、私のような年代(先日70歳になりました)は懐かしい感情に浸ります。私が子供の頃、東京ではこうした家々が平均的な建物でしたから。私がこの場に立っていたとしたら、やはりカメラを向けさせて頂いたと思います。

たまに東京で、取り残されたようにポツンと新しいビルに挟まれた昭和の木造建築が懐かしかったり、時代の流れを感じたりと、つい見入ってしまいます。shigeさんのお歳は存じ上げませんが、私と似た感情を持たれたのではないでしょうか。消えゆくものを撮り残していくことは価値あることだと思っています。

広角レンズを使い、建物の左右の道路まで画面に入れることで構図的には面白いのですが、その分画面の情報が多く写り込み散漫になっている傾向もあります。左右の端を少しでもカットすると建物がもっと前面に出てくるでしょう。街の様子、立地を示すならこのままでも正解ですが、建物をもっとシンプルに主役に仕立て上げる作画も知っておいてください。

1月の挑戦者その2:まるちゃん

面白い看板にシャッターを切りました

まるちゃん
東京都在住、男性。ペンタックスファミリ-会員歴30年位になります。PENTAX K-3とsmc PENTAX-DA 16-50mmF2.8ED AL[IF] SDMで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

仰る通り面白い看板に気が付きました。画面左の丸い窓、そして右の折り重なるように縦に並ぶお店の名前たち。このビルには小さなお店がひしめくように営業しているのでしょう。その看板が三角形をしているのもこの写真の力となっていて、グラフィック的な面白さを倍加させています。

また、爽やかな青空と赤、黄色の看板の色のコントラストもこの写真の魅力のひとつです。しかし、この写真をもっと強くするためにはどうしたら良いかを考えた時に、ふたつの案を思いつきました。ひとつは画面左下にある「企画から管理まで」と書いてある看板を撮影時にフレーミングの時、もしくはトリミングで少しでも省略できると、それだけ画面はシンプルになります。

あとは日暮れが近くなった時間帯に再訪問して、看板に灯りが付いた時に背景の空の色、またはビルの壁とがどういったコントラストやドラマが生み出すのかを見てみたいと思いました。きっと昼間とは違った一面が浮き彫りになるはずです。

1月の挑戦者その3:ともっとさん

近所の商店街でどのガチャガチャにするか真剣に選んでいる娘です。
普段は通り過ぎるお店ですが、お題が商店街だったので
この年季の入ったガチャガチャを思い出し、ここで撮ろうと思い初めてお金を入れました。
壊れているのか出てこないものや、中身が劣化していたりとかなりスリリングでした。

ともっと
東京都在住、男性。KP J limitedのデザインに惹かれてペンタックスデビューしました。カスタムイメージの調整が細かくできて追い込めることが気に入っています。撮るのが楽しいカメラです。PENTAX KP J limitedとTAMRON SP AF17-50mm F/2.8 XR Di IIで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

 

残念ながら

ハービー・山口 師範からの添削コメント

 

商店街に忘れ去られたかのように並ぶ販売機です。ゲームセンターなどにおびただしい数の販売機を見たことがあります。数によって商店街の特徴、時代などが反映されています。

そこで娘さんが真剣に「どれにしようか!?」と悩んでいるところですが、機械の列と人物の対比がうまく構図として収まっています。娘さんなので遠慮することはないのでしょうが、こうした至近距離は迫力に繋がります。この後どういうアクションになったのかも見たかったですね。

思い通りのモノが首尾よく出てきたのか、悔しい思いをしたのか。それも写真の題材として興味あります。

あと、私個人の好みなのですが、画面左端の背景に自転車が差しかかろうとしているのが見えてまして、これが脇役として大切なんですね。そこでカメラ位置を数10センチ左にずらし、商店街の道の奥までを匂わせるために画面に少し入れることです。すると画面に奥行きが出てきて、商店街の空気感が表現できます。あとシャドーを明るくして娘さんの表情を出してください。

今回もあえなく3名とも『門前払い』となってしまいましたが、師範のコメントをご参考にしていただき今後も撮影を楽しんでいただければと思います。

また、「門前払い ミニ木札」をお贈りします!



 

ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!

>>2月のお題はこちら