12月のお題は…『レイヤード』
鏡や、水溜まり、ウィンドウに反射した光景は時にとても不可思議であったり、夢の中のようであったりします。写真家は昔から、鏡の中や水の反射を数多く捉えてきました。レイヤードとはファッション用語で重ね着と言う意味ですが、反射と実像を重ねた作品を見せて下さい。
ハービー・山口 師範からの12月のお題は『レイヤード』でした。
このお題に対して挑戦してくださった方の作品と、師範からの添削コメントを併せてご紹介します。
>>ハービー・山口 スナップ道場『12月前半分の結果』はこちら
12月の挑戦者その4:とらぬ狸さん
元々ほのかで撮っていたのですが、
全体的にあっさりしていたので雅に変更しコントラストを上げて仕上げました。
大阪府在住、男性。えっちらおっちら街中スナップ撮っています。PENTAX K-50とHD PENTAX-FA35mmF2で撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら
重ね撮りの手法をレイヤードと呼んでいるのですが、ガラスの映り込みを活かして、ちょっと不思議な画面を構成し、おやっと思わせる作品になったと思います。
自分の意図通りに写真をコントロールするということはかなりハードルが高いと思いますが、とらぬ狸さんはかなりの応用力が備わっているとお見受けしました。単調になりがちな場面を横断歩道の白い線が作る模様と、右端にある緑の部分が画面に変化を与えています。こうした単調になりがちな画面でパンチ力を与えるテクニックは流石です。あとはもしこのレイヤードが自分にとって気に入った発想ならば、数多くの場所でこうした工夫を凝らした作品を撮りためると良いと思います。
現在渋谷のBunkamuraで“ソール・ライター”というアメリカの写真家の展覧会が開催されていて、彼もこのガラス越し、窓越しの作品を多く残していますので参考になさって下さい。
12月の挑戦者その5:ミムチさん
梅雨の合間の猛暑日、晴れだけど傘、晴れているけど水溜りというアンバランスを閉じ込めました。
茨城県在住、男性。PENTAX K-7で一眼レフデビューしてからPENTAX一筋です!今は念願のフルサイズK-1、K-1 Mark IIで風景写真、スナップ写真を撮っています。最近はポートレイトにも挑戦しています!PENTAX K-1とHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWで撮影。
師範の判定結果は・・・
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残念ながら
水溜りを利用して町のスナップを撮ると意外な世界が取り込めて、実に面白い写真になります。ウユニ塩湖の鏡のような滑らかな反射像を上下に分割して撮る写真が人々を魅了しました。
同じような構図が得られる場所は気が付けば身近なところにも存在して、随分と作品が世に出されました。いつでしたかイルミネーションの写真を地表の反射と共に撮影するため、雨でもない日に水をコンクリートにまいて議論を巻き起こしたのは、記憶に新しいですね。ですがこの写真のように雨上がりの日にこうした水溜りができて、そこに思わぬ反射像を見つけ、このようなユニークな構図が得られる場合があります。こうした日常での気付きが大切ですね。
一番手前の人物がいることで画面が引き締まりバランスがとれました。ただ、画面上部右角に遠くの建物が入っています。この辺りのリアリティーをフレーミングやトリミングで省くことで、より画面が洗練され異次元の不思議さが出てくるのではないかと思います。どこまでリアリティーを残すか、夢の中の世界に引きずり込むかを計算して下さい。
今回は2名の採用でしたが、あえなく『門前払い』となってしまいました。師範のコメントをご参考にしていただき今後も撮影を楽しんでいただければと思います。
また、「門前払い ミニ木札」をお贈りします!
ぜひ以降のお題にもチャレンジしてみてください!