12月のお題は…『飲み物の缶を撮る』

林 和美 師範

誰もが日常的に見ていて、簡単に手に入る飲み物の缶。それをどう自分のやり方で切り取るのか。缶だけでなく、背景(バックグラウンド)や横顔(プロフィール)も審査の対象とします。



林 和美 師範からの12月のお題は『飲み物の缶を撮るでした。
このお題に投稿いただいた中から師範が選んだ作品を、添削コメントを添えてご紹介します。

12月の挑戦者その4:あおべーさん

冬の時期に自販機の前に立つと、ついつい温かいココアのボタンを押してしまうのは私だけでしょうか?
ココアの缶を取り出して、手に持った時の気持ちを表現してみました。

あおべー
栃木県在住、女性。足元にある小さな自然や美しい色をしたものをよく撮っているのですが、物撮りも好きです。雑誌の中のおしゃれな一コマに憧れます。PENTAX K-50とsmc PENTAX-DA 18-135mm F3.5-5.6ED AL[IF] DC WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

林 和美 師範からの添削コメント

 

あたたかくて優しい写真。
自己紹介に「雑誌の中のおしゃれな一コマに憧れます」とあるので、コマーシャル写真が好きなのだろう。とても上手く作り込んでいる。

ここまで出来るからこそ、辛口なことを言うと、ココアという文字を説明的に見せるより、ココアの文字が全部見えず絵柄と雰囲気でギリギリでココアに見える角度にするべきだった。このままでは具体的なサンガリアのココアになってしまう。目指すのは抽象的なココアが良い。その方が、セッティングされた落ち葉やセーターも活きてくるだろう。あと、カスタムイメージは「ナチュラル」とのことだが、「ほのか」も合うような気がする。

12月の挑戦者その5:capriさん

ディスプレイされている品物をそのまま購入できるタイプの自動販売機。
SFチックな雰囲気に惹かれて撮ってみました。

capri
埼玉県在住、男性。撮ってみたい風景、行ってみたい場所へPENTAX機を片手に出かけています。スナップ、風景写真を中心に写真を撮っています。PENTAX KPとHD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

残念ながら・・・

林 和美 師範からの添削コメント

 

缶のある場所としては、面白いところをみつけたと思う。このタイプの自動販売機は最近あまりお目にかからない。それゆえ、見た人が自分の中の記憶を引っ張ってきたりするのが、この写真の面白さであろう。私の場合だと、温泉宿だ。値段はちょっと高いけど、温泉の後だとついつい手が出て乾杯。

話は逸れたが、右の黒い前ボケ部分の入れ具合、カルピスウォーター2缶が並ぶ構図は良い。また色温度を自分で指定した色も悪くない。しかしながら、「カルピスウォーター」でなければならなかったのか。他にミネラルウォーターなどはなかったか。
たとえカルピスウォーターだったとしても、ここまで文字が前面に出る撮り方でなくても良かったのではないか。文字は、目を通り脳に届くと、写真を味わう前に、すぐに文字として読んでしまう。写真に文字を入れるときには、十分に気をつけないといけない。

12月の挑戦者その6:にたばるさん

「寝起き」
さあ、流し込んででかけるか。

にたばる
滋賀県在住、男性。2021年もよろしくお願いいたします。PENTAX K-1とsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedで撮影。

 

師範の判定結果は・・・

お見事!

林 和美 師範からの添削コメント

 

抜け出したばかりのシワになった布団、昨日を引きずったままの部屋の空気、外には干しっぱなしの洗濯物。
窓から忍び込む光が缶を浮かび上がらせる。この缶に当たる光が実にいい。缶コーヒーであることはわかるが、決して商品としてのジョージアのBLACKではない。缶の置き方、向きが良い。
部屋の中で使う、 31mm Limitedの画角もいい具合に作用した。

これから珈琲を飲んで出かける。1日が始まる。どんな物語が待っているのだろうと想像してしまう。
朝のシーンをうまく切り取っている。文句なしの免許皆伝。

 

師範より12月の総評

今回のお題「飲み物の缶」

なんで缶やねん!と思われた方も多かったと思う。

元になったのは、アンディ・ウォーホルの《キャンベルスープの缶》である。(知らない人は検索すべし)
彼は、この作品で新しいアートのカタチを提示した。
アメリカのアイコンともいえるキャンベルのスープ缶をモチーフとして大きく扱い、シルクスクリーンによって大量生産したのだ。

ということで、誰もが知っているものを自分なりにどう捉え、どう切り取り表現するか?というのがお題の真意であった。

投稿作品は、それぞれの視点で、缶のある場所を見つけて切り取ってきたものあり、自分で物語を作って切り取ったりと大変面白かった。
ただ、残念だったのは、どれも缶の全体が写っていて、缶の一部のアップを活かした作品ががなかったことである。もっと大胆な切り取りのものも見たかった。

記念品のお届けについて

にたばるさん免許皆伝おめでとうございます!「免許皆伝看板」「免許皆伝ミニ木札」をお贈りします!
あおべーさん、capriさんには「門前払いミニ木札」をお贈りします!

記念品は1月中にお届け予定ですので、しばしお待ちくださいませ。

以降のお題へのご投稿もお待ちしています!

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